えごま油は、シソ科の「エゴマ」という植物から抽出される植物油です。
皆さんもご存じの通り、昨今では、テレビや雑誌などのメディアで「ダイエットに効果的な油」として大々的に取り上げられています。
「今、もっとも注目を集める植物油」といっても過言ではないでしょう。
この記事をご覧になっているあなたも「えごま油を使ったダイエット方法」に興味があるのではないでしょうか。
事実、えごま油は「ダイエットに効果がある優秀な植物油」ですが、実は、えごま油を食べるだけでは、十分なダイエット効果を得ることができないので注意が必要です!
えごま油のダイエット効果の根拠になっているのは「α-リノレン酸」という脂肪酸ですが、「α-リノレン酸」そのものに、ダイエット効果があるわけではありません。
α-リノレン酸が体内で代謝される過程で作られる「EPA/DHA」という脂肪酸の方に、ダイエット効果があるのです。
しかし、α-リノレン酸から生成されるEPA/DHAの割合は10%程度であることがわかっています。
メディアでは「小さじ1杯のえごま油を毎日摂る」ことをさかんに推奨していますが、小さじ1杯程度のえごま油では、必要十分なEPA/DHAをカバーすることができないということです。
そのため、EPA/DHAが豊富な食品で補う必要があるのです!
この記事では、学術論文などの実証データを参考にしながら、「えごま油だけではダイエットが成功しない理由」や「えごま油と一緒に摂るのがオススメな食品」「食べるベストな時間帯」などについて、くわしく解説いたします!
「えごま油ダイエットに取り組むからには失敗したくない!」という方のお力になれる記事です。
この記事を読んで「えごま油ダイエット」を成功させましょう!
それでは早速ご覧ください。
目次
1.えごま油は「ダイエット効果」があるが、それだけでは不十分!
「えごま油はダイエット効果がある食品」だといわれていますが、えごま油だけでは、ダイエットを成功させることはできません!
ここでは、「えごま油だけではダイエットが成功しない」とするその根拠について、詳しく解説いたします。
1-1.ダイエット効果があるのはえごま油の主成分「α-リノレン酸」から合成される「EPA/DHA」
えごま油といえば、ダイエットの代名詞のように謳われている人気の高い食品の一つですね。
そんなえごま油が、巷で「ダイエットに効果的な食品だ」と盛んにもてはやされるようになった理由は、主成分である「α-リノレン酸の含有量」です。
えごま油には、全食品のなかでもダントツに豊富なα-リノレン酸が含まれています。
100g中、実に58000㎎ものα-リノレン酸が含まれており、アマニ油と並んで他の食品に大差をつけています。
しかし、この「α-リノレン酸」そのものにはダイエット効果はありません。
体内に取り込まれるプロセスで生成される「EPA/DHA」という脂肪酸の方にダイエット効果があることが明らかになっているのです。
「EPA/DHA」は、「体脂肪の減少をもたらし、痩せやすい身体を作るのに欠かせない成分である」ことを、京都大学の研究グループが、科学誌「Scientific Reports」で報告しています。
研究グループは、2つのマウスのグループに「高脂肪食」と「EPA/DHAが豊富に含まれている食事」を103週間に渡って与え続ける研究を行ったようです。
そのところ「EPA/DHAが豊富に含まれている食事」を与えられていたマウスは、体重が5~10%減少したうえ、体脂肪が15~25%も減少したことが報告されています。
マウスの実験結果をみると、EPA/DHAにはまぎれもなく「ダイエット効果がある」ことがわかりますね。
そうなると「えごま油に含まれているα-リノレン酸から、どれくらいの量のEPA/DHAが合成されるのか?」が大きなポイントになってきます。
次項で「えごま油から生成されるEPA/DHAの量」について詳しく説明していきます。
1-2.えごま油から摂取できる「EPA/DHA」の量は10%程度なのでダイエット効果が薄い
結論から申し上げますと、α-リノレン酸から生成されるEPA/DHAの割合はおよそ「10%程度」です。
実は、α-リノレン酸から生成されるEPA/DHAの量ははさほど多くないのです!
