フェリチン鉄とは体内の貯蔵鉄!効果や摂取方法、他の鉄との違い

「フェリチン鉄って何?」
「どんな働き?ほかの鉄サプリと何が違うの?」

今あなたは、たくさんの商品から鉄サプリを選んでいる中で「フェリチン鉄」の存在を知ったのですよね。「何となく良さそうだけど、どんなものか分からない」と思い、この記事にたどり着いたのではないでしょうか。

一言で分かりやすくお伝えすると、フェリチン鉄とは「体に蓄えられている鉄分のこと」で、貯蔵鉄とも言われます。

鉄分は通常、体内に取り込まれると、酸素を運んだりエネルギーを生産するサポートをします。ただ、必要量以上の鉄分はその時使われず、「貯蔵鉄(=フェリチン鉄)」として体内に蓄えられるのです。

そして貯蔵鉄は、一時的に鉄分不足になった場合に体内に放出され、不足分を補います。

【一時的に鉄不足になる状況】

  ・怪我をして出血した時
・体が成長する時
・病気になった時
・急に激しい運動をした時
・生理や妊娠の時


つまり貯蔵鉄(フェリチン鉄)は、怪我や病気など「もしも」の時の備えだと言えるのです。貯蔵鉄が不足していれば、急に鉄分が不足しても体が対応できず、あっという間に貧血になってしまいます。

ただ、フェリチン鉄は一部の大豆製品に少量含まれているだけなので、食品から十分量を摂取することは難しいです。

そのため、フェリチン鉄を増やすには、フェリチン鉄に加工された鉄分サプリで取り入れる方法がおすすめです。

そこでこの記事では、フェリチン鉄の特徴や効果、効率よく摂取する方法や注意点などを、どこよりも詳しく、分かりやすく説明していきます。

最後までお読みになれば、フェリチン鉄がどのように私たちの体に作用しているのかがわかり、生活に取り入れるべきかどうか迷わず判断できるようになるでしょう。

目先だけでなく将来的にも健康な毎日を手に入れられることを願っています。

1. フェリチン鉄とは体に蓄えられている鉄分のこと

冒頭でも説明した通り、フェリチン鉄を一言で説明すると、体内に蓄えられている鉄分のことです。

次の図をご覧ください。

鉄分は通常体内に取り込まれると、酸素を運んだりエネルギーを生産するサポートをする「機能鉄」として使われます。

ただ、使われる鉄分の量は決まっていて、多量の鉄分が取り込まれても必要量以上は使われません。余剰な鉄分はその時使われず、「貯蔵鉄(=フェリチン鉄)」として肝臓やすい臓などに蓄えられていきます。

蓄えられた貯蔵鉄は、次のような一時的に鉄分不足になった場合に体内に放出され、不足分を補います。

【一時的に鉄不足になる状況】

・怪我をして出血した時
・体が成長する時
・病気になった時
・急に激しい運動をした時
・生理や妊娠の時


上記からもお分かりの通り、フェリチン鉄は体内に蓄えられ、体が一時的に鉄分を失ってしまった緊急事態の際に、鉄分不足から守ってくれる役割を果たすのです。

2.【比較】フェリチン鉄と他の鉄分との違い

フェリチン鉄がどんなものかが分かったら、次に気になるのは「他の鉄分との違いは何?」ということですよね。

鉄サプリの種類は、大きく分けて3つです。

・ヘム鉄
・非ヘム鉄
・フェリチン鉄


それぞれの違いを見ていきましょう。

フェリチン鉄と他の鉄分には、吸収率と風味、副作用などで違いがあります。

次の表をご覧ください。

種類吸収率風味副作用
ヘム鉄ありあり
非ヘム鉄×ありあり
フェリチン鉄なしなし


※キレート鉄もあるが、日本では食品として認可されておらず、製造もされていない

上記からもお分かりの通り、フェリチン鉄は吸収率が高く、鉄サプリ特有の「鉄くさい風味」もないです。また、副作用も発生しません。

フェリチン鉄は他の鉄分と比較すると、体に優しく飲みやすい鉄分だということが分
かります。
それぞれの鉄とフェリチン鉄の違いについて詳しく知りたい人は、下記記事もぜひチェックしてください。

