植物油脂とは?植物油との違いや特徴、「体に悪い」説を詳しく解説

バター様々な植物油脂性の油

「植物油脂ってどんな油のこと? 普通のサラダ油と違うの?」
「植物油脂が体に悪いと聞いたけれど、それは本当?」

そんな疑問や不安を抱きながら、植物油を使うことをためらっている人も多いのではないでしょうか。

端的にいうと、「植物油脂」とは「植物から採取した油脂の総称」です。

一般の家庭でよく使われている、

  • サフラワー油
  • コーン油
  • 綿実油
  • ごま油
  • 米油
  • オリーブオイル

などはすべて植物油脂に含まれます。

一方で、マーガリンやショートニングなど「植物油の加工品」を「植物油脂」と呼ぶこともあります。
「植物油脂が体に悪い」という人がありますが、その場合は「加工品に含まれるトランス脂肪酸が体に悪い」という意味で使われているのです。

そこでこの記事では、

  • 植物油脂とは何か?具体例や意味
  • 植物油脂が体に悪いと言われる2つの理由

について、わかりやすく解説します。

さらに、「やっぱり植物油脂は摂りたくない」という人のために、

  • 植物油脂を摂らないためのチェックポイント2つ

もお知らせします。

この記事を最後まで読めば、植物油脂とはどんなものか、どんな健康リスクの可能性があるのかについて、くわしく理解できるはずです。

あなたが植物油脂を使うべきか使わないべきか、この記事で納得いく判断ができることを願っています!

1 植物油脂とは?簡単にわかりやすく解説!

様々な油の瓶とオリーブ等の原料

そもそも「植物油脂」とは何なのでしょうか?
まず最初に、言葉の定義から植物油脂の例、似たような言葉である「植物油」との使い分けなど、わかりやすく説明していきましょう。

1-1 「植物油脂」とは植物から採取した油脂の総称

「植物油脂」とは、簡単に言うと「植物から採取した油脂の総称」です。

「植物性油脂」と呼ばれることもあります。
また、農林水産省が所管する農林物資の規格「JAS規格」では、食用のものについては「食用植物油脂」という呼称が用いられています。

いずれにしても、植物由来の油はすべて「植物油脂」と呼ぶことができるのです。

1-2 植物油脂の具体例

農林水産省では、「食用植物油脂の日本農林規格」において食用植物油脂を以下のように定めています。

食用植物油脂の日本農林規格

(適用の範囲)

第1条

この規格は、食用サフラワー油、食用ぶどう油、食用大豆油、食用ひまわり油、食用とうもろこし油、食用綿実油、食用ごま油、食用なたね油、食用こめ油、食用落花生油、食用オリーブ油、食用パーム油、食用パームオレイン、食用パームステアリン、食用パーム核油、食用やし油、食用調合油及び香味食用油に適用する。

出典:農林水産省「食用植物油脂の日本農林規格」

 

一般の家庭で調理によく使われている、

  • サフラワー油
  • コーン油
  • 綿実油
  • ごま油
  • 米油
  • オリーブオイル

などはすべて植物油脂に含まれるというわけです。

また、

  • 2種以上の食用植物油脂を調合した「食用調合油」
    →大豆油と菜種油をブレンドしたものなど
  • 食用植物油脂に香辛料や香料、調味料などを加えた「香味食用油」
    →ラー油やねぎ油など

も植物油脂の一種とされています。

1-3 植物油脂の中で常温で液体状になる「植物油」

ところで、「植物油脂」に似た言葉として「植物油」という言い方があります。

この言葉は、

1)一般的に「植物油脂」と同義で使われる場合
2)植物油脂の中でも、常温で液体状になるものだけを指す場合

の2種類の意味を持っています。

2)について簡単に説明しましょう。

そもそも「油脂」は「油」「脂」という2種類の「あぶら」の総称です。
その違いは、

  • 油:常温で液体状になるあぶら
  • 脂:常温で固体になるあぶら

となっています。

そこで、植物油脂をより厳密に区別して表現する場合に、「常温で液体状になる植物のあぶら」を「植物油」と呼ぶことがあるのです。

ちなみに、具体的な例としては、

  • 常温で液体状の植物油→サフラワー油、コーン油、綿実油、ごま油、米油、オリーブオイルなど
  • 常温で固体状の植物油脂→マーガリン、ショートニングなど

が挙げられます。

1-4 植物油の加工品を「植物油脂」と呼ぶこともある

前項で、「常温で固体状の植物油脂」の具体例として、マーガリンやショートニングを挙げました。

これらは植物油を原料として製造された加工食品です。
そこで、植物油そのものではなく、その加工品であるマーガリンやショートニング、ファストスプレッドなどに限って「植物油脂」と呼び、原料である植物油と区別する場合もあります。