さらにいうと、1日に摂取すべきEPA/DHAの推奨量は1g程度ですが、えごま油だけでは、その推奨量の20%(0.2g)ほどしかカバーできないので「ダイエット効果が薄い」です。
その根拠について、くわしく説明します。
まず前提として、1日に摂取してよい「えごま油」の上限量について知っておきましょう。
厚生労働省では「オメガ3系脂肪酸の1日の摂取量の目安=約2g」を推奨しています。
オメガ3系の植物油である「えごま油」にはα-リノレン酸が60%含まれていますので、「1日あたり約4g(小さじ1杯程度)」が上限量となります。
この条件を踏まえて、1日当たりどれくらいのEPA/DHAが摂取できるか計算してみると「小さじ1杯(4g)のえごま油からは0.2g程度のEPA/DHAしか摂取できない」ということがわかります。
小さじ1杯以上えごま油を摂取すると1日あたりの摂取上限を超過してしまい、かえってコレステロール値を高める危険性があるため、どう頑張ってもえごま油だけは十分なダイエット効果を得ることはできません。
つまり、えごま油だけでは、ダイエットを成功させることはできないということです!
「えごま油」は効率よくEPA/DHAを摂取できる点では評価できる食品
「えごま油はダイエット効果が薄い」と伝えましたが、小さじ1杯で1日に必要なEPA/DHAの20%をカバーできるという見方をしてみれば「効率よくダイエットを進められる食品」といえるかもしれません。
なので、えごま油を完全に切り捨てるのではなく「小さじ1杯のえごま油と一緒にダイエット効果が高い食品を摂取する」という方法が最もおすすめです。
小さじ1杯のえごま油で1日に必要なEPA/DHAを20%をカバーしつつ、EPA/DHA豊富に含まれている食品を摂ることで、十分なダイエット効果を得ようという考えです。
そこで第2章では、えごま油と一緒に食べるたいダイエット食品をご紹介します。
是非チェックしてみてください!
2.えごま油と一緒に「EPA/DHAが豊富な食品」を摂取するのがダイエットのカギ!
先述の通り、えごま油は小さじ1杯だけで、1日に必要なEPA/DHAの20%を摂ることができますが、1日の摂取量の上限はあくまでも小さじ1杯程度まで。
えごま油を使ったダイエットの場合「摂取すればするだけ痩せるわけではない」というのがポイントになります。
そこでおすすめなのが、「ダイエット効果が高い食品を一緒に食べる」という方法です。
えごま油を小さじ1杯食べることで、1日の20%程度のEPA/DHAを効率よく摂取できますから、残りの80%については、その他の食品で補うという考えです。
この章では、一緒に食べるとよい食品について、くわしく解説します!
2-1.えごま油と一緒に「魚」を食べるとダイエット効果が十分に得られる
えごま油と一緒に食べたい食品として最もおすすめなのは、「魚」です!
魚は「EPA/DHAの含有量」が全食品のなかでダントツに多いため、えごま油で摂取しきれなかったEPA/DHAを補うことができます。
魚を摂取するべきだとする考えについては、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の研究でも支持されています。
EPA および DHA は、α リノレン酸から生合成もされるが、その生合成量がそれほど多くなく、DHA は EPAよりも少ない。
そのため、EPA や DHA の摂取には、これらの脂肪酸を多く含む魚介類を摂取する必要がある。
EPA および DHA の存在割合は、魚種により大きく異なる。EPA は藻類などのプランクトンから合成されるため、藻類を多く摂取する魚種で高くなり、それらを捕食する魚種では、DHA が多くなる傾向にある。引用:独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構「EPAとDHA(Eicosapentaenoic Acid and Docosahexsaenoic Acid)」
以下は、EPA/DHAの含有量が多い魚の一覧表です。
可食部100gあたりのEPA/DHAの含有量を表しています。
ご覧のとおり、銀サケやサンマ、サバには、豊富なEPA/DHAが含まれていることがわかりますね。
たとえば、えごま油小さじ1杯と108gほどの銀サケを食べれば、1日に必要なEPA/DHAを補えます。
サバの場合では、えごま油小さじ1杯に加えて116gほど食べれば1日に必要なEPA/DHAを補えます。
EPA/DHAの含有量が多い魚は、どれもスーパーで手に入るものばかりですので、手軽に摂取できるのも、嬉しいポイントですね!
2-2.魚を煮たり焼いたりするとEPA/DHAが増加する
魚に含まれるEPA/DHAの量は、未調理の状態よりも調理後の方がEPA/DHAの含有量は増えますので、煮たり焼いたり、揚げたりして調理した魚を食べるのがおすすめです!
