米油は危険?圧搾抽出法なら安全!米油の選び方と3つの効果

稲と米油が入った容器

軽くてあっさりとした味わいから、さまざまな料理に使われている米油。
植物性油である米油は、多くの栄養素を含み健康によいとされ、各ご家庭で愛用されています。

しかし、ネット上で「米油」を検索すると、「米油 危険」というキーワードが出てくることも……。

「米油は危険だと聞いたけど、本当なの?」

と不安に思われる方もいらっしゃるでしょう。

ご安心ください。米油は安全な食用油です。
ただし、危険だといわれているのには2つの理由があります。

今回は、米油の安全性と危険とされる理由についてご紹介します。
当記事では、米油についての詳細と2つの抽出法を手短に解説。

そして、

◾️米油は本当に危険?安全性を確認

について、米油の選び方を踏まえて詳しく説明します。

合わせて、

◾️米油が持つ健康への3つの効果

についても、ご紹介します。

最後までお読みいただければ、米油は危険ではなく安全に利用できることがおわかりいただけるでしょう。

1 米油とは?

稲と瓶に入った米油

まずは、米油について詳細を解説します。

米油は淡白でさらさらとした味わいで、油の匂いがほとんどしないことから、素材の持ち味を生かしつつ、どんな料理にも合わせやすいのが特徴といえます。

米油は加熱しても安定した性質を持ち、揚げ物からドレッシングまで幅広い用途で使われます。
サラダ油や天ぷら油としてだけでなく、お菓子づくりにも役立てられているのです。

平成30年度における国産の米油の消費は約6.5万トンであり、食用として消費されることがほとんどです。
日本人と米油の歴史は長く、元禄年間(江戸時代中期)にはすでに使われていたとされています。

参考
※ 農林水産省「特集2 食材まるかじり(2)」

1-1 米油の原料は「白米」ではなく「米ぬか」

米油の原料は、私たちが普段口にしている「白米」ではなく、精米する際に出る「米ぬか」です。
米ぬかは玄米の表面を削る際に出るもので、漬物用やキノコの培養、飼料などの用途に使われます。
米ぬかには15~21%の油が含まれています。

日本では植物性油の原料の大半を輸入でまかなっていますが、米ぬかの供給量の3分の2が国産原料です。米油は貴重な国産の食用油であり、国産の食用油としては最も多い生産量となっています。

参考
※ 農林水産省「米ぬかは何に使(つか)われているのかおしえてください。」
※ 農林水産省「特集2 食材まるかじり(1)」

1-2 米油には豊富な栄養成分が含まれている

米油には多くの栄養素が含まれています。詳細は以下の表をご覧ください。

栄養素効果
ビタミンE抗酸化作用があり、体内でフリーラジカル(食物が体内でエネルギーに変わる時に作られる化合物)から細胞を守るのを助ける効果がある。
オレイン酸一価不飽和脂肪酸の一つで、血液中のLDLコレステロール(悪玉のコレステロール)を下げる効果がある。
リノール酸動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるLDLコレステロールを下げる効果がある。
α-リノレン酸動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるLDLコレステロールを下げる効果がある。
γオリザノール血中コレステロールを低下させる他、更年期障害の症状改善に効果がある。
トコトリエノールスーパービタミンEといわれ、従来のビタミンEと比較して約50倍の抗酸化作用がある。
植物ステロールコレステロールの吸収を抑制する。

参考
※ 「総合医療」情報発信サイト|厚生労働省「ビタミンE」
※ e-ヘルスネット|厚生労働省「不飽和脂肪酸」
※ 日本産科婦人科学会雑誌「更年期障害に対するγ-オリザノールの臨床効果 : 血清過酸化脂質に関して」
※ 日本食品科学工学会誌 2016年 17巻 1号「トコトリエノールの高効率分離精製技術の開発」
※ Oregon State niversity,Linus Pauling Institute 微量栄養素情報センター「植物ステロール」

2 米油には2つの抽出方法がある

稲と米ぬか

米油の原料は米ぬかです。
では、米油は米ぬかからどのようにして抽出されているのでしょうか?
米油には大きく分けて、以下の2つの抽出方法があります。

1.圧搾抽出法
2.溶剤抽出法 

それぞれの抽出法の詳細について解説します。

2-1 1.圧搾抽出法

圧搾抽出法は、圧搾機などを用いて、米ぬかに圧力をかけ、油を抽出する製法です。
米ぬかに含まれる油分の半分ほどしか取れませんが、化学薬品などを使わないため安全性が高い製法だといわれています。

圧搾抽出法を使うと、ビタミンなどの抗酸化物質が残りやすく、健康を意識するなら圧搾抽出法によって精製された米油を選ぶとよいでしょう。

圧搾抽出法では一度に抽出できる米油の量が少ないため、一般的には製品の価格が高めとなっています。

参考
※ 農林水産省「お米から油が取れるのですか。」

2-2 2.溶剤抽出法 

溶剤抽出法は、n-ヘキサン(ノルマルヘキサン)という溶剤を使用し、米ぬかから油を抽出する製法です。ノルマルヘキサンは菜種油や大豆油の抽出の際にも使われている溶剤です。

溶剤抽出法では複数回に渡って加熱処理をするため、ノルマルヘキサンは加工の段階ですべて除去されます。

米ぬかに含まれる油分を効率よく抽出できるため、溶剤抽出法を用いた米油製品は圧搾抽出法と比べて安価に手に入るのが特徴です。

しかし、圧搾抽出法と比較した場合、米ぬかに含まれている栄養素が失われてしまう可能性があります。

参考
※ 環境省「化学物質の環境リスク評価」第1巻

3 米油は本当に危険?安全性を確認

夕方の田圃

豊富な栄養素を多く含み、健康にもよいとされる米油。
そんな米油が、一体なぜ危険だといわれているのでしょうか?

