キャノーラ油はサラダ油の仲間!特徴や栄養素など2つの違いを解説

陳列されている商品(油)を女性が手に取っている

「キャノーラ油とサラダ油って見た目がそっくりだけれど、どう違うの?」
「どんな特徴があって、どちらを使う方がいい?」

スーパーで油の棚を見るたびに、そんな疑問を感じている人も多いのではないでしょうか?

実はキャノーラ油は、サラダ油の仲間に含まれるものも多いのです。
というのも、サラダ油は精製した植物油の総称で、キャノーラ油は「キャノーラ」という菜種の一種から作られている植物油だからです。
そのため精製されたキャノーラ油は、サラダ油の一種と言えるのです。

とはいっても、それぞれに特徴や違いはあります。
そこでこの記事では、

◎キャノーラ油とサラダ油の特徴と違い

  • 原料:キャノーラ油の原料はアブラナ科の植物、サラダ油は多種多様
  • 香りと味:どちらもクセのない風味
  • カロリーや栄養素:オレイン酸が多いのはキャノーラ油
  • 価格:どちらも手頃だがサラダ油の方がより安価

について、わかりやすく説明していきます。
また、

◎キャノーラ油とサラダ油の使い分け

  • 適する料理
  • 代用できる場合・できない場合

に関しても解説します。

これを最後まで読めば、キャノーラ油とサラダ油それぞれの特徴がよくわかるはずです。
それを踏まえた上で、あなたが納得した食用油の使い方ができるよう願っています!

1 キャノーラ油とサラダ油の違いとは?特徴を徹底比較

様々な形の容器に油が入れられて、並んでいる

スーパーで並んでいるキャノーラ油をサラダ油を見比べると、ボトルの形状から油の色までかなり似ていますよね。

一体どんな違いがあるのでしょうか?
どんな油なのか、原料や成分などいろいろな視点から比較してみましょう。

1-1 定義:キャノーラ油はサラダ油に含まれる場合がある

結論から言えば、「キャノーラ油」はなたね油の一種であり、「サラダ油」は精製された植物油の総称です。
そして、キャノーラ油の中には、サラダ油に含まれるものもあるのです。

図式化すると、以下のイメージです。

キャノーラ油の中には、サラダ油に含まれるものもあるということをイメージ化した図

そもそもサラダ油とは、長時間低温下においても結晶化したり濁ったりしないよう精製された食用植物油の総称で、さまざまな植物の種子を原料として作られます。

どんな植物油がサラダ油に含まれるのかについては、農林水産省が「日本農林規格」で以下のように定めています。

サラダ油の種類主な原料
サフラワーサラダ油 紅花の種子
ぶどうサラダ油 ぶどうの種子(グレープシード)
大豆サラダ油 大豆の種子
ひまわりサラダ油ひまわりの種子
とうもろこしサラダ油 とうもろこしの胚芽
綿実サラダ油綿(ワタ)の種子
ごまサラダ油ごまの種子
なたねサラダ油 アブラナの種子(菜種)
こめサラダ油 米ぬか(玄米を白米に精米する際に削られた部分)
調合サラダ油 上記のサラダ油を2種以上混合したもの

キャノーラ油を含むなたね油のうち、精製加工されたものは「サラダ油」の一種であり、一方で精製加工されないキャノーラ油は、サラダ油には含まれません。

つまり、

◾️サラダ油は、精製された食用油の総称で、その中には精製されたキャノーラ油も含む

◾️キャノーラ油は、キャノーラという菜種の品種から作られた油で、なたね油の一種であり、そのうちの精製されたものは「サラダ油」のカテゴリーに含まれる

ということになります。

1-2 原料:キャノーラ油の原料はアブラナ科の植物、サラダ油は多種多様

サラダ油は精製された植物油の総称ですので、原料はさまざまです。
前項の表にあるように、大豆、菜種、ひまわりの種、とうもろこし、ごまなどから作られます。

一方でキャノーラ油の原料は、名前の通り「キャノーラ」というアブラナ科の植物です。

キャノーラは、カナダで品種改良されたものです。
というのも、もともと菜種にはエルカ酸グルコシノレートという成分が含まれていて、これらが人間や家畜に有害であるとされてきました。

そのため、欧米ではなたね油を食用にすることができませんでした。

そこで、エルカ酸とグルコシノレートの含有量をごく微量まで減らした品種としてキャノーラが開発されました。

現在では、代表的な食用植物油のひとつとして、キャノーラ油が世界中で使われています。

1-3 香りと味:どちらもクセのない風味

キャノーラが誕生する前のなたね油には独特のにおいがあって、それもまた食用利用を阻んでいた一因だったようです。
それに対して改良品種であるキャノーラから作るキャノーラ油は、味や香りにクセがありません。

