各家庭に必ず一本は常備されているであろう、調理用のサラダ油。揚げ物や炒め物に使えたり、そのまま生野菜にかけたりと、幅広い使い方ができる万能的な食用油です。そんな、生活に欠かせない存在であるサラダ油が、「急に見当たらない」なんてことになったらどうでしょう?
ある日の昼食のメニューを余り物で済ませようとした時に、ふとサラダ油が切れていた、なんてケースがあるかもしれません。そんな時、自宅にある他の食用油でサラダ油の代わりになるものはあるのか……。
そこで今回は、サラダ油の代用品になる食用油を10商品紹介いたします。
目次
- 1 サラダ油の代用品を選ぶための3つのポイント
- 2 サラダ油に代用できる商品10選
- 2−1 サラダ油の代用品【1】ごま油:風味が特徴的なので注意
- 2−2 サラダ油の代用品【2】マヨネーズ:コクのある仕上がりに向いている
- 2−3 サラダ油の代用品【3】太白ごま油:風味が変わらないのでおすすめ
- 2−4 サラダ油の代用品【4】オリーブオイル:風味を強く意識するならこれ
- 2−5 サラダ油の代用品【5】グレープシードオイル:クセが少なく健康にもよい
- 2−6 サラダ油の代用品【6】キャノーラ油:コレステロールを少なくしたいなら
- 2−7 サラダ油の代用品【7】菜種油:国産だから安心して手に取れる
- 2−8 サラダ油の代用品【8】米油:生活習慣病の予防に期待
- 2−9 サラダ油の代用品【9】ひまわり油:種類によって成分に違いあり
- 2−10 サラダ油の代用品【10】バター:お菓子作りの際の代わりに
- 3 サラダ油の代用品に共通する注意点
- 4 まとめ
1 サラダ油の代用品を選ぶための3つのポイント
キッチンの棚に並ぶいくつもの食用油。その中からサラダ油の代わりとして、「ただ、何となく……」と思って使ってしまうと、料理に失敗して後悔することも……。それを回避するためにも、サラダ油の代用品は次の3つのポイントを意識して選ぶことをおすすめします。
1−1 できるだけクセがないものを選ぶ
サラダ油は精製油であるため、ほとんど香りがせず、味もクセが少ないものとなっています。そのため、代用品として選ぶ食用油は、なるべく似た特性を持つ方がよいといえるでしょう。どんな料理にもそつなく使えることが、サラダ油の代用品としての条件です。しかし、独自の風味を持つ食用油によって、料理に香りが加わったり、味に深みが増したりすることもあるので、一概にはいい切れない部分もあります。
1−2 加熱しても大丈夫なものを選ぶ
サラダ油は揚げ物にも炒め物にも使える万能油。そんなサラダ油の代用品ですから、同じく揚げ物や炒め物に使えなくてはなりません。つまり、加熱しても問題なく使えることが条件です。また、ドレッシングとしても使える場合は、より代用品として向いているといえるでしょう。あまりする人はいないでしょうが、サラダ油はドレッシングとしてそのまま生野菜にかけて食べることもできるんです。
1−3 栄養面を考えて選ぶ
一般的なサラダ油に含まれる栄養素について把握しておきましょう。サラダ油には「ビタミンE」や「ビタミンK」が含まれています。ビタミンEには抗酸化作用があり、生活習慣病などを予防する効果が期待できます。ビタミンKは出血時に血を固める他にも、骨を作るのに生かされており、カルシウムを骨に沈着させることにより、骨の形成を促す作用があります。
サラダ油の代用品には、上記の栄養素が必ず必要になる訳ではありません。それぞれの食用油が持つ効能を知ることで、普段の食生活で足りない栄養素を補充できるなど、バランス良いメニューを作ることを心がけましょう。
2 サラダ油に代用できる商品10選
実はサラダ油は、日本で生まれた植物性の食用油です。その定義として「菜種やごま、とうもろこしなどの素材を原料として使っているもの」とあります。つまり、菜種油やごま油などもサラダ油の一種といえるのです。これで一気に代用できそうな商品の幅が広がったように感じられましたね。それでは、ご家庭にある食用油でサラダ油の代わりにできる商品を、おすすめ順に見ていきましょう。
2−1 サラダ油の代用品【1】ごま油:風味が特徴的なので注意