どうやら、過去に発生した「カネミ油症」事件や、溶剤を使った抽出方法が原因で、米油は危険だといわれているようです。

しかし、実際には米油に危険性はないとされています。
ここからは、米油の安全性について解説していきます。

3-1 過去に「カネミ油症」事件が発生

カネミ油症とは、昭和43年10月に西日本の広域で発生した、米油による食中毒事件のことです。
カネミ倉庫社が製造していた米油に、脱臭工程に用いられる熱媒体のポリ塩化ビフェニル(PCB)や、ダイオキシン類であるポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)などが混入。

これにより、吹出物や色素沈着などの皮膚症状、全身倦怠感、食欲不信などの症状が現れ、現代でも苦しまれている方々がいらっしゃいます。

通常は米油の精製過程において、ポリ塩化ビフェニルやポリ塩化ジベンゾフランが混入することはありません。カネミ油症による風評被害によって、米油は危険というイメージが広がってしまったのです。

現在では各メーカーによる厳しい基準をクリアした米油が、私たちの手元に届けられていると考えられます。

参考
※ 厚生労働省「カネミ油症について ~正しく知る。温かく支える。~」

3-2 「溶剤抽出法」で使う溶剤は蒸発するので残らない

効率よく米油を抽出できるため、コスト面から多く利用されている溶剤抽出法。2章で解説したように、溶剤抽出法は精製時に溶剤であるn-ヘキサン(ノルマルヘキサン)を用います。
そのため、「溶剤抽出法で精製された米油は危険なのでは?」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

確かに、ノルマルヘキサンには毒性があり、長期間にわたって服用すると、多発性神経炎になるリスクが高まります。

しかし、ノルマルヘキサンは米油を精製する段階で完全に取り除かれます。
ノルマルヘキサンの沸点は69℃であり、高温加熱することで蒸発するためです。
多くのメーカーでは溶剤抽出法を行う際に高温で加熱するため、ノルマルヘキサンは残らないとされています。

参考
※ 環境省「化学物質の環境リスク評価」第1巻

3-3 「圧搾抽出法」なら溶剤を使わないため安全

2章にて解説した圧搾抽出法を用いた場合、精製の過程で溶剤を用いないため、安全性が高いといえます。
溶剤抽出法を用いて精製された米油に不安があるという方は、圧搾抽出法を用いた米油を選ぶようにするとよいでしょう。

圧搾抽出法を用いた米油は溶剤抽出法よりも生産数が少なく、製品の価格も高めですが、その分栄養素が損なわれにくい点がメリットといえます。

4 米油が持つ健康への3つの効果

稲と皿にそそがれている米油

米油は健康面で多くの効能を持っています。

  • 自律神経失調症や更年期障害の改善
  • 生活習慣病やがんの予防
  • 動脈硬化や心筋梗塞の予防

などの効果が期待できるのです。
この章では、上記の効能について解説します。

4-1 自律神経失調症や更年期障害の改善

米油にはγ(ガンマ)オリザノールという、他の食品にはほとんどない特徴的な成分が含まれています。
γオリザノールは自律神経失調症や更年期障害の改善に効果が期待できるとされています。
そのため、医薬品としても利用されています。

参考
※ 日本産科婦人科学会雑誌「更年期障害に対するγ-オリザノールの臨床効果 : 血清過酸化脂質に関して」

4-2 生活習慣病やがんの予防

抗酸化作用を持つγ(ガンマ)オリザノールトコトリエノールが、生活習慣病やがんの予防につながるとされています。

トコトリエノールはがん細胞の増殖を抑制するとされています。トコトリエノールはスーパービタミンEともいわれ、従来のビタミンEと比較して抗酸化作用が50倍ほど高い点が特徴です。

トコトリエノールは食品や医薬品分野で積極的な利用が期待されるなど、高い効果があることがわかります。

参考
※ 日本食品科学工学会誌 2016年 17巻 1号「トコトリエノールの高効率分離精製技術の開発」

4-3 動脈硬化や心筋梗塞の予防

γオリザノールにはコレステロールを抑える効果があり、動脈硬化の予防が期待できます。
動脈硬化が悪化すると心筋梗塞などの原因になるため、日頃から米油を利用することは、それらの予防に効果的といえるでしょう。

また、植物ステロールがコレステロールの吸収を抑えるため、動脈硬化に対して高い予防効果が期待できます。

参考
※ Oregon State niversity,Linus Pauling Institute 微量栄養素情報センター「植物ステロール」

5 まとめ

米油の特徴や効能と合わせて、米油そのものには危険性がないことがおわかりいただけたかと思います。

記事の内容を振り返ると、米油には圧搾抽出法と溶剤抽出法の2種類がありました。

溶剤を使わない圧搾抽出法の方がより安全だといえるでしょう。
また、抗酸化物質などの栄養素が多く含まれていることが期待できます。

溶剤抽出法を用いた米油の場合は、加熱によってノルマルヘキサンが残らないため、こちらも安心してご利用いただけます。製品の価格面で考えると、溶剤抽出法で精製された米油の方がリーズナブルです。

米油の安全性を踏まえたうえで、健康面へのさまざまな効果を知り、日々の献立に活かしてみてくださいね。