太白ごま油とは|料理・パン製菓・口腔ケアまでおすすめの使い方4選

敷き詰められた白ごまと皿に注がれたごま油

「ごま油を買おうとしたら”太白ごま油”というものがあった。普通のごま油とどう違うの?」
「太白ごま油は健康によいと聞いたけど、本当かな?」
「太白ごま油って、どうやって使えばいいの?」

太白ごま油をご存知でない方も多いのではないでしょうか。初めて名前を聞いて、調べている人も多いでしょう。名前を知っていても、普通のごま油と色が違うだけ、程度に思っているかもしれません。太白ごま油はごまを原料とする油ですが、普通のごま油とさまざまな違いがあります。

この記事では太白ごま油と普通のごま油の違い、太白ごま油の利用方法や食べ物以外の用途についてお伝えします。
読み終わったときには、太白ごま油のことが詳しく理解できるようになるでしょう。最後までお読みいただけると幸いです。

1. 太白ごま油とは

太白ごま油は、名前のとおりごまを原料とした食用油です。
ただし、通常のごま油とは製造方法が少し異なります。その製造方法の違いから、通常のごま油とは違う特徴をもっています。
この章では太白ごま油とはどんな油か、詳しく説明します。

1-1. 太白ごま油と一般的なごま油の違い

<ごま油との違い>
①白黒ミックスごまを「煎らずに」搾る
太白ごま油は、ごまを「焙煎せずに(煎らずに)」搾っています。
メーカーによって「生のまま」高い圧力をかけて搾っているもの、「(搾りやすくするために)高温で蒸してから」搾るものとあるようです。(軽くでも焙煎したものは太白ごま油とは異なります)

通常のごま油は焙煎したごまを搾るため、特有の香りや濃い色味があります。
一方、太白ごま油は色が淡く、香りも通常のごま油のような強いものではありませんが、これは「白いごま」を使っているからではありません。原料となるごまは白と黒どちらでもよく、大抵の場合はミックスごまが使われています。焙煎せずに生のまま搾っているため色も香りもほとんどない、さらっとした状態のものになります。

②色や香り、風合いが淡白で主張しない
ごま油でありながらくせがなく、淡白なので、サラダ油と同じ感覚で、和・洋・中と料理を選ばず使うことができます。日本人好みの、主張しすぎない奥深い風合いの油と言えます。
例えばオリーブオイルやグレープシードオイル等に変えて使ってもよく合います。

③用途が幅広い
パンやお菓子を作る際に、バターやマーガリンの代用として使えます。メーカーによっては「製菓用太白ごま油」と用途を分けた名称にしていますが、成分に違いはありませんので、指定の無い太白ごま油でも使えます。

④賞味期限が異なる
賞味期限は、通常のごま油より短くなっています。これは次の項目で説明します。

<ごま油と同じこと>
❶栄養価
栄養価的には通常のごま油同様に優れており、「セサミン」による抗酸化作用が高く、α-リノレン酸が豊富に含まれています。ノンコレステロールのため体に負担をかけません。

❷臨界温度
通常のごま油同様、サラダ油より臨界温度が高いのも特徴です(150℃。これを過ぎると酸化が起こり、有害物質が少しずつ発生する)。そのため揚げ物にも、サラダ油などよりは向いています。

1-2. 太白ごま油の賞味期限

太白ごま油の賞味期限は、通常のごま油より短く、他の植物油と同じことがほとんどです。

食品ごま油の規格は、農林水産省「食用植物油脂の日本農林規格」第9条で一般状態、色、水分、比重などが細かく定められています。太白ごま油もこれに準拠するものです。

通常のごま油と同様、太白ごま油も他の植物油と比較すると抗酸化作用が強く、そのデータは研究論文等で実証されています。酸化に強い性質をもち栄養価もかわりません。
一方賞味期限は、生で搾る製造方法のためか他の植物油と同様の賞味期限で設定されているメーカーがほとんどです。
保存容器により標準賞味期限が定められている点は、他の植物油と同様です。

