「久しぶりにマーガリンを使おうと思ったら、賞味期限が切れてしまっていた……」
「『消費期限』じゃなくて『賞味期限』なんだから、少しぐらい切れてても食べられるかな?」
あなたは今、そうお考えではありませんか?
塩や砂糖など、日常的に使う調味料に比べると、マーガリンの登場頻度はやや低め。
そんなマーガリンですから、気付けば賞味期限が切れてしまっていた……なんて失敗も珍しくありません。
マーガリンを使う前提で献立を考えていたのに、いざ使おうとして賞味期限切れに気付いたら悔しいですよね。
ちょっとぐらいなら使って大丈夫かな?と思う気持ちもよく分かります。
でも、賞味期限が切れたマーガリンを食べるのは、基本的にはNGなんです。
ネット上には「1ヶ月程度なら大丈夫!」といった情報を掲載しているページが数多くありますが、信頼性のある情報に基づいたものではなく、あくまで個人の意見でしかありません。
この記事は、マーガリンを製造しているメーカーの情報を元に作成していますので、大切な体に関わる「食の情報」を正確に知ることができます。
記事を最後までご覧いただければ、なぜ賞味期限切れのマーガリンを食べるべきではないかがよく分かるでしょう。
さらに、マーガリンの賞味期限について知っておくべき以下のポイントもお伝えします。
- 「未開封」「開封後」マーガリンそれぞれにおける賞味期限の考え方
- 開封後のマーガリンの質を保つための2つの秘訣
- マーガリンの保存時に気をつけたい注意点
賞味期限切れのマーガリンを食べてもいいかお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.賞味期限切れマーガリンを食べるのは、基本的にNG!
ネット上には、こんな情報が溢れています。
「マーガリンは腐りづらい食品だから、賞味期限が1ヶ月ほど過ぎていても大丈夫!」
「賞味期限は『味』を保証するものだから、少しぐらい切れてしまっても問題ない」
でも、こうした情報に明確なソース(情報元)はありません。
決して、国やWHOなど、信頼できる公的な機関がそのように述べているわけではないのです。
念のため、国やWHOのホームページで「賞味期限切れのマーガリン(食品)を食べても大丈夫か」を調べてみましたが、何ひとつ情報は得られませんでした。
わざわざ明記する必要するまでもなく、当然、賞味期限切れのマーガリン(食品)は食べるべきではない、と考えて然るべきでしょう。
では、マーガリンを製造しているメーカーは、どのように述べているのでしょうか。
マーガリンが「未開封」の場合と「開封後」の場合、それぞれについてまとめました。
1-1.「未開封」のマーガリンは、賞味期限内に食べきる
結論から申し上げると、たとえマーガリンが「未開封」であっても、賞味期限内に食べきることが推奨されています。
ただ、明治のホームページには「(賞味)期限後すぐに食べられなくなるわけではありません」との記述もありますから、賞味期限が切れたため即日食べられなくなる、というわけではありません。
各メーカーが提示している情報を見てみましょう。
雪印メグミルク
(製造している主なマーガリン名:ネオソフトシリーズ、バターのようなマーガリン、など)
当社では、賞味期限を過ぎた商品をお召しあがりいただくことは、おすすめしていません。
明治
(製造している主なマーガリン名:明治コーンソフトシリーズ、明治なめらかソフト、など)
「賞味期限」とは未開封の状態で、製品に表示されている保存方法、温度で保管した場合においしく召し上がれる期限のめやすです。期限後すぐに食べられなくなるわけではありませんが、保存方法を守って風味などを確認し、できるだけ早くお召し上がりください。
「ネオソフトシリーズ」で知られる雪印メグミルクは、「賞味期限を過ぎた商品をお召しあがりいただくことは、おすすめしていません。」と明言しています。
「明治コーンソフトシリーズ」で知られる明治は、「期限後すぐに食べられなくなるわけではありません」としながらも、「保存方法を守って風味などを確認し、できるだけ早くお召し上がりください。」と記載しています。
1-2.「開封後」のマーガリンは、賞味期限に関わらず早めに食べきる
続いて、「開封後」のマーガリンが賞味期限切れとなった場合を見てみましょう。
こちらも結論から申し上げると、開封後の場合、賞味期限が切れたマーガリンは決して食べてはいけません。
賞味期限は、
- 「未開封」の状態
- 製品に表示されている保存方法、温度で保管した場合
においしく食べられる期限の目安であり、「開封後」はこれに当てはまらないためです。
