フェリチン鉄とキレート鉄の違いは4つ!選ぶならフェリチン鉄がおすすめ

「フェリチン鉄とキレート鉄の違いって何?」
「どちらを選べば良いの?」

この記事にたどり着いたあなたは、一番効果が期待できる鉄分サプリを探していて、フェリチン鉄とキレート鉄に出会ったのではないでしょうか。

最近は「フェリチン鉄がおすすめ」という情報を美容や健康系のメディアでよく耳にするものの、実際にインターネットでサプリを探していると「キレート鉄」も多く見かけますよね。そのため、どれを選べば良いのか分からなくなってしまう人も多いでしょう。

フェリチン鉄とキレート鉄は、吸収率や体内での使われ方など、主に次の4つの違いがあります。

フェリチン鉄キレート鉄
吸収率
体内での使われ方貯蔵すぐ利用or貯蔵
効果貧血の予防貧血の軽減
安全性


一見すると吸収率の高いキレート鉄の方がいいと思われるかもしれませんが、実は日本国内で認可がされていないことや、安全性も低いことから、安易にすすめられるものではありません。

安全性については、4. フェリチン鉄とキレート鉄の違い4|安全性で詳しく解説しますが、もしフェリチン鉄とキレート鉄で迷ったら、フェリチン鉄がおすすめです。

ただ、フェリチン鉄を選んだとしても、単にサプリを飲むだけではせっかくの効果を最大限に期待することはできません

鉄サプリの効果を最大限に発揮させるためには、吸収率を高めるコツを知ってしっかり実践することが非常に重要になのです。

そこでこの記事では、以下のポイントについてどこよりも分かりやすく解説していきます。

▼この記事で分かること

◎フェリチン鉄とキレート鉄の違い4つ
◎フェリチン鉄とキレート鉄で迷ったらフェリチン鉄がおすすめな理由
◎鉄サプリの効果を最大限に引き出すためのコツ4つ


この記事を最後までお読みになれば、あなたがフェリチン鉄を選ぶべき理由が分かるでしょう。

あなたが自分に合った鉄サプリを選ぶことができ、健康で美しいカラダを保つことができるようになることを願っています。

1. フェリチン鉄とキレート鉄の違い1|吸収率

結論からお伝えすると、フェリチン鉄とキレート鉄の吸収率を比較した場合、キレート鉄の方が格段に高くなります。

なぜなら、フェリチン鉄とキレート鉄はそれぞれ構造が大きく異なり、キレート鉄の方が吸収されやすい形だからです。

理由を具体的に説明していきましょう。

まず、フェリチン鉄とキレート鉄の構造は、次の通りです。

フェリチン鉄キレート鉄

 

上記の図を見てもお分かりの通り、フェリチン鉄とキレート鉄は、全く違う形をしていますよね。

フェリチン鉄の構造は、体内で鉄分が蓄えられている「貯蔵鉄」と同じ構造です。一方、キレート鉄は、カニの爪のような形をしています。このカニの爪の部分がキレート剤で、アミノ酸の一種です。

ここで知っておくべき基礎知識として、鉄は摂取しすぎると肝機能障害や胃腸障害など体にマイナスに働くため、体自身がたくさん取りすぎないよう、制御するようになっています

そのため、あくまでも「鉄分」であるフェリチン鉄は、通常の鉄と同じ過程で吸収されるので、一気に吸収率が高まることはありません。

ところが、キレート鉄は鉄がキレートで挟まれているので、人間の体が「鉄」ではなく「アミノ酸」だと認識してしまいます

アミノ酸は体の機能を維持するために必須な栄養素なので、鉄とは逆に優先的にできるだけ多く摂取されてしまうのです

これが、キレート鉄の吸収率が非常に高い仕組みです。

2. フェリチン鉄とキレート鉄の違い2|体内での使われ方

フェリチン鉄とキレート鉄は、体内での使われ方にも違いがあります。

上記からもお分かりの通り、フェリチン鉄は体内に貯蔵されますフェリチン鉄は、肝臓やすい臓などに貯蔵されている貯蔵鉄のことなので、体外から摂取した場合も「貯蔵鉄」として体内に貯蔵されるのです。