一方のサラダ油は、もともとサラダドレッシングに使用することを目的に作られた油なので、やはり香りや味は控えめでさらっとした味わいになっています。

どちらもクセがなく、どんな料理にも使いやすい味と香りと言えるでしょう。

1-4 カロリーや栄養素:オレイン酸が多いのはキャノーラ油

次に、キャノーラ油とサラダ油のカロリーや栄養素を比較してみましょう。
以下の表を見てください。

カロリー
(100gあたり)
主な栄養素
(100gあたり)
キャノーラ油 921kcal一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など):60.09g
多価不飽和脂肪酸(リノール酸、αリノレン酸など):26.10g
αトコフェロール:15.2mg
γトコフェロール:31.8mg
サラダ油(調合油) 921kcal 一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など):41.10g
多価不飽和脂肪酸(リノール酸、αリノレン酸など):40.94g
αトコフェロール:12.8mg
γトコフェロール:56.4mg

※出典:文部科学省「日本食品標準成分表」(元データではキャノーラ油は「なたね油」と記載)

どちらも油なので、カロリーは同じです。

健康効果のある栄養素としては、

  • 血中コレステロール濃度を下げる不飽和脂肪酸(オレイン酸など)
  • 強い抗酸化作用をもつトコフェロール(ビタミンE)
  • コレステロールや中性脂肪を下げるリノール酸

などが含まれています。

キャノーラ油は、オレイン酸を多く含むのが特徴と言えそうです。
一方で、リノール酸やビタミンEはサラダ油の方が多く含んでいます。

1-5 価格:どちらも手頃だがサラダ油の方がより安価

大手通販サイトなどで価格を比較してみると、

◎キャノーラ油:400gボトル・300円前後〜
◎サラダ油:400gボトル・200円前後〜

となっています。
どちらも手頃な価格ですが、サラダ油の方がより低価格になっています。

1-6 結論:どちらがよいかは一長一短 

以上の比較をまとめてみましょう。

キャノーラ油 サラダ油(調合)
定義・アブラナ科のキャノーラから作られた油
・なたね油の一種
精製されたものは「サラダ油」に含まれる
・長時間低温下においても結晶化したり濁ったりしないよう精製された食用植物油の総称
原料キャノーラ(アブラナ科の品種) 製品によってさまざまで、
紅花の種子
ぶどうの種子(グレープシード)
大豆の種子
ひまわりの種子
とうもろこしの胚芽
綿(ワタ)の種子
ごまの種子
アブラナの種子(菜種)
米ぬか
のいずれか、または混合
香りと味クセがなくどんな料理にも馴染む味わい クセがなくさらっとしている
カロリー
栄養素

 921kcal

一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など):60.09g
多価不飽和脂肪酸(リノール酸、αリノレン酸など):26.10g
αトコフェロール:15.2mg
γトコフェロール:31.8mg

 921kcal

一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など):41.10g
多価不飽和脂肪酸(リノール酸、αリノレン酸など):40.94g
αトコフェロール:12.8mg
γトコフェロール:56.4mg

価格 400gボトル・300円前後〜 400gボトル・200円前後〜

結論を言えば、キャノーラ油とサラダ油にはそれぞれ違った長所があり、一概にどちらがいいとは決められません。

オレイン酸が多いのはキャノーラ油、リノール酸が多いのはサラダ油ですが、どちらにもコレステロール値を下げる作用があります。

抗酸化作用のあるトコフェロール=ビタミンEについては、α-トコフェロールはキャノーラ油に多く、γ-トコフェロールはサラダ油に多くなっています。
γ-トコフェロールよりもα-トコフェロールの方が強い抗酸化作用を持つとされていますので、その点ではキャノーラ油の方が優れているかもしれません。

一方で、低価格なのはサラダ油ですから、たくさん使用する場合はお手頃に使えてよいでしょう。
ただ、どちらも油ですので、大量に摂取するのは控えたほうがよいでしょう。

さらに、これらのメリットとは反対に、「サラダ油は危険」「キャノーラ油は体によくない」という説もあります。
油を精製する際に、脱臭のため加熱する工程がありますが、その際にトランス脂肪酸という物質ができてしまう場合があり、この物質が心疾患の原因になりうると言われているからです。

また、「サラダ油やキャノーラ油を加熱すると、リノール酸からヒドロキシノネナールという有毒物質が発生する」という説もあり、それを根拠にインターネットや雑誌では、「サラダ油もキャノーラ油もダメ!」という否定的な意見も見られます。