少々ややこしいですが、ここまでの内容をまとめると以下のようになります。

「植物油脂」とは、

1)植物から採取した油脂の総称。
 →特に食用のものは、農林水産省のJIS規格では「食用植物油脂」と呼ばれ、

  • 食用サフラワー油
  • 食用ぶどう油
  • 食用大豆油
  • 食用ひまわり油
  • 食用とうもろこし油
  • 食用綿実油
  • 食用ごま油
  • 食用なたね油
  • 食用こめ油
  • 食用落花生油
  • 食用オリーブ油
  • 食用パーム油
  • 食用パームオレイン
  • 食用パームステアリン
  • 食用パーム核油
  • 食用やし油
  • 食用調合油
  • 香味食用油

  を指す。

2)1)のうち、常温で固体状のものだけを指す場合がある。
 →その場合、常温で液体状のものは「植物油」と呼ばれる。

3)植物油を原料とする加工品に限って「植物油脂」と呼ぶ場合がある。
 →マーガリン、ショートニング、ファストスプレッドなど

食品表示を見る際や、ネットや本で調べ物をする際には、どの意味で使われているのかを見極める必要があるでしょう。

2 植物油脂が体に悪い?そう言われる2つの理由

揚げられているフライドポテト

この記事を読んでいる人の中には、「植物油脂が体に悪い」という話を聞いて調べ始めたというケースも多いかと思います。

この章では、その説についてわかりやすく説明します。

まず、「植物油脂が体に悪い」と主張している説を見ると、その場合の「植物油脂」とは、1章で解説した3つの意味のうち、

3)植物油を原料とする加工品
 →マーガリン、ショートニング、ファストスプレッドなど

を指していることがほとんどです。

そしてこの意味での「植物油脂」に健康リスクがあると言われる原因は2つあります。
「トランス脂肪酸」「遺伝子組み換え原料」です。

この2つのリスクについて、以下に解き明かしていきましょう。

2-1 心臓病リスクを高めるトランス脂肪酸

マーガリンやショートニングなどの植物油加工製品に関するネガティブ要素として第一に挙げられるのが、その製造過程で「トランス脂肪酸」が発生することです。

トランス脂肪酸とは「不飽和脂肪酸」の一種で、日常的に摂取しすぎると、心臓病のリスクが高まるという研究結果があるものです。

そのため、「マーガリンなどの植物油加工品は体に悪い」と言われるようになりました。

もう少し具体的に説明してみましょう。

マーガリンやショートニングなどの原料である植物油は、1章で説明したように常温では液体状です。
それを、パンに塗ったりお菓子に練り込んだりしやすくするためには、固形にする必要があります。

そこで、油に水素を添加することで物性を変え、固形化または半固形化させるのですが、その過程でトランス脂肪酸が発生してしまうのです。

このトランス脂肪酸について、日本では現在は特に規制がありませんが、海外ではすでに摂取量や濃度などの数値を定めて制限する例があります。

例えば、

  • 世界保健機関(WHO):トランス脂肪酸の摂取量を総摂取エネルギーの1%未満に抑えることを目標値として設定
  • アメリカ:トランス脂肪酸が多く含まれる「部分水素添加油脂」を食品に使用するためには、「米国食品医薬品局(FDA)」の承認が必要(2018年より)
  • EU:食品に含まれるトランス脂肪酸の濃度に上限を設定
  • 中国:食品にトランス脂肪酸濃度の表示を義務付け

などです。

このように実際に規制されている例があることも、「植物油加工品は体に悪い」という主張を後押ししているようです。

ただ、最近ではこの主張に配慮して、トランス脂肪酸の発生をできるだけ抑えた製品も作られるようになってきました。

マーガリンなどのパッケージに、「部分水素添加油脂不使用」「トランス脂肪酸低減」といった表示があるものがそれです。
購入する際にはチェックしてみるといいでしょう。

参考
※ 農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」
※ 農林水産省「トランス脂肪酸に関する各国・地域の規制状況」

2-2 遺伝子組み換え原料

次に懸念されるのは、植物油加工製品には、「遺伝子組み換え原料」が使われているのではないかという不安です。

というのも、実際にそういう例が過去にあったからです。

2016年、遺伝子組み換え技術で作られた添加物が使用された植物性油脂が輸入され、厚生労働省の定める安全性審査を受けないまま、マーガリンやドレッシングなどに加工されてしまいました。