▼フェリチン鉄とヘム鉄の違いや効果などを詳しく知りたい人はこちら
フェリチン鉄とヘム鉄の違いは5つ!サプリを選ぶ時のポイントも解説

▼フェリチン鉄とキレート鉄との違いや効果などを詳しく知りたい人はこちら
フェリチン鉄とキレート鉄の違いは4つ!選ぶならフェリチン鉄がおすすめ

3. フェリチン鉄で期待できるすごい効果5つ

先ほどの説明で、フェリチン鉄がほかの鉄サプリよりも優れていることがお分かりになりましたよね。

そのほかにも、フェリチン鉄には次の5つの効果が期待できるので、ぜひ知っておきましょう。

・貧血の予防
・免疫力の向上
・活力の向上
・集中力の向上
・健康な髪や爪の維持


それぞれについて詳しく説明していきますので、フェリチン鉄をもっとよく知るために参考にしてくださいね。

フェリチン鉄で期待できる効果(1)貧血の予防

フェリチン鉄を摂取することで、貧血の予防効果が期待できます。

なぜなら、鉄分は赤血球の主成分であるヘモグロビンを構成しており、全身に酸素を運びます。

 

 

 

 

 

※イメージ図

そのため、フェリチン鉄が十分にあれば、ヘモグロビンも充足するので、赤血球が不足することもありません

貧血は赤血球が不足して全身に酸素が回らなくなることで起きるので、フェリチン鉄が十分にあれば、貧血も予防できる可能性が高いのです。

実際、鉄として1日あたり5~10mgの豆由来フェリチン鉄摂取により、月経により貧血状態だった女性のヘモグロビン値や血中フェリチン値が回復したという報告も行われています。

Ryuji Takeda, Yuji Kuriyama, Yasushi Yoshida. Restorative effect of bean ferritin iron on low hemoglobin level in Premenopausal Women with Menstruation-Induced Anemia: A randomized, double-blind placebo-controlled intergroup trial Functional foods in health and disease 2024; 14(3): 169-183

 フェリチン鉄で期待できる効果(2)免疫力の向上

フェリチン鉄は免疫力を向上させてくれる可能性があります。

なぜなら、鉄は人間の免疫システムが正常に機能するために欠かせない要素だからです。
(参考/日本微量栄養素情報センター「鉄」

免疫システムとは、体内に病原体が入ってきた時に、複数の細胞が助け合って体を守る仕組みのこと。
免疫システムが正常に機能していれば、感染症に対する抵抗力が向上します。

つまり、フェリチン鉄が十分にあれば、免疫力の向上が期待できるということです。

フェリチン鉄で期待できる効果(3)活力の向上

フェリチン鉄が充足していることで、活力向上の期待もできます。

鉄は、エネルギーを生み出している「酵素」の成分で、働きもサポートしているからです。そのため、フェリチン鉄が十分であれば、日常生活を元気に活動的に過ごすことができます。

エネルギーレベルが上がるので、運動能力の向上にもつながります。

フェリチン鉄で期待できる効果(4)集中力の向上

フェリチン鉄を摂取することで、集中力の向上も期待できます。

なぜなら、体内に鉄が十分にあることで、脳にもたくさん酸素が送られるからです。

さらに、鉄は集中力を高めるドーパミンの分泌にも深く関与していて、鉄不足が長期化するとドーパミンが不足するという研究データもあります。
(参考/Michael K Georgieff 「Long-term Brain and Behavioral Consequences of Early Iron Deficiency」

つまり、鉄が十分にあれば、脳の機能が活性化して集中力の向上が期待できるというわけです

フェリチン鉄で期待できる効果(5)健康な髪や爪の維持

鉄が十分にあれば、健康な髪や爪を維持できる可能性が高いです。

髪や爪の主成分は「ケラチン」というタンパク質で、鉄はケラチンの生成を担っています

そのため、フェリチン鉄を摂取して体内に十分な鉄があれば、抜け毛やもろい爪などを防ぐのに役立ちます。いつも健康で若々しい髪や爪を維持できるというわけです。

4. フェリチン鉄が不足すると貧血リスクが高まる

フェリチン鉄には、人間の健康をさまざまな方向からサポートする役割があることがお分かりになったと思います。そこで次に気になるのは、フェリチン鉄が不足したらどうなってしまうのか、ということですよね。