それでは、各メーカーが提示している情報をご覧ください。
雪印メグミルク
(製造している主なマーガリン名:ネオソフトシリーズ、バターのようなマーガリン、など)
賞味期限は、未開封の状態で定められた方法(牛乳の場合、要冷蔵10℃以下)で保存した場合に、その食品の特徴(風味、色調など)が充分に保たれていると認められる期限です。なお、一度開封すると、品質の劣化が早まりますので、開封後は定められた方法に従って保存していただき、賞味期限にかかわらず、できるだけ早めにお召しあがりください。
明治
(製造している主なマーガリン名:明治コーンソフトシリーズ、明治なめらかソフト、など)
賞味期限内であっても、開封すると賞味期限の日付は無効になりますので、「できるだけ早く」お召し上がりください。
小岩井乳業
(製造している主なマーガリン名:小岩井マーガリンシリーズ)
賞味期限は未開封の状態で個々の商品に表示されている方法で保存されていた場合に、品質と風味が保たれる期限です。
開封後は、各ご家庭の保存状況にもよるため一概には言えませんが、目安として次のとおりご案内いたします。
(中略)・チーズ、バター、マーガリン、ジャム・・・冷蔵保存で2週間程度
雪印メグミルク・明治共に、「できるだけ早くお召し上がりください」とあります。
小岩井乳業は「冷蔵保存で2週間程度」とありますので、たとえ賞味期限の範囲内であっても、かなり早めに食べきる必要があります。
マーガリンが開封済みだった場合は、もはや賞味期限云々の話ではなく、「開封後はできるかぎり早く食べきる」としていただくことが健康のためになります。
1-3.知っておきたい「賞味期限」と「消費期限」の違い
マーガリンに記載されている「賞味期限」。
似たような単語に「消費期限」がありますが、あなたは、これらの違いを正しく理解できているでしょうか。
農林水産省のホームページ「子どもの食育」には、以下のように記載されています。
賞味期限(おいしく食べることができる期限です!)
袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。スナック菓子、カップめん、チーズ、かんづめ、ペットボトル飲料など、消費期限に比べ、いたみにくい食品に表示されています(作ってから3ヶ月以上もつものは「年月」で表示することもあります)。この期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。もし、賞味期限が過ぎた食品があったら、大人の方とそうだんしてから食べましょう。
食品は表示されている保存方法を守って保存しておくことが大切です。ただし、一度開けてしまった食品は、期限に関係なく早めに食べるようにしましょう。消費期限(期限を過ぎたら食べない方が良いんです!)
袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「安全に食べられる期限」のこと。お弁当、サンドイッチ、生めん、ケーキなど、いたみやすい食品に表示されています。引用:農林水産省『子どもの食育「消費期限(しょうひきげん)と賞味期限(しょうみきげん)」』
要約すると、以下のようになります。
- 賞味期限:いたみにくい食品に表示される「おいしく食べることができる期限」
- 消費期限:いたみやすい食品に表示されており、期限を過ぎた場合は食べないことを推奨
もちろん、どちらも「袋や容器を開けないままで」という前提がついています。
農林水産省も、明治と同じように「賞味期限が切れた(過ぎた)からといって、すぐに食べられなくなるわけではない」としています。
しかし、決して「賞味期限だから切れても大丈夫」というわけではありませんので、くれぐれもご注意ください。
2.未開封のマーガリンの賞味期限は8~9ヶ月程度
そんなマーガリンですが、未開封時の賞味期限はおおよそ8~9ヶ月程度とされています。
詳しくは下記の表にまとめましたので、ご覧ください。
明治のホームページには賞味期限の記載がありませんでしたが、8~9ヶ月程度を目安として考えておくといいでしょう。
※参考
雪印メグミルク株式会社「ネオソフト」
雪印メグミルク株式会社「バターのようなマーガリン」
株式会社明治「明治コーンソフト 300g」
株式会社明治「明治なめらかソフト 280g」
小岩井乳業「小岩井マーガリン【醗酵バター入り】180g」
3.開封後にマーガリンの質を保つための2つの秘訣
続いて、開封後にマーガリンの質を保つための秘訣を紹介します。
