「サラダ油とオリーブオイルって、どんなところが違うの?」
「体にいいのはどっち? どう使い分ければいいの?」
料理をするとき、そんな疑問を抱いてしまう人も多いのではないでしょうか。
サラダ油とオリーブオイルは、
- 原料
- 香りと味
- 栄養素
- 価格
などにさまざまな違いがあります。
特に健康効果を考えた場合は、悪玉コレステロール抑える働きがあるオリーブオイルがおすすめなのです。
そこでこの記事では、
- サラダ油とオリーブオイルの違い
- オリーブオイルが体にいい理由
について、わかりやすく説明します。
さらに、
- サラダ油とオリーブオイルの使い分け
- 代用できる場合・できない場合
についても解説していきます。
最後まで読めば、サラダ油とオリーブオイルのどちらを使えばいいか、どう使い分ければいいかを判断できるようになるでしょう。
あなたの毎日の料理を健康的でおいしくするために、この記事が役立つことを願っています!
目次
1 サラダ油とオリーブオイルの違いとは?特徴を徹底比較
家庭での調理によく利用されるサラダ油と、イタリアンなどに使われ健康にいいとされるオリーブオイル。
同じ食用油ですが、どんな違いがあるのでしょうか?
原料や栄養素など、それぞれの特徴を以下に徹底比較してみました。
1-1 原料
サラダ油とは、長時間低温下においても結晶化したり濁ったりしないよう精製された食用植物油の総称で、原料はさまざまな植物の種子などです。
現在、農林水産省が「日本農林規格」において「サラダ油」と名乗ることができる食用油とその主な原料は以下の通りです。
サラダ油の種類 | 主な原料 |
サフラワーサラダ油 | 紅花の種子 |
ぶどうサラダ油 | ぶどうの種子(グレープシード) |
大豆サラダ油 | 大豆の種子 |
ひまわりサラダ油 | ひまわりの種子 |
とうもろこしサラダ油 | とうもろこしの胚芽 |
綿実サラダ油 | 綿(ワタ)の種子 |
ごまサラダ油 | ごまの種子 |
なたねサラダ油 | アブラナの種子(菜種) |
こめサラダ油 | 米ぬか(玄米を白米に精米する際に削られた部分) |
調合サラダ油 | 上記のサラダ油を2種以上混合したもの |
一方、オリーブオイルの原料は、その名の通りオリーブで、オリーブの実の果肉を絞って抽出します。
中でもオリーブの実だけを原料として、化学的な方法を用いずにしぼった一番搾りの油を「ヴァージンオリーブオイル」と呼びます。
国際オリーブ協会(IOC)では、オリーブオイルについて以下のような規定をしています。
サラダ油もオリーブオイルも、植物を原料とする「植物油」に含まれます。
1-2 香りと味
サラダ油は、サラダドレッシングに使用することを目的に作られた油なので、香りや味は控えめでさらっとしています。
例えば通常のごま油は、ごまを焙煎してから油をしぼるため、独特の香ばしさがありますが、ごまサラダ油の場合は焙煎せずに精製するので、ごま油特有の風味はありません。
一方のオリーブオイルは、オリーブ独特の風味があります。
また、ポリフェノールを含んでいるので、特有の辛みや苦みも感じられ、味の強さによって以下のように呼ばれています。
1)ストロングタイプ(スパイシータイプ)
2)ミディアムタイプ
3)マイルドタイプ(ライトタイプ)
また、ワインのように「フルーティーなりんごの香り」「アーモンドのような香り」などとフレーバーを表現することもあります。
オリーブの品種や産地、成熟度などによって風味は違ってきますので、好みのものを探す楽しみもあるでしょう。
1-3 カロリーや栄養素
次に、サラダ油とオリーブオイルのカロリーや栄養素を比較してみましょう。
以下の表を見てください。
カロリー (100gあたり) | 主な栄養素 (100gあたり) | |
サラダ油 (調合油) | 921kcal | 一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など):41.10g 多価不飽和脂肪酸(リノール酸、αリノレン酸など):40.94g αトコフェロール:12.8mg γトコフェロール:56.4mg |
オリーブオイル | 921kcal | 一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など):74.04g 多価不飽和脂肪酸(リノール酸、αリノレン酸など):7.24g βカロテン:180µg αトコフェロール:7.4mg γトコフェロール:1.2mg |
※参考 文部科学省「日本食品標準成分表」
どちらも油なので、カロリーは同じです。
特に健康効果のある栄養素としては、
- 血中コレステロール濃度を下げる不飽和脂肪酸(オレイン酸など)
- 強い抗酸化作用をもつトコフェロール(ビタミンE)
- コレステロールや中性脂肪を下げるリノール酸
などが含まれています。
