クッキーやケーキなどの焼き菓子やパン作りに欠かせない「ショートニング」。
お菓子やパン作りをする方はご存知かもしれませんが、中には、はじめて聞いたという方や名前は知っているけど詳しく知らないという方もいらっしゃるかと思います。
きっとあなたは、
「ショートニングって一体なんなの?」
「ショートニングは体に悪いと聞いたけれど、それって本当?」
そんな疑問や不安を抱いているのではないでしょうか。
わかりやすく言うと、「ショートニング」とは、「お菓子やパンの食感をよくする油」です。
基本的にショートニングは家庭などでお菓子づくりに使用する分には問題ありません。
ですが、市販のパンやお菓子、ファーストフードなど加工食品に含まれるショートニングは食べ過ぎない方が良いと言えます。
この記事では、ショートニングについてどこよりもわかりやすくご紹介。
また、
・気をつけるべき加工食品
・ショートニングが危険視されている理由
などについても解説していきます。
これさえ読めば、ショートニングが一体なんなのかを全部知ることができ、またショートニングとどのように付き合っていけば良いのかを判断することができます。
あなたにとってこの記事が、今後の商品を選ぶ際の判断材料となれば嬉しいです!
目次
1 ショートニングはお菓子やパンの食感をよくする油
ショートニング(shortening)とは主に、お菓子やパンなどに使われる油です。
原料には動物油や植物油を使い、白いクリーム状の油です。
ショートニングはそのまま食べることはなく、お菓子に使うと食感がサクッとし、揚げ油に使うとパリッとした食感に仕上がります。
19世紀末のアメリカで、ラードの代用品として生まれました。
『サクサクさせる、ポロポロにする』を英語で「ショート」と表現するため、ショートニングと呼ばれるようになりました。
(ちなみに、ショートケーキの由来は「ショートニングを使ったケーキ」という意味からきたようです!)
それでは、よく比較されるマーガリンとの違いや主にどのような食品に入っているのか確認していきましょう。
1-1 ショートニングはマーガリンと兄弟
ショートニングはわかりやすく説明するとマーガリンの兄弟のような存在です。
ショートニングもマーガリンも原料は同じで、用途も似ています。
2つの大きな違いは水分を含んでいるか、いないかです。※1
・ショートニング…ほとんど油脂100%
・マーガリン…約80%が油脂、水分や乳成分を含む
また、マーガリンには食塩や砂糖、ビタミン類などを加えられていることが多いですが、一般的にショートニングには含まれません。そのためマーガリンには味や風味がありますが、ショートニングは無味無臭です。
ショートニングとよく似た仕上がりや食感が欲しい時はマーガリンで代用すると一番レシピに近いものが作れますよ。
「しまった!ショートニングがない!」と代用になるものをお探しの方は、こちらの記事『ショートニングの代用油脂5選と相性の良い料理・焼き上がり差を比較』を是非読んでみてください!
主に、ショートニングはクッキーやケーキなどの焼菓子、パン類、ポテトやフライ・ドーナツなどの揚げ物などに使われています。
サクサクしたものやふんわりしたもの=食感が良いものには必ずと言っていいほど入っています。
参考
※1 日本マーガリン工業会「ショートニングってなに」
2 お菓子だけでなく冷凍食品などにも入っている
意外と知られていないのですが、ショートニングは冷凍食品などにも使われており、日常のありとあらゆる食品に含まれています。
具体的には下記のような食品に含まれます。
・クッキーやビスケットなどの焼菓子
・スナック菓子
・パウンドケーキやシフォンケーキなどのケーキ類
・菓子パンや食パン
・アイスクリーム
・フライドポテトなどの揚げ物類
・冷凍パスタ、ピザ、チャーハン
など
是非、スーパーに行った時、「油っぽいな~」と思う食品のパッケージの裏側にある成分表示を見てみてください。高確率でショートニング(代わりにマーガリンやファットスプレットの場合もある)が入っています。
3 危険と言われるのはトランス脂肪酸が含まれるから
様々な食品に使われるショートニングですが、一方で体への影響も懸念されています。
それは体への悪影響が懸念される「トランス脂肪酸」が含まれるからです。
トランス脂肪酸は血液中のLDL(悪玉)コレステロールを増やし、心臓病のリスクが高まることがわかっています。※2
ここでは、ショートニングをどの程度気にすればいいのか解説していきます!