<日本植物油協会設定 ごま油の保存容器別の標準賞味期間>

保存容器太白ごま油(及びごま油以外の植物油)の標準賞味期間(参考)
ごま油の標準賞味期間
缶・着色ガラス瓶・紙容器製造後約2年製造後約2年半
無色ガラス瓶製造後約1年半製造後約2年
プラスチック容器製造後約1年製造後約1年半

2. 太白ごま油の食べ物への利用方法4選

黒ごまがのったマフィン太白ごま油は、軽い風味、あっさりとくせのない、それでいて深みを感じる味わい、サラサラした澄んだ色のない液体状であることから、様々な料理に使えます。

また料理だけでなく製パン・製菓にも使えます。仕上がりもよく、酸化しにくいため時間がたっても油やけのようなにおいがしません。
太白ごま油を使ったパン作りやケーキ作りなどの方法は、書籍や料理動画サイト、レシピサイトでたくさん投稿されていますので、挑戦してみてはいかがでしょうか。

ここでは簡単に、太白ごま油がどのような料理や菓子作りに使えるのか紹介します。

2-1. 料理

太白ごま油は、生で食べられます。そのためサラダ用オイルやマリネなどに利用できます。通常のごま油のような特有の香りやくせもないので使いやすく、日本人好みの味わいだと言われており、和風から洋風まで幅広く使えます。

例えば

  • フレンチドレッシングにサラダ油の代わりに使用
  • 冷製パスタにオリーブオイルの代わりに使用
  • マリネ、カルパッチョなど
  • 通常の炒め物や焼き物

など、アイデア次第で美味しく使えます。

2-2. パン作り

意外に思われるかもしれませんが、太白ごま油はバターの代わりパン作りに使えます。
バターの特徴的な濃厚な香りはありませんが、くせがないのでパンの風味を邪魔しません。

しっかり膨らみ、焼き上がりはしっとり柔らかさが持続します。
この理由は、太白ごま油が液状だからというのがあります。バターは常温では固形の油脂のため、焼きあがった後に生地が冷めると、溶けていた状態から固形に戻ります。このとき、一緒に生地を引き締める作用が起こります。
しかし、太白ごま油は元々常温で液体なので、焼き上がり前も後も同じ状態です。そのため、焼きあがって熱がとれてからも、柔らかい状態が持続します。

また、常温で液体のため、バターに比べて扱いや準備が簡単です。
酸化しづらいのでバターやマーガリンを使ったものより長く美味しさを味わえます。

そのほか、照りをつけるのに卵黄の代わりにも使えます。形成後すぐに塗るのではなく、焼き上がりにさっと塗るのがコツです。

2-3. お菓子作り

上記製パンと同様、お菓子作りにも、バターの代用として使えます。
また太白ごま油を利用した生地は膨らみやすく、縮みにくく、冷めても柔らかさが続くことから、しっとりふわふわの食感が不可欠なシフォンケーキには特にぴったりです。

2-4. 天ぷら揚げ油

ふつうのサラダ油のように揚げ油として使えます。

1章で説明したとおり、太白ごま油は抗酸化作用が強く、また他の一般的な植物油より熱に強い性質をもっています。
ただし臨界温度を超えると有毒物質がつくられるのは他の油と同様です。太白ごま油はα-リノレン酸を多く含んでおり体にはよいのですが、α-リノレン酸は熱によってアクロレインという有毒物質に変化します。そのため、比較的温度低めで揚げるものに向いています。

例えば、イモ類やレンコンなどでんぷんを多く含み火の通りに時間がかかる根菜類、シソやオクラ、ししとうなど、彩りに青みを添えたい、色味を大切にしたい素材などを太白ごま油で揚げるとよいでしょう。
逆に、魚介類や肉類は、たんぱく質が固くならないよう高温(180℃以上)でさっと揚げる必要があります。魚介類や肉類を揚げるのに太白ごま油を使った場合は、1~2回の使用で新しい油に変えたほうがよいでしょう。