特にサラダ油は、血中コレステロールを下げるリノール酸と、抗酸化作用のあるトコフェロールが豊富です。
オリーブオイルは、酸化に強いオレイン酸が70%以上を占めているのが特徴です。
1-4 価格
価格を比べると、サラダ油の方がかなり安価だと言えるでしょう。
大手メーカーのサラダ油であれば、1500gの大きなボトルが500円以下で手に入ります。
100gあたり30円程度です。
メーカーや小売店によっては、もっと安く販売しているものもあります。
一方のオリーブオイルは、品質の等級によって価格に大きな幅があるのが特徴です。
もっとも等級の高いエキストラヴァージンオリーブオイルの場合、国内大手メーカー製であれば200gのボトルが400円弱、100gあたり200円程度で売られています。
本場イタリア産でオーガニックのオリーブを使うなど、産地や素材、製法などにこだわったものであれば、100gで1,000円から数千円するものもあります。
それに対して、等級が下がれば価格も手頃になり、精製オリーブオイルやいわゆるピュアオリーブオイルは、100gあたり100円前後〜200円以下でも手に入ります。
ただ注意したいのは、日本で販売されているエキストラヴァージンオリーブオイルには偽物が多いことです。
というのも、日本は前述した国際オリーブ協会(IOC)に加入していないため、IOCの厳しい製品規格が適用されないのです。
日本独自の規格としてJAS規格が存在しますが、JAS規格ではオリーブオイルを「オリーブ油」「精製オリーブ油」の2タイプに分けているだけで、「エキストラヴァージン」の規定はありません。
そのため、IOC規格では「エキストラヴァージン」と呼べない品質のものでも、日本では「エキストラヴァージン」と表示することに法的な問題がないのです。
消費者としては、上記の価格に比べてあまりに安い「エキストラヴァージンオリーブオイル」は偽物の可能性を疑う必要があります。
味や香り、栄養価に優れているのは何と言ってもエキストラヴァージンオリーブオイルですので、「本物のエキストラヴァージンを使いたい」と思うのであれば、100gあたり200円を下回るものではなく、数百円から1,000円程度のものを選ぶとよいでしょう。
2 健康のためにはオリーブオイルを選ぼう!
サラダ油とオリーブオイルにはそれぞれ一長一短ありますが、健康効果を期待するならやはりオリーブオイルがオススメです。
この章ではその理由をわかりやすく説明していきましょう。
2-1 オリーブオイルのオレイン酸は悪玉コレステロールを抑える
オリーブオイルの栄養成分のうち、もっとも突出しているのはオレイン酸で、55〜83%もの含有率を占めています。
このオレイン酸は一価不飽和脂肪酸に分類される脂質の一種で、善玉コレステロール(HDL)を保持したままで、悪玉コレステロール(LDL)の増加を抑える働きがあります。
以前は「悪玉コレステロールを減らす」という説もありましたが、現在では、厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会』報告書」によると、「血中脂質を比較した欧米での多くの介入研究から、高一価不飽和脂肪酸食は、LDLコレステロール値は増加させず」という評価になりました。
悪玉コレステロールは、増えすぎると動脈硬化を引き起こし、脳梗塞などにつながる危険があるものです。
それを抑えるオレイン酸は、体内で作ることもできますが、それだけでは体が必要とする量には足りないので、外から取り入れたほうがよいとされています。
そのため、オレイン酸含有率の高いオリーブオイルが推奨されるようになったというわけです。
2-2 サラダ油のリノール酸は酸化しやすいので要注意
一方でサラダ油にも、健康にいい成分は含まれています。
その代表がリノール酸です。
リノール酸にもまたコレステロールを低下させる作用があるため、各オイルメーカーはリノール酸豊富なサラダ油をアピールしています。
が、このリノール酸にはひとつ問題があるのです。
それは、抗酸化力の強いオレイン酸とは反対に、酸化しやすいということです。
空気や光に触れたり加熱したりすることで酸化し、過酸化脂質に変化してしまうのです。
過酸化脂質は大量に摂取すると、老化、動脈硬化、がんなどを引き起こすとされています。
サラダ油のリノール酸を安全に摂るには、
- 空気や光に触れないように冷暗所で保存する
- 揚げ物など加熱調理よりも、ドレッシングなど生食で利用する
といった注意が必要でしょう。
参考
※ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
※ 厚生労働省 e-ヘルスネット
3 サラダ油とオリーブオイルの使い分け
サラダ油とオリーブオイルには、それぞれ特徴があることがわかりました。
では、どのように使い分ければその長所を活かすことができるのでしょうか?