一方、キレート鉄は基本的にすぐ利用される「機能鉄」になりますが、吸収率が非常に高いためすぐに余剰分が生まれ、貯蔵鉄としても蓄えられることが多くあります。

機能鉄になった場合は、以下のような働きを担います。

酸素の運搬
エネルギーの産生をサポート


上記が、フェリチン鉄とキレート鉄の体内での使われ方の違いです。

分かりやすくまとめると、フェリチン鉄は万が一鉄分不足に陥った場合の備えとして蓄えられ、キレート鉄は今すぐに酸素を運んだりエネルギーを産生して体の機能を整えるほか、余剰分は蓄えられるということになります。

さらに、貯蔵された後の使われ方にも大きな違いがあります。

フェリチン鉄は貯蔵された後、鉄不足の状況に応じて適量が機能鉄に変換されて体内に放出されます。

キレート鉄も基本的にはフェリチン鉄同様に機能鉄として体内に放出されます。しかし、4. フェリチン鉄とキレート鉄の違い4|安全性 で解説する通り、吸収率の高さにより、あっという間に鉄過剰になってしまう可能性が高いです。

鉄過剰の状態になると、余分な鉄分は機能鉄として使用されずに腸や肝臓に沈着して使われることはありません。

3. フェリチン鉄とキレート鉄の違い3|効果

フェリチン鉄とキレート鉄には、期待できる効果にも違いがあります。

フェリチン鉄は備えなので、普段から摂取しているといざという時に貧血から身を守れます。具体的には次のような場合です。

【フェリチン鉄の効果が期待できるケース】

・生理中の頭痛や立ちくらみ、倦怠感の予防
・スポーツによる貧血の予防
・成長期の貧血の予防


一方、キレート鉄は機能鉄にも貯蔵鉄にもなります。そのため、次のような場合に効果が期待できるでしょう。

【キレート鉄の効果が期待できるケース】

・生理による重度の貧血症状の軽減
・高強度の運動を行ったことによる疲労や貧血症状の軽減


ただ、吸収率が高いキレート鉄であっても、効果が期待できるまでの期間は人それぞれ違います。また、吸収率が高いからといって即効性があることが証明されているわけではないので、「キレート鉄を飲めば一気に貧血が治る!」というような勘違いをしないように十分注意してください。

4. フェリチン鉄とキレート鉄の違い4|安全性

フェリチン鉄とキレート鉄は、安全性に大きな違いがあります。

フェリチン鉄は安全性が高く、キレート鉄の安全性は低いのです。安全性はサプリを選ぶ際の重要なポイントになるので、その理由について詳しく説明していきましょう。

まずフェリチン鉄は体内で貯蔵されている貯蔵鉄と同じ成分・構造なので、体にとってリスクはありません。

一方、キレート鉄は「1.フェリチン鉄とキレート鉄の違い1|吸収率」でも説明した通り、体が鉄だと認識せずどんどん体内に吸収されるので、あっという間に鉄過剰になってしまいます。

鉄過剰になると、鉄は種類に関係なく、腸や肝臓に沈着する性質があるため、機能鉄として使われることがなく溜まる一方になります。

さらに、次のようなリスクが生じます。

【鉄過剰によって腸や肝臓に鉄分が必要以上に溜まると起こるリスク(一例)】

・肝機能障害
・心臓病
・糖尿病
・低血圧


上記のように、鉄過剰になると、あなたの体が甚大な健康被害にむしばまれていく危険性があるのです。

そもそも、大前提として、キレート鉄は日本で食品として認可されていません。インターネットで購入できるものは、すべて海外製のサプリになります。

海外製のサプリは海外の人向けに作られているので、骨格や体格の違う日本人には用量が合わない場合も多いです。欧米の鉄サプリは、通常、日本の摂取基準量の1.8~3.6倍の量が配合されており、2024年12月、個人輸入されたアミノ酸キレート鉄と思われる商品で健康被害が2件報告されています。
実際、鉄サプリに限らず、海外製のサプリを長期間服用して健康被害にあう人も多くいます。