結論からお話すると、フェリチン鉄が不足すると貧血リスクが高まります。

フェリチン鉄が不足すると、いざという時に使う鉄分がありません。そのため、普段の生活で必要な鉄分量を取れていない場合、あっという間に深刻な鉄不足に陥ってしまうのです。

鉄不足は貧血を招きます。

全身に酸素を運ぶ赤血球の主成分は、鉄です。鉄が不足すると赤血球も減り、全身に酸素が行き渡らなくなります。そうなると、疲れやすくなったり息切れが見られ、いわゆる「貧血」になるのです。

鉄不足と貧血の関係性や仕組みについて詳しく知りたい人は、「【予防法は3つ】生理で貧血になるのはなぜ!原因を分かりやすく解説 」の記事をぜひチェックしてみてください。

フェリチン鉄があれば必要に応じて鉄を補給するので鉄不足になりにくいのですが、フェリチン鉄が不足しているとすぐに体は鉄不足に陥り、貧血になってしまうのです。

5. フェリチン鉄を蓄える2つの方法

ここまでの説明を聞いて、ほとんどの人が「フェリチン鉄をいつも蓄えておきたい!」と思うことでしょう。

ただ、基本的にフェリチン鉄そのものは食事から摂取することが難しいです。そのため、次の2つの方法のどちらかを実行する必要があります。

・毎日食事から必要量以上の鉄分を摂取し続けて余剰分を生み出す
・フェリチン鉄に加工されたサプリメントを活用する


それぞれについて詳しく説明していきますので、フェリチン鉄の摂取を検討している人はぜひ参考にしてくださいね。

毎日食事から必要量以上の鉄分を摂取し続けて余剰分を生み出す

フェリチン鉄を自然な形で蓄えようとするなら、毎日食事から多量の鉄分を摂取し続けて余剰分を生み出すしかありません。

なぜなら、フェリチン鉄そのものを食品から摂取することは難しいからです。ただ、下記にもある通り、大豆製品の一部には微量のフェリチンが発見されたという研究データもありますが、それでも十分な量を摂取することは現実的ではないでしょう。

【フェリチン鉄が大豆製品(発酵製品を除く)に微量発見】

フェリチン鉄は体内で貯蔵されている鉄分の構造体なので、基本的には食品から摂取できるものではありません。

ただ、最近の研究で、発酵製品を除く大豆製品の一部にフェリチン鉄が微量含まれているという発表があり、注目が集まっています。

(参考/日本農芸化学会「化学と生物」vol55


そのため、機能鉄に使われる鉄分量以上の量を摂取し続けるしかないのです。

ただ、鉄分は毎日汗や尿で排出されているので、必ず鉄分を補給しなければあっという間に鉄不足になってしまいます。

1日に必要な鉄分量は、以下の通りです。

1日の鉄分推奨量※20歳〜49歳食品から摂取する場合の目安
【女性】10.5mg(月経なしの場合/6.5mg)・豚レバー約100g
・納豆6パック

・小松菜500g
【男性】7.5mg・豚レバー60g
・納豆4パック
・小松菜400g

(参考/厚生労働省「e-ヘルスネット」文部科学省「食品成分データベース」

上記を目安に鉄分を意識した食事を毎日継続していれば、余剰分が生まれ、フェリチン鉄を蓄えることができます

フェリチン鉄に加工されたサプリメントを活用する

次にご紹介するのは、フェリチン鉄に加工されたサプリメントを活用する方法です。

サプリなら、1日数粒服用するだけでフェリチン鉄を増やすことができます。忙しくて外食が続いたり毎日栄養バランス満点な食事を作らなくても、フェリチン鉄を増やすことができるのです。

フェリチン鉄のサプリの特徴を説明しましょう。具体的には、次の2つです。

・鉄特有の匂いがなく飲みやすいものが多い
・便秘や胃のむかつき、吐き気などが起こりにくい


まず、フェリチン鉄のサプリは、鉄特有の匂いがなく飲みやすいのが特徴です。

また、フェリチンというタンパク質に包まれている構造なので、体内に吸収される際にフリーラジカル(活性酸素)が発生しません。そのため、便秘や悪心などの副作用を引き起こしにくいです。

何よりサプリは手軽な方法なので、生活に取り入れやすく継続しやすいでしょう。

6. フェリチン鉄を増やした方が良い人の特徴2つ


先ほどフェリチン鉄を蓄える方法を説明しましたが、
「自分は蓄えるべき?それほど必要ない?」と疑問に感じている人もいますよね。
現代人はそもそも鉄分が不足している人が多いので、大前提として、フェリチン鉄はすべての人が積極的に摂った方が良いでしょう。