大事なことは、下記の2点です。
- マーガリンを清潔に保つこと
- 適切な温度で保管すること
明治のホームページ上で記載されている「マーガリン類の保存方法」を参考に、それぞれの秘訣について説明します。
3-1.マーガリンを清潔に保つこと
明治は、マーガリンを清潔に保つために、下記の方法を推奨しています。
- 開封後は、ふたをしっかり閉じて、バターナイフなどを入れっぱなしにしないようにする
- 容器の中にパンくずなどが入らないよう、バターナイフやスプーンは使うたびに清潔なものに取り替える
- 使用の際には、必要な分だけを取り、使い終わったら容器のふたをきちんと閉めて、すみやかに冷蔵庫に保存する
バターナイフやスプーンは、取り替えるのが面倒で、ついつい入れっぱなしにしてしまいがちですが、マーガリンの状態を悪くしてしまいかねません。
マーガリンに混入したパンくずなどは、カビの原因となってしまいます。必ず清潔なバターナイフなどを使うようにしましょう。
なお、容器についているシートや薄い紙は、空気に触れることでマーガリンの風味が劣化してしまうことを防ぐためのものです。
開封後は取って使用しても構いませんが、風味を長く保つためにも、付けたままにすることをオススメします。
3-2.適切な温度で保管すること
温度管理については、下記のように記載しています。
- マーガリン類は、未開封でも開封後でも、必ず10℃以下で冷蔵保存する
- 常温に置いて温度が上がると、柔らかくなり、表面に水分がにじみ出てきたり空気中の水分が結露したりして、カビが生えやすくなる
冷蔵室内の温度は0~10℃の範囲内で設定できるように定められており、一般的な冷蔵室は1~5℃前後のものが多くなっています。
ただし、頻繁に冷蔵庫を開け閉めすると庫内の温度が上がってしまうため、温度変化の影響を受けづらい場所(庫内の奥など)に保管するようにしましょう。
また、保存温度は低すぎてもいけません。
雪印メグミルクの「お客様センター(お問い合わせ)」では、マーガリンをチルド室やパーシャル室で保存することは推奨していません。
チルド室は-2~0℃、パーシャル室は-3℃と、冷蔵室よりも低い温度に設定されているためです。
多くの場合、マーガリンの保存方法には「10℃以下」とありますが、具体的には「5℃前後」での保管を推奨しています。
低すぎる保存温度がマーガリンに与える悪影響については、次の章で説明します。
4.マーガリンの冷凍保存はNG!風味の悪化やカビの原因にも
ネット上の記事には、「どうしてもマーガリンを賞味期限内に食べきれない場合は、思い切って冷凍しましょう」という情報が散見されますが、これは大きな間違いです。
マーガリンの冷凍は、どのメーカーも推奨していません。
雪印メグミルクの「お客様センター(お問い合わせ)」に記載されている情報が分かりやすかったので、下記に引用します。
マーガリンは、必ず冷蔵庫で保存してください。冷凍庫で保存した場合、解凍時に油分と水分が分離してしまうことがあります。さらに、マーガリンの表面に水分がにじみ出てくることによって、カビが生えやすくなります。以上のことから、マーガリンは冷凍庫では保存しないでください。
マーガリンの油分と水分が分離し、風味や口当たりが悪くなるだけでなく、カビの原因にもなる冷凍保存。
百害あって一利なしなので、決してマーガリンは冷凍保存しないようにしましょう。
なお、マーガリンよりも水分量が少なく、乳脂肪分が80%超を占めるバターであれば、冷凍保存が可能です。
とはいえ、風味の観点から冷凍保存は推奨されていませんので、できるかぎり商品表示で記載されている保存方法(要冷蔵10℃以下)で保管するようにしましょう。
マーガリンとバターの違いについて知りたい方は、別記事『バターとマーガリンの違いとは?特徴、長所と欠点など詳しく解説!』も読んでみてくださいね!
5.まとめ
今回の記事では、マーガリンの賞味期限にまつわる情報をおまとめしました。
改めて要点をおさらいしましょう。
- 賞味期限切れのマーガリンは、基本的に食べてはいけない
- マーガリンが未開封の場合は、賞味期限内に食べきる
- マーガリンが開封後の場合は、賞味期限に関わらず、2週間を目安に食べきる
- 未開封のマーガリンの賞味期限は8~9ヶ月程度
- 開封後のマーガリンの質を保つには「清潔に保つこと」と「適切な温度管理」が大事
- マーガリンの冷凍保存は、風味の悪化やカビの原因となるため絶対にNG
マーガリンを購入する際は、上記を踏まえ、おいしく食べきれる範囲で購入するようにしましょう。
コメント