多くの医師や専門家がキレート鉄に関して警鐘を鳴らしている通り、キレート鉄の摂取に関しては十分な注意と自己責任が伴うのです。

5. フェリチン鉄とキレート鉄で迷ったらフェリチン鉄がおすすめ

ここまで説明してきたフェリチン鉄とキレート鉄の違いを踏まえると、あなたが今フェリチン鉄とキレート鉄のどちらを選ぶか迷っているのなら、フェリチン鉄がおすすめです。

その理由は、次の通りです。

・安全性が高いから
・貧血になりにくい体を目指せるから
・吸収率はキレート鉄より劣るがほかの種類の鉄よりは高いから


まず、キレート鉄よりフェリチン鉄を選ぶべき最大の理由は、「4.フェリチン鉄とキレート鉄の違い4|安全性」でもお話した通り、フェリチン鉄は安全性が高いからです。

サプリは毎日継続して飲むものなので、少しでも健康被害などの不安要素があるものは避けましょう

フェリチン鉄はタンパク質に包まれた鉄であり、フリーラジカルを発生させる鉄イオンに変換して吸収する必要がない鉄です。体内フェリチン鉄の貯蔵鉄と同じ構造なのでサプリ自体も体にとって安全ですが、吸収される際に副作用を起こす「フリーラジカル」を発生させないという利点もあります。副作用が起きにくく、安心して飲み続けられるのです。

そして、フェリチン鉄は貯蔵されるため、将来への鉄貯金ができます。つまり、継続して服用していれば鉄不足になりにくい体を目指せるので、生理や不規則な生活、病気などの時に慌てなくてすみます

吸収率に関してはキレート鉄の方が格段に高いのですが、キレート鉄の吸収率は異常だと認識しておきましょう。

鉄分を全般的に見て、フェリチン鉄の吸収率が低いというわけではなく、むしろ高い方です。

つまり、フェリチン鉄は、安全でほかの鉄サプリに比べると吸収率も高く、貧血になりにくい体を目指せます。だからこそ、鉄サプリの選択に迷ったら、フェリチン鉄がおすすめなのです。