3. 太白ごま油の食べ物以外の使い方

オイルマッサージ

太白ごま油は、食べ物に使うだけではなく、他にも健康に役立つ使い方があります。
ここでは代表的な用途としてアーユルヴェーダと口腔ケアへの応用を説明します。

3-1. インドの伝統医学アーユルヴェーダでの利用方法

①アビヤンガ(オイルを塗りマッサージする)
インドの伝統医学である「アーユルヴェーダ」のオイルマッサージは「アビヤンガ(=オイルを塗るの意味)」と呼ばれ、太白ごま油を使います。

太白ごま油は肌への浸透がよく、マッサージすることで身体を温める作用も期待できます。また乾燥した肌に潤いを与え、温めて血行が良くなることで発汗作用も促します。
アビヤンガで期待できる効果は他にも以下のようなものがあります。

  • デトックス効果
    体の毒素を外に排出しやすくなる
  • リラクゼーション効果
    皮膚への適度な刺激により、脳もリラックスされ精神も穏やかになる
  • その他の効果
    免疫力、眠りの質が高まる
    冷え性が改善する
    肌がきれいになり弾力が出る など

同じくアーユルヴェーダの施術のうち、「シロダーラ」は、脳のマッサージとも呼ばれています。額の上にオイルを垂らす施術です。
自律神経を整え、体の中の老廃物を出し心も体もすっきりする作用があります。(効果には個人差があります)

②ガンドゥーシャ(オイルプリング=うがい)
オイルでうがいをする美容健康法です。以下のような効果があるとされています。

  • 毒素を排出する
  • 免疫力をあげて風邪やインフルエンザの予防などに役立つ
  • 唾液分泌量が増える(消化促進や味覚向上)
  • 口内細菌の除去ができる。口臭や歯周病の予防、ホワイトニング効果がある

このうち口内細菌の除去については、次の項目にもある「介護施設での高齢者への口腔ケア」に応用され、効果があることが実証されています。

ガンドゥーシャはいつ、何回行ってもよいとされていますが、もっとも良いのは朝の寝起きです。朝起き抜けの口の中は、細菌が数十億個もあるからです。

口に含み、唾液が出てきたらゆっくりと口内のすみずみまで転がします。約10分続けるとよいとされていますが、慣れるまでは短い時間から始めましょう。

ガンドゥーシャで口に含んだオイルは飲み込まず、また下水道に流すと環境汚染になるので、ティッシュや新聞紙に含ませてゴミとして捨てましょう。

なお、どちらもそのままの太白ごま油ではなく、「キュアリング」といって、いったん100℃程度まで温めてから冷まして利用したほうがよいという意見もありますが、これは根拠がはっきりせず、不要という人もいます。

3-2. ごま油の口腔ケアにおける効果は実証されている

いくつかの介護施設、老人ホームなどで、寝たきりや体が一部不自由になったお年寄りの口腔ケアに太白ごま油が用いられています。

高齢者にとっては健康な人以上に、歯と口腔内の健康を保持することは「食べること=生きている楽しみ」に直接つながるため重要な項目とみなされていますす。そのため多くの介護施設や老人ホームでは、歯科医や歯科衛生士などが定期的に訪問して口腔ケアを行います。

介護施設での臨床データを元にした研究論文では、実際に太白ごま油で口腔ケアを行った効果が発表されています。この研究からは

  • 口腔カンジダ症が疑われない場合は太白ごま油を用いる(Sesaminolを多く含有し血流改善効果が期待されるため)。口腔カンジダ症が疑われる場合は、Sesamin を多く含有しカンジダ増殖抑制効果が高い、通常の焙煎ごま油を用いる。
  • ごま油を使用して口腔を清拭すると、含まれるゴマリグナンがカンジダ菌を抑制する
  • 不飽和脂肪酸によっても舌背の細菌数などを減少させる効果がある
  • 高齢者の口腔粘膜は乾燥しやすいが、ごま油がこの乾燥を防ぎ、口腔内の粘膜細胞の状態を改善させる

