「えごま油は加熱してはいけないと聞くけど、どうしてだろう」
「油なのに、炒め物に使ったらいけないのかな」
この記事をご覧になっているあなたは、そんな疑問をお持ちではありませんか。
えごま油といえば、血液をサラサラにしたり、認知症を予防したりする効果が人気の健康食品。
毎日いろいろな料理法で利用したいところですが、炒め物・揚げ物など、えごま油を加熱して使用してはいけません。
加熱すると酸化して、体に良いどころか、体に有害な物質になってしまうからです。
この記事では、えごま油を加熱するとどうなるのかを、具体的に解説します。
えごま油を加熱すべきではないことが、良くご理解いただけると思います。
さらに、
- 暖かい飲み物や食べ物に加えるのは問題ないこと
- カップ麺など発砲ポリスチレン容器に入った物に加えるのは禁止であること
についてもご説明します。
この記事をお読みになった皆様が、えごま油の加熱について正しく理解され、生活に役立ててくださることを祈っています。
1.えごま油を加熱すると酸化して体に害を及ぼすようになる
えごま油を加熱すると、一般に使用される食用油より速い速度で酸化して、体に害を及ぼす可能性があります。
抗酸化剤無添加のえごま油は、酸化安定性が低いので、熱を加えると急激に酸化するのです。
白杉直子教授らの「エゴマ(シソ)油の薄膜加熱と炒め物のモデル実験における酸化安定性」という論文では、えごま油を180℃に熱したフライパンに入れて3分経過した時点で、酸化の指標の1つである過酸化物価が、厚生労働省が油で揚げた菓子で販売してはならないとする数値(50meq/kg)を超えるという結果が出ています。
つまり、えごま油を加熱すると、3分で食品として認められないほどの酸化が起こってしまうのです。
そして、酸化した油は毒性物質になります(国立予防衛生研究所の俣野景典氏の「劣化油の毒性」参照)。
これでは、体に良いと思ってえごま油を食べていたのに、加熱したことにより、体に害を及ぼすものを摂っていたということになってしまいます。
しかも、困ったことに、えごま油の酸化は目には見えません。
加熱についての知識をしっかり念頭において、えごま油を効果的に摂取しましょう。
2.暖かい飲み物や食べ物に食べる直前に加えるのは問題ない
えごま油を暖かい飲み物や食べ物に加えてすぐに食べるのは問題ありません。
酸化は、温度が高かったり、酸素と触れる時間が長かったりすると進みますが、人が口にできる温度の物に加えて直後に食べるのであれば、酸化はほとんど進まないからです。
たとえば、えごま油を次のような飲み物や食べ物に加えて摂取しても大丈夫です。
- スープ
- お味噌汁
- コーヒー、紅茶
- うどん、そば
- 卵かけご飯
- 牛丼、カツ丼 など
えごま油を飲み物や食べ物に加えるときは、酸化を防ぐため、以下の点に注意しましょう。
①お鍋に直接加えるのではなく、お皿に取り分けて、食べる直前に加える。
②えごま油を加えた後、放置しないですぐ食べる。
えごま油は温度が高くなくても酸素に触れているだけでどんどん酸化します。加えた飲み物や食べ物を放置しないのはもちろん、えごま油の入った瓶もすばやく蓋をして冷蔵庫で保存してください。
<電子レンジで温めない>
えごま油を加えた飲み物や食べ物を電子レンジで温めるのもやめましょう。
えごま油は油の一種ですから、電子レンジにかけるとすぐに高温になり、酸化が進みます。
3.えごま油をカップ麺など発砲ポリスチレン容器に入った物に加えるのは禁止
えごま油をカップ麺など発砲ポリスチレン容器に入った食べ物や飲み物に加えてはいけません。
えごま油は、容器に使用されている発砲ポリスチレンを変質させ、穴を開けるおそれがあるからです。
日本即席食品工業協会からも次のように告知されています。
この度、独立行政法人 農林水産消費技術センターで行った実験結果から、発泡ポリスチレン製食品容器に「しそ油」又は「エゴマ油」を加えて熱湯を注いだ場合、容器の内面が変質し薄くなる場合があることがわかり、状況によっては容器の底からお湯がこぼれ出る可能性があるとの指摘がありました。カップめんの容器(紙製を除く)の多くは発泡ポリスチレン製食品容器に該当致します。
原因については関係機関とも連携し調査中ですが、お湯を注ぐだけではこのような現象はありませんし、厚生労働省も通常の利用方法では安全性について問題はないとのご見解です。
消費者の皆様には上記のような利用方法は厳に避けて頂き、容器に記載の調理方法にてお召し上がり頂くよう改めてお願い致します。
なお、熱湯によるやけどにはこれまでもご注意を頂いておりますが、今後とも十分にご注意下さるよう重ねてお願い申し上げます。”
えごま油を熱湯を注いだ後の食べる直前に加えても、えごま油の流れ方によっては容器を変質させます。
スープやコーヒーなどその他の食べ物についても同様ですので、発砲ポリスチレン容器に入った食べ物や飲み物にはえごま油を入れないように注意しましょう。
4.まとめ
えごま油を加熱するのはやめましょう。
えごま油を加熱すると、急激に酸化して、体に害を及ぼすようになります。
えごま油を暖かい飲み物や食べ物に加えて摂ることには問題はありません。
その際、酸化を防ぐため、以下の点に注意してください。
①お鍋に直接加えるのではなく、お皿に取り分けて、食べる直前に加える。
②えごま油を加えた後、放置しないで、すぐ食べる。
また、発砲ポリスチレン容器に入ったカップ麺などにえごま油を加えると、容器を変質させ穴を開けるおそれがありますのでやめましょう。
この記事を読んでくださった皆様が、えごま油の加熱について理解され、安心してえごま油を摂取し、健康に役立ててくださることを願っています。
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