健康によいとされ、ポピュラーな存在である「ごま油」。常備してあるご家庭も多いことでしょう。ごま油はごまを焙煎したもので、「ビタミン」や「ミネラル」など多くの栄養素を含んでいます。また、酸化しにくい性質のため、がんや生活習慣病の予防に期待ができるとされています。健康面で見ても非常に頼もしい食用油ですが、その分サラダ油よりも高価になる場合がほとんどです。
ごま油は中華料理を中心に、炒め物などに向いている食用油です。しかし、独自の風味により、料理の内容によってはうまくマッチしないことも……。事前に特徴と長所を理解して、うまく調理に活かしていきましょう。
※参考 農林水産省「特集2 食材まるかじり ごまのチカラ(2)」
2−2 サラダ油の代用品【2】マヨネーズ:コクのある仕上がりに向いている
冷蔵庫のドアポケットに収納することの多い「マヨネーズ」は、多くのご家庭で常備されているはずです。生野菜のサラダや調理済みの料理にかけることで、味のアクセントになるマヨネーズ。実は、サラダ油の代用品としても使えるのです。マヨネーズは「日本農林規格(JAS規格)」によって使用できる素材が決められており、原材料に占める食用植物油脂の重量の割合が65%という決まりがあります。つまり、マヨネーズも植物性油を多く含んだドレッシングというわけです。
マヨネーズはサラダ油の代用として、チャーハンなどの炒め物に使うのに向いています。マヨネーズ中の卵黄と乳化された植物油によってご飯粒が包まれるため、パラパラとした仕上がりにできるのです。コクのある味にも仕上がるので、おすすめですよ。
2−3 サラダ油の代用品【3】太白ごま油:風味が変わらないのでおすすめ
ごま油の種類として、「太白(たいはく)ごま油」というものがあります。一般的なごま油が焙煎することで作られる「焙煎油」なのに対し、焙煎することなく生のまま絞って抽出したのが太白ごま油です。太白ごま油は無色に近い淡い黄色で、ごまの風味があまり強くないため、ごま油よりも多くの料理に使いやすいといえます。サラダ油感覚で料理に使うなら、太白ごま油の方がおすすめです。しかし、精製に手間がかかるため、必然的にごま油よりも価格は高くなります。
また、太白ごま油はマッサージにも効果的といわれています。「アーユルヴェーダ」という、世界的に長い歴史を持つ医療体系の1つでも用いられています。太白ごま油を体に塗ってマッサージすることで、デトックス効果が期待できますよ。
※参考 「総合医療」情報発信サイト|厚生労働省「アーユルヴェーダ療法」
2−4 サラダ油の代用品【4】オリーブオイル:風味を強く意識するならこれ
どこか上品なイメージのある「オリーブオイル」。幅広いレシピに使える健康に良さそうな印象から、常備しているご家庭もあるのではないでしょうか? オリーブオイルは他の植物油のように種子からでなく、オリーブの果実を搾って抽出されるのが特徴です。他の植物性油のように精製過程がないため、素材の持つ風味を強く残したオイルに仕上がります。黄色や薄緑色をしており、独自の新鮮な風味と香りがありますが、それらは加熱によってほとんどなくなるため、サラダ油と同じ感覚で揚げ物や炒め物に使用できます。
オリーブオイル には「エキストラバージンオリーブオイル」と、「ピュアオリーブオイル 」と呼ばれる
商品があるのをご存知でしょうか? 「エキストラバージン」のオリーブオイルは、香りや成分が国によって定められた基準を満たしている必要があります。「ピュア」と呼ばれるオリーブオイルは、精製オリーブオイルとバージンオリーブオイルをブレンドしたものを差しますが、スーパーなどで販売されているものには、特に記載がない場合もあります。
エキストラバージンオリーブオイルにも、ピュアオリーブオイルにも「オレイン酸」が含まれています。脂肪酸の1つであるオレイン酸には、生活習慣病の予防が期待できます。しかし、エキストラバージンオリーブオイルは精製過程の複雑さや収穫量などから価格は高めです。その分、天然の体によい成分が多く含まれているため、高価でもエキストラバージンオリーブオイルを使うほうをおすすめします。
2−5 サラダ油の代用品【5】グレープシードオイル:クセが少なく健康にもよい