3-1 頻繁に加工食品を食べるのはなるべく避けた方が良い
企業努力によってショートニングのトランス脂肪酸は年々減少してきています。
ですが、問題なのは売っている加工食品にどれくらいショートニングが入っているかわからない点です。
絶対摂らないようにしよう!とまでは言いませんが、ショートニングなどが含まれる加工食品を頻繁に食べるのは避けた方が良さそうです。
コンビニやスーパーのお惣菜や冷凍食品を買う人や、ファストフード・レストランなど外食が多い人は、知らず知らずのうちにショートニングを摂り過ぎている可能性があるので注意が必要です。
お惣菜を買うことや外食が多い方は、まず自炊するのを1日でも増やしてみることからはじめてみましょう。
豪勢な料理を作る必要はありません。ご飯+お味噌汁+炒め物(すぐにできる簡単なおかず)など、自分に無理のない範囲からチャレンジしてみましょう。
日本ではトランス脂肪酸の規制はされていない
現在、日本ではショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸の規制はありません。
それは今のところ、日本人のトランス脂肪酸の摂取量が欧米人などと比べ少ないからです。
一方で、アメリカやEU、中国などでは摂取量や濃度などの数値を定めて制限している国もあります。
ただ、企業側も気にしてトランス脂肪酸をできるだけ抑えた商品も作られるようなってきています。
参考
※ 農林水産省「すぐわかるトランス脂肪酸」
3-2 原材料に「食用精製加工油脂」の表示もあるものも避けた方がベター
ショートニングだけではなく原材料に「食用精製加工油脂」や「マーガリン」などの表示があるものもなるべく避けた方が良いでしょう。
ショートニングと同様にトランス脂肪酸がどれくらい含まれているかわからないからです。
トランス脂肪酸を全く含まないものを食べ続けるのは難しいかもしれませんが、原材料表示に「食用精製加工油脂」「マーガリン」「ショートニング」などの表示があるものを毎日摂り過ぎないようにするなど意識することが大切です。
4 家庭で使う分には大丈夫そう
中には家庭のお菓子やパンづくりでショートニングを使う人もいるかと思いますが、ショートニングは家庭で使う分には問題ないと言えそうです。
それは2点の理由からです。
① トランス脂肪酸フリーの家庭用ショートニングがある
② 家庭の場合はショートニングを入れる量を調節できる
つまり、家でお菓子などを作る場合は、ショートニングの量を把握できるので、トランス脂肪酸の過剰摂取をそこまで心配する必要がないということです。
家庭用ショートニングを使う場合は2つをチェックしよう
家庭用のショートニングを選ぶ時のポイントは2つあります。
- 「トランス脂肪酸フリー」か「トランス脂肪酸低減」の製品を選ぶ
- 「部分水素添加油脂不使用」の製品を選ぶ
さらに、脂肪の摂り過ぎを防ぐために、ショートニングを入れる量を調節すると健康的なレシピに近づくでしょう。
ショートニングの中には、まだトランス脂肪酸低減されていないものやトランス脂肪酸濃度の高い商品もあるようなので、もし家庭で使う時はパッケージをよくチェックして選びましょう。
気をつけるのはショートニングだけではない
1つの問題ばかりに気を取られ過ぎずに、バランスのとれた食生活に変えていくことが何より大切であると筆者は考えます。
いくらショートニングを食べないように気をつけていたとしても、毎日お菓子を食事の代わりにしたり、間食しすぎたりすれば、食生活の乱れによって体に悪影響なのは容易に想像がつきますよね。
もちろん、ショートニングを食べないことに越したことはありません。ですが、全面的に排除するのは難しいですし、制限が多くて食事が苦痛になってしまうほど悲しいことはありません。
0か100かの前に、適切な量の食事と栄養バランスに気をつけることの方が大切なのではないでしょうか。
まとめ
ショートニングについておさらいすると、
・ショートニングはお菓子やパンなどに使われる食感を良くする油
・ショートニングとはマーガリンの兄弟みたいな存在
・ショートニングは冷凍食品などあらゆる食品に含まれている
ショートニングが体に悪いと言われる理由は、
・心臓病リスクを高めるトランス脂肪酸を含むから
企業努力によってショートニングに含まれるトランス脂肪酸は減少してきています。
しかし、加工食品に含まれるショートニングには気を付ける必要があります。
それは、日本ではトランス脂肪酸の表示義務がないため、ショートニングが含まれる加工食品を頻繁に食べているとトランス脂肪酸を摂り過ぎてしまう恐れがあるからです。
以上のことから、ショートニングは自宅などでお菓子づくりに使用する分には問題ありません。
ですが、市販のお菓子やパン、ファーストフードなど加工食品に含まれるショートニングは食べ過ぎない方が良いと言えます。
まずは、普段自分がどんなものをどれくらい食べているのかを意識することが大切です。
また、健康な食生活を送るためにはショートニングのトランス脂肪酸だけを避ければ良いというわけではありません!それは1つのものを排除したからと言って、健康的な食生活になるとは限らないからです。
栄養バランスが整った、適量の食事を心掛けていきたいものですね!
この記事が、健康的な食事をチョイスする判断材料となれば嬉しいです!
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