6. 【効果を最大限に】知っておくべき鉄サプリを飲む際のコツ4つ

ここまでお読みになっている皆さんは、フェリチン鉄とキレート鉄の違いを理解し、フェリチン鉄を選ぶべきだということがお分かりになったかと思います。

「早速フェリチン鉄サプリを購入して飲み始めよう!」と考えている方も多いと思いますので、効果を最大限に引き出すためのコツを4つお伝えしておきましょう。

・タンパク質やアミノ酸、ビタミンCと一緒に飲む
・吸収を阻害する栄養素を避ける
・腸内環境を整える
・継続して飲む


上記のコツを実践することで、鉄サプリの効果に最大限に引き出せる可能性があります。

それぞれについてもう少し詳しく説明していきます。鉄サプリはやみくもに飲むだけでは効果が十分に発揮されないので、ぜひ参考にしてくださいね。

タンパク質やアミノ酸、ビタミンCと一緒に飲む

鉄サプリを飲む際は、吸収を促進する「タンパク質、アミノ酸、ビタミンC」を一緒に摂るようにしましょう。

【タンパク質を多く含む食品】

・鶏むね肉
・ラム肉
・鮭
・卵


【アミノ酸を多く含む食品】

・鶏むね肉
・鮭
・マグロ
・納豆
・卵


【ビタミンCを多く含む食品】

・キウイフルーツ
・パプリカ
・ブロッコリー
・レモン
・いちご


タンパク質、アミノ酸、ビタミンCをすべて摂取しなければならないわけではありません。上記のうち取りやすいものを選んで摂取すると良いでしょう。

また、食品から摂取するのが難しい場合は、上記の栄養素が含まれたサプリを活用するのもおすすめです。

吸収を阻害する栄養素を避ける

先ほど鉄分の吸収を促進する栄養素をご紹介しましたが、一方で吸収を阻害するものもあります。具体的には、タンニンやカルシウムです。

タンニンを多く含む食品

・紅茶
・赤ワイン
・柿
・チョコレート


【カルシウムを多く含む食品】

・牛乳
・小魚
・小松菜


鉄サプリを飲む際は、上記の食品を避けるようにしてください。

腸内環境を整える

腸内環境を整えることで、鉄分の吸収を少しでも高めることができます。

腸内環境を整えるには、次の4つの方法がおすすめです。

方法理由
食物繊維を毎日摂取する食物繊維が腸内細菌のエサになり、腸内の善玉菌が増えるから

※食物繊維を多く含む食品
ゴボウ、ワカメ、キノコ類、アーモンド

発酵食品を積極的に摂取する発酵食品に含まれる生きた善玉菌を摂取できるから

※発酵食品の代表例
ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌、醤油

よく噛んで食べる唾液の分泌が促され消化酵素が活性化されることで腸内細菌のバランスが整うから
規則正しい生活を心がける自律神経のバランスが良いと腸内環境も整うから


上記はどれも簡単ですぐにできる方法です。腸内環境はすぐに整うわけではないので、早速明日から実践して習慣化付けていきましょう。

継続して飲む

最後に一番簡単で重要なポイントをお伝えすると、「とにかく継続すること」です。

鉄分に限らず栄養素すべてに言えることですが、鉄分が体内に蓄えられるのには時間がかかります。さらに、体内の鉄は汗や尿に含まれて毎日失われていくため、毎日継続して飲み続けなければ体内の鉄を増やすことは難しいのです。

【1日の鉄分消費量】

男性/約1mg
女性/約1.5mg〜2.5mg

※参考/天神橋みやたけクリニック「鉄について」

鉄分が蓄えられる期間は、個人差があるため一概には言えません。数週間の場合もあれば数ヶ月の場合もあるので、少なくとも1ヶ月以上は飲み続けることを意識しましょう。

7. まとめ

いかがでしたか?フェリチン鉄とキレート鉄の違いについて解説し、どちらを選ぶべきかをお話してきました。

最後にこの記事をまとめましょう。

◎フェリチン鉄とキレート鉄の違いは4つ

フェリチン鉄キレート鉄
吸収率
体内での使われ方貯蔵すぐ利用or貯蔵
効果貧血の予防貧血の軽減
安全性


◎フェリチン鉄とキレート鉄で迷ったらフェリチン鉄がおすすめ

◎鉄サプリを飲む時のポイントは4つ

・タンパク質やアミノ酸、ビタミンCと一緒に飲む
・吸収を阻害する栄養素を避ける
・腸内環境を整える
・継続して飲む


以上になります。

フェリチン鉄とキレート鉄には吸収率や体内での使われ方、効果、安全性などの違いがあります。ただ、キレート鉄は安全性がかなり低いので、どちらを選ぶか迷ったらフェリチン鉄がおすすめです。

フェリチン鉄とキレート鉄の違いをしっかり理解した上で、あなたの生活の中にフェリチン鉄が取り入れられ、鉄分不足になりにくい体を目指せることを願っています。

8. 引用文献

高後 裕, 大竹 孝明:鉄代謝の生体に及ぼす影響 外科と代謝・栄養 2015; 49(2) 59-65.
大竹 孝明, 生田 克哉, 高後 裕:鉄と発癌 日本内科学会雑誌 2010; 99(6) 1277-1281.
西田雄三 高い発ガン活性を示す鉄キレートの構造特性 TCIメール 2009;141: 2-15
海外事業者の鉄サプリメントの長期使用により鉄過剰症を発症 独立行政法人国民消費者センター 2024年12月25日Dietary nonheme iron is equally bioavailable from ferritin or ferrous sulfate in thalassemia intermedia. Pediatr Hematol Oncol. 2017;34(8):455-467.
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