あまり知名度は高くありませんが、近年ヨーロッパにて幅広く使われるようになった「グレープシードオイル」。グレープ(ぶどう)の種を圧搾して抽出したオイルに対し、脱酸や漂白、脱臭などの工程を経て精製されます。クルミのようなまろやかな風味と甘みを持つのが特徴です。グレープシードオイルには血液をサラサラにする「オレイン酸」、「リノール酸」、「リノレン酸」が多く含まれており、コレステロール値を下げる効果が期待できます。特に、私たちの体内では作れず、食品から得なければならないリノール酸が含まれているのはとても貴重です。
オリーブオイルと比較してもクセが少なく、揚げ物や炒め物、ドレッシングとしての使用に向いています。薄い緑色をしているのも、ヘルシーで食欲を誘いますね。
2−6 サラダ油の代用品【6】キャノーラ油:コレステロールを少なくしたいなら
サラダ油と並んでお求めやすい価格の「キャノーラ油」。コレステロールの少なさをウリにした商品も多く、サラダ油の代わりに手に取ってみたという方もいらっしゃるかもしれません。食用油としてのクセが少なく、サラダ油の代用品として問題なく使えます。
キャノーラとはカナダで品種改良された菜種のことで、元々の菜種の品種にあった心臓に影響があるとされる「エルカ酸」を含みません。そのため大量に輸入されるようになり、国内でも人気の植物性油となっています。しかし、カナダ産のキャノーラは遺伝子組換えされているといわれています。国内では遺伝子組替えされた菜種は食用油としての流通が認められているため、私たちは日々の生活で遺伝子組換えされたものを口にしているといえます。遺伝子組換えをしていないキャノーラを輸入して製造しているメーカーもあるので、気になる場合は調べから購入するとよいでしょう。
2−7 サラダ油の代用品【7】菜種油:国産だから安心して手に取れる
キャノーラ油と同じく菜種を原料に使っている「菜種油」。国産品は生産量が少なく、専用の圧搾機を使った伝統的な抽出方法を用いるため、一度に取れる油は少量。そのためコストが高くなり、商品によりますが、国産の菜種油は輸入したキャノーラ油の3倍以上の価格がします。
国産の菜種油の優れた点は、心疾患の原因とされる「エルカ酸(エルシン酸)」が含まれていない点です。1990年代の品種改良によってエルカ酸を含まない菜種の品種が生まれました。合わせて、「LDL」という悪玉コレステロールの上昇を抑制するオレイン酸や、コレステロールの降下作用が期待できるリノール酸などを含んでいるのが特徴です。
また、国産の菜種油は遺伝子組替えした原料を使っていない商品が多く、家族の健康を考えた場合は、国産の菜種油の購入を検討するとよいでしょう。
※参考 農林水産省「(8)なたね」
2−8 サラダ油の代用品【8】米油:生活習慣病の予防に期待
私たち日本人が主食にしているお米。実は、お米から取れる油もあるんです。お米を玄米から精米する際に、「ぬか」が出ます。ぬかとは胚芽(はいが)と種皮が混ざった粉のことです。ぬかには15〜20%の油成分が含まれており、それを搾ることで「米油」を抽出できます。
米油は安定して加熱に強く、クセも少ないため幅広い料理やお菓子などの揚げ物に向いています。米油に含まれる成分の1つである「γ-オリザノール」は、抗酸化作用に優れ、生活習慣病やがんの予防効果が期待できるといわれています。お米の油で作った料理をご飯と合わせて食べるというのは、何だか面白く感じますよね。
2−9 サラダ油の代用品【9】ひまわり油:種類によって成分に違いあり
置いてあるというご家庭は少ないであろう「ひまわり油」。他の植物性油と比べてマイナーな感じがしますが、日本でも近年注目されており、サラダ油の代用品になります。ですので、これを機に購入されてみてもよいかもしれません。
ひまわり油は、原料となるひまわりの種の品種によって、含まれる成分に違いがあります。オレイン酸が高いものや、中程度のオレイン酸のもの、リノール酸が高いものがあり、区別されます。リノール酸はコレステロール値を減らす効果が期待できるので、健康面からもおすすめです。また、抗酸化作用のあるビタミンEも多く含まれています。
ひまわり油はクセや香りが少ないので、揚げ物や炒め物に使っても、ドレッシングとして生野菜などにかけて使っても大丈夫ですよ。太陽の光をたくさん浴びたひまわり油を摂り入れてみると、何だか元気がわいてくるような気がしませんか?