などの効果がわかってきています。

4. 「ごま」の栄養素と太白ごま油と普通のごま油の体への効果の違い

太白ごま油の特徴や特有の使い方などはおわかりいただけたと思います。
この章では、太白ごま油の原料である「ごま」について、その栄養素や体にもたらされる優れた効果を説明します。
また、同じごまを原材料にしているごま油と太白ごま油に、栄養面や体への効果に違いはあるのかを述べます。

4-1. ごま特有の成分と効果

ごまにしか存在しない「ゴマリグナン」という成分があります。ゴマリグナンは高い抗酸化作用をもち、がんや生活習慣帽の予防に効果的とされています。
また、肝機能を高めるので、アルコールから肝臓を守る働きももっています。

4-2. ごまの脂質は酸化しにくい

ごまの脂質のほとんどが「不飽和脂肪酸」です。不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げ、善玉コレスレロール増やしてくれる優秀な脂肪酸ですが、欠点として酸化しやすさがあります。

しかしごまには「ゴマリグナン」ほか、多くの抗酸化物質が含まれているため、他の油に含まれる不飽和脂肪酸よりも酸化しにくくなっています。
またごまには「ビタミンE」も豊富に含まれています。ビタミンEは抗酸化性を高める力がります。

これらの組み合わせで、ごまは不飽和脂肪酸の欠点を補い、その働きを十分に発揮できる優れた食品のため「食べる丸薬」とも言われます。

4-3. ごまに含まれる良質なたんぱく質とビタミン・ミネラル

ごまのたんぱく質は大変良質のたんぱく質です。必須アミノ酸を8種類含んでおり、そのうち5種類については大豆よりも含有量が多くなっています。

体に重要な働きをするビタミン、ミネラル類もごまには豊富です。
カルシウム、マグネシウム、鉄などを含みます。

4-4. 太白ごま油と普通のごま油に栄養価で違いは無い

通常のごま油と太白ごま油では、同じごまを原材料としているので、栄養面ではほぼ違いはありません。

ただし、抗酸化作用のあるセサミンの性質が若干異なります。

上記でも紹介した、ごまに1%含まれるゴマリグナンは、ごま油の抗酸化効果の源です。ゴマリグナンは「セサミン」「セサモリン」としてごま油の中に溶け出しているのですが、生のまま圧搾する太白ごま油の製造過程で、「セサモリン」は化学変化を起こし、セサミノールという別の抗酸化物質を生み出します。熱にも強い抗酸化成分です。

口腔ケアの項目で述べたとおり、高温で焙煎されたごまを原料としている普通のごま油は、その製造過程の違いからセサミノールよりもセサミンを多く含みます。セサミンは抗菌作用が高いため、カンジダ菌など細菌の増殖作用を抑えます。

一方、太白ごま油に多く含まれるセサミノールは、抗酸化作用とともに、血行を良くする血流増進効果があります。マッサージなどに太白ごま油が使われるのはこのためです。

それぞれに優れた効能をもつ2つのごま油を、期待する効果や使い道に合わせて使い分けると良いでしょう。

5. まとめ

太白ごま油について述べてきました。
太白ごま油は通常のごま油同様、高い栄養価抗酸化作用をもっています。見た目や香り、風味、味わいなどが違いますが栄養などの点については同じです。
しかし淡白で色もほとんどないため、使いやすく、料理だけにとどまらず製菓、製パン、オイルマッサージや口腔ケアなどに応用できます。

太白ごま油は優秀な食用油ということがお分かりいただけたと思います。
記事を読み終え、生活の中に太白ごま油を取り入れて活用し健康や美容に役立てられると幸甚です。