この章ではサラダ油とオリーブオイルそれぞれに適した調理法や使い方について紹介します。
3-1 適する料理
「2-2 サラダ油のリノール酸は酸化しやすいので要注意」でも述べたように、サラダ油は加熱で酸化しますので生食がオススメです。
一方のオリーブオイルの主成分であるオレイン酸は酸化に強く、加熱しても損なわれません。
ただ、トコフェロールなどは加熱で失われやすいので、その効果を期待するなら生食がよりよいでしょう。
また、その健康効果をより確実にするには、品質の高い本物のエキストラヴァージンオリーブオイルを選ぶ必要があります。
つまり、
◎サラダ油は加熱せず、ドレッシングやマリネなどの生食で使う
特に味や香りがほぼないので、素材の味を生かしたい場合に向いている
◎オリーブオイルは生食・加熱調理どちらにも適するので、野菜や料理に直接かけて風味を楽しんだり、揚げ物や炒め物に使ったりと多様に利用できる
ただ、加熱で失われる成分もあるため、加熱調理ばかりでなく生食でも摂るとよりよい
と言えます。
日常使いの油としてサラダ油を使い、オリーブオイルは特別な場合にだけ利用しているという人も多いと思いますが、これを逆にして、オリーブオイルをメインに、サラダ油は「生で使って素材の味を生かしたい」という場合にだけ使う、というのがよさそうです。
3-2 代用できる場合・できない場合
「オリーブオイルはサラダ油よりも高価なので、サラダ油で代用したい」
など、サラダ油とオリーブオイルをお互いに代用したいという場合もあるでしょう。
もちろんどちらも食用植物油ですから、物理的に代用することは可能です。
が、特性を生かして安全に健康効果を得るという観点からすれば、以下のように代用できる場合とできない場合が考えられます。
<代用できる場合>
サラダのドレッシングやマリネ液など、生で利用する料理であればどちらでも代用できます。
ただし、サラダ油はほぼ無味無臭、オリーブオイルは独特の香りと苦みや辛みがあるので、好みで使い分けるといいでしょう。
<代用できない場合>
揚げ物や炒め物など加熱調理の場合は、できればオリーブオイルを利用するのがオススメです。
サラダ油で代用しないほうがよいでしょう。
もしオリーブオイルを別の油で代用したいなら、米油やごま油なども検討してみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
サラダ油とオリーブオイルについて、それぞれの特徴と長所を理解していただけたかと思います。
では最後に、記事の内容をおさらいしてみましょう。
- サラダ油は、低温下でも結晶化しないよう精製された食用植物油の総称で、ほぼ無味無臭で手頃な価格
- オリーブオイルはオリーブの実が原料で、独特の風味があり比較的高価
- オリーブオイルのオレイン酸は悪玉コレステロールを抑える
- サラダ油のリノール酸は酸化しやすいので要注意
これらの違いを踏まえて、あなたがサラダ油とオリーブオイルを適切に使い分けられることを願っています!
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