中でも、以下の2つの当てはまる人は特にフェリチン鉄を増やすことがおすすめです。

・慢性的に貧血症状がある
・いざという時に備えたい


それぞれについて、もう少し詳しく説明していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。

慢性的な貧血症状がある

毎日倦怠感が抜けない、立ちくらみがひどいなど、慢性的に貧血症状がある人にはフェリチン鉄がおすすめです。

慢性症状がすでに出てきているということは、鉄分が絶対的に不足しています。そのため、鉄を摂取してもすぐに使われて、また鉄不足に陥ってしまうので、慢性貧血の人は貯蔵鉄を増やすことが必要なのです。

ただ、貧血にもさまざまな原因があり、鉄不足以外が原因になっている貧血もあります。フェリチン鉄は鉄欠乏性貧血以外には効果が期待できないので、慢性貧血の人は、まず病院を受診して検査してもらいましょう。

 いざという時に備えたい

一時的かつ急激に鉄分不足になってしまう事態に備えたいという人は、フェリチン鉄がおすすめです。

具体的には、次のようなケースが考えられます。

・生理の時に貧血になりやすい
・スポーツの後や残業が続くと疲れが抜けにくい
・妊娠の可能性がある、もしくは妊娠中か授乳中である


上記は誰にでも起こることではありませんが、万が一起きた時は鉄分不足になりやすく、めまいやたちくらみ、倦怠感などを引き起こします

当てはまる人はフェリチン鉄を普段から摂取しておくことで、いざという時に備えられるのです。

7. フェリチン鉄を摂取する際に知っておきたいポイント

最後に、これからフェリチン鉄を摂取しようと考えている皆さんに、注意点をお伝えしておきます。それは、フェリチン鉄を摂取する際は、過剰摂取に十分気をつけなければならないということです。

鉄分を過剰摂取すると、短期的には次のような症状がみられます。

  • 吐き気
  • 腹痛
  • 便秘、下痢
  • 倦怠感
  • 肝機能障害


また、長期的に過剰摂取が続いた場合は、肝硬変や肝臓がんなど、さらに重篤な症状が現れる可能性もあります。

せっかく健康のために頑張ってフェリチン鉄を摂取していても、過剰摂取になってしまうと逆に健康を害することになり、元も子もありません。

現実的に考えて、食品からの鉄分摂取で上記のような症状が現れるほど過剰摂取になることは少ないですが、鉄サプリは注意が必要です。

摂取しやすい分、間違った用量で飲み続けるとあっという間に過剰摂取になってしまいます。

そのため、鉄サプリを服用する際は、過剰摂取にならないよう、商品のパッケージに記載されている用法用量を正しく守って服用するようにしてくださいね

8. まとめ

いかがでしたか?フェリチン鉄とは何かについて、効果や他の鉄との違い、摂取方法などを詳しく説明してきました。

最後にこの記事をまとめましょう。

◎フェリチン鉄とは体に蓄えられている鉄分のこと

◎フェリチン鉄とほかの鉄分との違いは次の通り

種類吸収率風味副作用
ヘム鉄ありあり
非ヘム鉄×ありあり
フェリチン鉄なしなし


◎フェリチン鉄で期待できるすごい効果は5つ

・貧血の予防
・免疫力の向上
・活力の向上
・集中力の向上
・健康な髪、肌、爪の維持

◎フェリチン鉄が不足すると貧血リスクが高まる


◎フェリチン鉄を蓄える方法は次の2つ

・毎日食事から必要量以上の鉄分を摂取し続けて余剰分を生み出す
・フェリチン鉄に加工されたサプリメントを活用する


◎フェリチン鉄を増やした方が良い人の特徴は2つ

・慢性的に貧血症状がある
・いざという時に備えたい


以上になります。記事でも説明した通り、フェリチン鉄は体内に蓄えられている鉄分のことです。

フェリチン鉄には貧血を予防したり活力を高める効果が期待できることもあり、慢性的な貧血に悩む人やいざという時に備えたい人は特に積極的に摂取するようにしましょう。

フェリチン鉄は何かをしっかり理解でき、あなたの生活の中にフェリチン鉄が取りれられると幸いです。

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