遺伝子組み換えは、作物の品種改良のために行われる技術です。

しかし一方では、

  • アレルギーの原因になる可能性
  • 在来植物などの環境を乱す危険性

が疑われてもいるのです。

そのため、「植物油の加工製品は、過去に遺伝子組み換え原料が使われたことがあるので危険」と考える人が出てきたというわけです。

もちろん基本的には、遺伝子組み換え作物やそれを使用した加工品には安全性審査が行われていますし、安全性が確認されたものについても遺伝子組み換えの表示が法的に義務付けられています。

また、マーガリンなどの植物油加工品の中には、消費者の不安感に配慮して、「遺伝子組み換え原料不使用」と明記されているものも出てきましたので、心配な人は表示を確認するとよいでしょう。

参考
※ 厚生労働省「遺伝子組換え食品Q&A」
※ 厚生労働省「食品衛生法に基づく安全性審査を経ていなかった遺伝子組換え微生物を利用した添加物についての対応」

3 植物油脂を摂らないためのチェックポイント2つ

クリップボードに挟まれたポイントと書いてあるメモ

「植物油脂とは何かわかったけれど、やっぱり健康リスクが心配だから避けたい」
と考える人もいるでしょう。

そんな場合は、以下の2点に注意してください。

3-1 原材料に「食用精製加工油脂」「ショートニング」などの表示があるものを避ける

2章で説明したように、心臓病リスクがあるトランス脂肪酸が多いのは、常温で液体状の「植物油」ではなく、常温でも固体を保つよう加工された「植物油脂」です。

そこで、原材料表示に「食用精製加工油脂」「マーガリン」「ショートニング」などの表示があるものを避ければ、トランス脂肪酸の摂取を抑えることができます。

3-2 「部分水素添加油脂不使用」「遺伝子組み換え原料不使用」の製品を選ぶ

2章でも触れたように、「植物油脂は体に悪い」という主張があることを踏まえて、各食品メーカーも消費者の不安をなくす取り組みをしています。

具体的には、

  • マーガリンなどの製造過程でトランス脂肪酸の発生を抑えるよう、原因となる「部分水素添加油脂」を使用しない
  • 遺伝子組み換え原料を使用しない

などです。

その場合は、パッケージに「部分水素添加油脂不使用」や「遺伝子組み換え原料不使用」といった表示がありますので、そういった製品を選ぶとより安心でしょう。

まとめ

いかがでしたか?
植物油脂とは何か、どんなリスクがあるのかについてよく理解できたかと思います。

ではもう一度、記事の内容を振り返ってみましょう。

  • 「植物油脂」とは植物から採取した油脂の総称
  • 植物油の加工品を「植物油脂」と呼ぶこともある

植物油脂が体に悪いと言われる2つの理由は、

  • 心臓病リスクを高めるトランス脂肪酸を含むから
  • 遺伝子組み換え原料を使っている可能性があるから

植物油脂を摂らないためのチェックポイント2つは、

  • 原材料に「食用精製加工油脂」「ショートニング」などの表示があるものを避ける
  • 「部分水素添加油脂不使用」「遺伝子組み換え原料不使用」の製品を選ぶ

以上を踏まえて、あなたが健康的な食生活を送れることを願っています!

コメント

「植物油脂とは?植物油との違いや特徴、「体に悪い」説を詳しく解説」に対する2件のコメント

  1. ショートニングが表示されているお菓子やパンは避けていましたが、食物油脂という表示はさほど気にしていませんでしたご、拝読し油の加工品でることを知り怖いな、と思いました。しかし、油の総称でもあること。かりんとうや芋けんぴに表示されてます食物油脂はどちらの意味で使われているのか疑問に感じました。

    1. レピールジャーナル編集部

      記事を読んでいただきありがとうございます!
      ご回答遅くなり申し訳ありません。

      身の回りに溢れる食品に対して少し不安な気持ちになってしまいますよね。

      かりんとうや芋けんぴに表示されている食物油脂はどちらの意味で使われているのかというご質問ですが、メーカーごとに異なるため、一概に断言はできかねます。
      しかし、選ぶポイントはあります。商品によっては原材料表示に「植物油脂(○○油)」のように、括弧内にどのような原料を使っているかが表示されている場合がありますので、参考にすると良いかと思います。

      ただ危険であると一蹴するのではなく、なぜなのか正しい知識を持って、ご自身で判断して頂きたいなと思い、この記事を書きました。
      選ぶ基準を知り、健康な食生活の判断材料となれば嬉しいです。