たとえばサバの場合、それぞれの食べ方によるEPA/DHAの含有量の違いは以下の通りになります。
上記の通り、刺身で食べるよりも「ひと手間」加えた方が、より効率よくEPA/DHAを摂取できることがわかりますね。
小さじ1杯のえごま油で効率よくEPA/DHAを摂取すると共に、水煮缶で補ったり、焼いたりして、上手に魚を食べると、十分なダイエット効果が得られるはずです。
飽きないように、いろいろな調理法で、魚を摂取してみてはいかがでしょうか。
ここまでご覧いただきましたとおり、えごま油ダイエットを効率よく進める方法についてご理解いただけたのではないかと思います。
次の第3章では「いつ食べるのが最も効果的なのか?」についても詳しく解説いたします!
学術論文のデータを元に解説しますので、最後までしっかり目を通してくださいね。
3.ダイエット効果がもっとも高まるのは「朝食時」
第2章までの記事を通して、ダイエットしたいならば「スプーン1杯のえごま油と魚を食べるのが効果的」であることが、ご理解いただけたのではないかと思います。
しかし、ただ漫然と食べるのではなく「ダイエット効果が高まる時間帯」に食べることも大切です。
そのおすすめのタイミングは「朝食時」です。
朝食時にEPA/DHAを摂取することで、ダイエット効果を最大化できるのです!
以下は、魚の油を摂取した際の「血液中と肝臓の中性脂肪の低減効果」を朝食時と夕食時で比較したグラフです。
出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所を参考に作成
以上のグラフの通り、夕食時にEPA/DHAを摂取するよりも、朝食時にEPA/DHAを摂取した方が、中性脂肪の低減効果がより高いことがわかります。
つまりダイエット効果を最大限高めるためには、朝食時がベストだといえるでしょう。
参考
※ 独立行政法人国民生活センター「見た目だけでは分からない、えごま油の品質」
※ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」
※ 厚生労働省「脂質」
※ 朝日のえごまランド「えごま油とは?」
※ 日本植物油協会「脂肪酸のはたらき」
※ 日本脂質栄養学会「脂質異常症」
※ The University of Memphis,Pennsylvania State University「Dietary α-Linolenic Acid Reduces Inflammatory and Lipid Cardiovascular Risk Factors in Hypercholesterolemic Men and Women」
※ University of North Carolina at Chapel Hill and others「The association and dose-response relationship between dietary intake of α-linolenic acid and risk of CHD: a systematic review and meta-analysis of cohort studies」
※ J-オイルミルズ「脂肪酸の種類」
※ アマニフォーラム「αーリノレン酸を多く含む食品トップ10」
※ 日清オイリオ「脂肪酸組成比」
※ チェリー調剤薬局「ω-3脂肪酸と健康」
※ 一般社団法人日本水産油脂協会「知っておきたい基礎知識」
※ Oregon State University|微量栄養素情報センター「変換量」
※ 秋葉原駅クリニック「ω3脂肪酸ってなに?EPA、DHAのお話」
※ NATULAND「えごま油が動脈硬化を防ぐって本当?」
※ 武田薬報「ω3系多価不飽和脂肪酸(EPA・DHA)を効果的に取り入れ、食生活を見直そう」
※ 高松メディカルクリニック「脂質異常症とは」
※ 国立研究開発法人産業技術総合研究所「魚油による脂質代謝改善効果が摂取時刻によって異なることをマウスで発見」
※ サントリー「青魚以外の食品からでもDHA・EPAは摂れる?」
※ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)主要栄養素」
4.まとめ
いかがでしたか。
えごま油だけではダイエット効果が得られない根拠や一緒に食べることで相乗効果が得られる食品、食べるベストな時間帯などについて、ご理解いただけたのではないでしょうか。
改めて、全体の内容をまとめますと以下の通りになります。
◎えごま油は「ダイエット効果」がある食品だが、それだけでは不十分!
◎えごま油に含まれる「α-リノレン酸」そのものにはダイエット効果がない
◎ダイエット効果の根拠となっているのは「EPA/DHA」だが、えごま油からは10%ほどしか摂れない
◎えごま油と一緒に食べると「ダイエット効果」が期待できる食品は「サケやサバなどの魚」
◎未調理よりも煮たり焼いたりした方がEPA/DHAが増加する
◎ダイエット効果がもっとも高まるのは「朝食時」
「ダイエットを成功させるための効果的な食事」の例としては、以下の通りになります。
【ダイエットに効果的な食事の例】
朝食時に「スプーン1杯のえごま油」と100g程度のサバの水煮を食べる!
この記事が、ダイエットを成功させたい方の参考になりましたら幸いです!
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