※参考 農林水産省「消費者の部屋」
2−10 サラダ油の代用品【10】バター:お菓子作りの際の代わりに
トーストに塗ったり、炒め物に使ったりと、ご家庭に常備してあることの多い「バター」。牛の生乳から作られる動物性の食用油で、消化によく多くのビタミン類を含みます。バターは味や香りにクセが強く、サラダ油の代わりとして料理全般に使うのは難しいといえます。しかし、お菓子作りの場面で役立ちます。クッキーやパウンドケーキなどを作るのに向いているのは有名ですよね。
また、似た用途で使うマーガリンも、お菓子作り以外の場面ではサラダ油の代用には向いていません。サラダ油の代用品として揚げ物や炒め物をしたい場合は、植物性油の商品を選ぶとよいでしょう。
3 サラダ油の代用品に共通する注意点
自宅にある食用油の中に、上記で説明した10種類の商品は見つかりましたか?サラダ油の代用品として優秀だったり、少し使いにくかったりと、それぞれの特性を見極めてから利用するとよいでしょう。「持っていない」、「今まで知らなかった」という商品があったなら、これを機に購入されるといいかもしれません。
しかし、一度に大量に購入するのはよいことばかりではありません。サラダ油に関わらず、食用油には保存方法において注意すべき点があります。
3−1 (1)酸化するため早めに使いきる
サラダ油やその代用品は、開封後に保存しておくと次第に酸化していきます。酸化すると「油の色が濃くなる」、「粘り気ができる」、「加熱時に不快感のある匂いがする」などの状態がみられます。これではたとえ高級な商品だったとしても、せっかくの味や風味が損なわれてしまいますよね……。
そのため、一度開封した商品はなるべく早めに使い終わるようにしたいところです。食用油の使用量はご家庭の事情によっても変わってくるため、家族構成や普段の料理の内容に合わせた量のボトルを購入するとよいでしょう。商品に記載されている賞味期限を意識することが大切です。一般的な目安として、開封後は1〜2ヵ月で使い切るように心がけるとよいでしょう。
3−2 (2)サラダ油の代用品の保存方法3ポイント
サラダ油の代用品を保存する際は、以下の3つのポイントを押さえてください。
■直射日光や蛍光灯の光に当てない
■空気にさらさない
■熱を与えない
サラダ油の代用品の保存場所は、風通しのよい暗所を選ぶようにしましょう。酸化の恐れがあるため、直射日光や蛍光灯の光が当たるのは避けたいところです。商品によっては透明のペットボトルがパッケージのものもありますが、遮光瓶を選ぶことで光による影響を抑えられます。
一度開封したキャップはしっかりと閉じるようにしておきましょう。油は空気に触れることで酸化が起きるためです。使用するたびにしっかりとキャップを閉じるクセをつけておくとよいですね。
高温になる場所や湿度が高い場所も避けるべきです。例えばガスコンロの近くに置くと、調理時に発せられる熱によって商品の劣化を早めてしまいます。料理の際に手に取りやすく便利ではありますが、高温にならない暗所で保存するよう心がけましょう。また、保存先は冷蔵庫の中ではなく、常温の場所で大丈夫です。
3−3 (3)ごま油とオリーブオイルは酸化しにくい
ごま油は植物性油の中でも酸化安定性に優れています。他の食用油と比べて空気や直射日光、熱による影響を受けにくく、味や風味が長持ちするのです。これは、原料であるごまに抗酸化物質が多く含まれるためです。しかし、開封後は他の商品同様に、風通しのよい暗所にてしっかりと保管するに越したことはありません。
※参考 農林水産省「特集2 食材まるかじり ごまのチカラ(2)」
オリーブオイルも酸化しにくい植物性油の1つ。脂肪酸の中でも酸化しにくいオレイン酸とリノレン酸に加え、ビタミンEやポリフェノールまで含まれているので、酸化しにくくできています。
サラダ油を含めた代用品は、しっかりと保存して早めに使い切れば何の問題もありません。しかし、知識として酸化しにくい植物性油があることを知っておくと、油を使い切る予定が遅くなったとしても、味や風味が落ちにくいというメリットを得られます。
4 まとめ
サラダ油を切らした時、家庭にある他の商品で代用できることがわかりました。ただ、それぞれに特徴があり、サラダ油と遜色なく使える場合と、そうでない場合があるのも事実です。そのため、各商品の特徴を把握し、料理の内容に合わせたり、栄養面を意識したりして使い分けるのもよいでしょう。
商品名 | サラダ油との代用しやすさ | 価格 |
ごま油 | 高 | やや高価 |
マヨネーズ | 中 | 安価 |
太白ごま油 | 高 | 高価 |
オリーブオイル | 高 | 高価 |
グレープシードオイル | 高 | 高価 |
キャノーラ油 | 高 | 安価 |
菜種油 | 高 | 高価 |
米油 | 高 | やや高価 |
ひまわり油 | 高 | やや高価 |
バター | 低 | 安価 |
これを機に、新たに買い揃えるなど、他の植物性油の商品に興味を持ってもらえるとうれしいです。
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