それらの説が気になる人は、是非、下記の記事を読んでみてください。
サラダ油は危険じゃなかった!科学的データでウワサを徹底検証
キャノーラ油=危険は極端!その科学的根拠と安全なキャノーラ油の条件

また、これらの危険説が気になる人は、いっそキャノーラ油もサラダ油も使わないという手もあるでしょう。

その場合、代用となる油としては、圧搾抽出した米油を検討してみてください。

サラダ油やキャノーラ油と同じようにクセのない味わいでありながら、健康効果のある成分を豊富に含んでいて、さらに溶剤などを使わずに圧搾で作られたものであれば、安全性の面でも心配ありません。

米油については、別記事「米油とはどんな油?特徴、料理での使い方、健康への影響まで徹底解説」に詳しく説明してありますので、ぜひ読んでみてください。

参考
※ 文部科学省「日本食品標準成分表」
※ 公益財団法人日本油脂検査協会「食用植物油脂の脂肪酸組成」
※ 農林水産省「食用植物油脂の日本農林規格(JAS)」
※ 食用油脂構成脂肪酸の毒性ー生体膜への作用 鬼頭誠
※ 食品安全委員会「欧州食品安全機関(EFSA)、食品中及び飼料中のエルカ酸に関する科学的意見書を公表」
※ 食品安全委員会「香港食物環境衛生署食物安全センター、「キャノーラ油と食品安全」について一般向けにリスク情報を公表」
※ Oregon State University,Linus Pauling Institute|微量栄養素情報センター「ビタミンE」

2 キャノーラ油とサラダ油の使い分け

フライパンに油をそそいでいる

ここまで、キャノーラ油とサラダ油それぞれの特徴と違いについて説明してきました。
では、この2種類の油は、どんな料理に適しているのでしょうか?
使い分けたり、どちらかをもう一方で代用できたりするのでしょうか?

この章では、実際に料理で使う際のそんな疑問について答えていきましょう。

2-1 適する料理

キャノーラ油とサラダ油は、どちらもあまりクセのない味わいですので、どんな料理にもよくなじみます。

が、あえて違いを強調するなら、「キャノーラ油は加熱調理に、サラダ油は生食に使うといい」と言えそうです。

というのも、そもそもサラダ油自体が、「サラダのドレッシングとして生食で使うため」に、低温でも固まらずさらっと食べられるようにと作られたものだからです。
さらに、サラダ油に多いリノール酸は、加熱によって酸化しやすいのも難点です。

一方でキャノーラ油に多く含まれるオレイン酸は、酸化に強いので加熱しても大丈夫です。
また、キャノーラ油はサラダ油とさまざまな性質が似ているので、生食ももちろん可能です。

つまり、

◎キャノーラ油は生食、加熱どちらにも使える
 特に酸化に強いオレイン酸を多く含むので、揚げ物、炒め物に向いている

◎サラダ油は加熱せず、ドレッシングやマリネなどの生食で使う
 加熱するとリノール酸が酸化するので要注意

と言えるでしょう。

2-2 代用できる場合・できない場合

と言っても、

「使い分けのために両方揃えておくのは、場所もとるしお金もかかる」
「どちらかだけ買って、代用できないだろうか?」

と考える人や、

「いつもはキャノーラ油を使っているけれど、サラダ油しかない場合は代用してもいいもの?」

という疑問を持つ人もいるでしょう。

結論を言えば、キャノーラ油とサラダ油はお互いに代用することができます。
どちらもクセがないので料理の味に影響しませんし、お菓子作りなどでも仕上がりは変わりません。

ただ、前項でも説明したように、揚げ物や炒め物など加熱調理の場合は、できればキャノーラ油を使うことをお勧めします。
もしサラダ油で加熱調理する場合は、なるべく酸化しないよう、

◼️短時間で調理を済ませる
◼️揚げ油などは何回も使い回さない

という対策をしてください。

3 まとめ

いかがでしたか?
キャノーラ油とサラダ油について、よく理解してもらえたかと思います。

ではここでもう一度、内容をおさらいしてみましょう。

◎キャノーラ油はサラダ油に含まれる場合がある

◎キャノーラ油とサラダ油の違いは、

  • 原料:キャノーラ油の原料はアブラナ科の植物、サラダ油は多種多様
  • 香りと味:どちらもクセのない味わい
  • カロリーや栄養素:オレイン酸が多いのはキャノーラ油
  • 価格:どちらも手頃だがサラダ油の方がより安価

結論:どちらがよいかは一長一短

あなたはどちらを使いたいか、きっと心に決められたかと思います。
キャノーラ油とサラダ油、どちらにしろ気に入った油を安心して使えるようになることを願っています!

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