「今日の夕飯はヘルシーにサラダにしよう!」
そんな日に、買ってすぐ食べられる「カット野菜」。
野菜不足解消や健康のために取り入れている方も多いと思いますが、
「カット野菜は洗浄や消毒剤の使用によって栄養がなくなる」という噂を聞き、 不安になった人も多いのでは。
ですがカット野菜にはしっかりと栄養があるというのが事実であり、科学的根拠によって証明されています。
この記事では、
「カット野菜にも栄養がある!」という事実を科学的データで確認し、
・栄養価の優れた商品の選び方
・カット野菜をたった3分で栄養満点のヘルシーサラダに進化させる簡単ルール
をご紹介します。
健康的でよりよい食生活のため、今日からカット野菜を上手に活用していきましょう!
目次
野菜の栄養は「洗浄」や「消毒」ではなくならない
「カット野菜に栄養がない」という噂については、工場での「薬品による洗浄」により栄養素が流れ出てしまうからという主張のようです。
確かにそう言われると栄養もなくなってしまいそう・・・というイメージを持ちますよね。
しかし、実際にはカット野菜にはしっかりと栄養が残っていることが、科学的データにより実証されています。
事実、カット野菜は食中毒の防止のため「洗浄・殺菌」工程が必ずあり、メーカーにもよりますが大体トータル10分程度の洗浄時間と言われています。
実際の工場でのカット野菜の製造工程は、おおまかに以下のような流れになっています。
④ の「洗浄・殺菌」工程の内容は、一般的に消毒剤を薄めた冷水による洗浄+すすぎ洗いとなります。
家庭で野菜を水洗いする時は水道水で長くても数分程度ですので、かなり念入りに洗浄がされていることがわかりますね。
また、多くの家庭では水のみで野菜を洗うことが多いですが、工場では洗浄時に「消毒剤(殺菌剤)」が使用されています。
どちらも気になりますが、実は洗浄時間と消毒剤の両面において、野菜の栄養価には影響しないことが科学的に明らかになっています。
実験結果から確認してみましょう!
長時間水洗いしても、栄養がなくなるわけではない!
まずは洗浄時間による影響について見ていきます。
野菜に含まれる栄養は主にビタミン・ミネラル・不溶性食物繊維です。
中でも水に流出しやすいのは、ビタミンCに代表される水溶性ビタミンと、カリウムなどの一部のミネラル。
結論から言うと、工場における洗浄時間を適用した場合であっても、栄養素が大量に流出してしまうというわけではありません。
水溶性ビタミン以外の
・脂溶性ビタミン(ビタミンA、K、Dなど)
・不溶性食物繊維
については、水には溶けにくい性質のため、水洗いで流出することは考えにくいでしょう。
「野菜は長く水に漬けるな!」と教えられていた人も多いと思うので、これは驚きの事実ですよね。
まずは水溶性ビタミンについて。
女子栄養大学の研究によると、千切りにしたキャベツ を約15分間水に浸しビタミンCを測定した結果、水に浸す前に比べて、約85%ほど残存していることがわかりました。
さらに30分浸しても80%ほど残っていた、という結果が出ています。 ※1
また、ミネラルについても、葉野菜に含まれるカリウムを測定した結果、水さらしによる損失は1割未満でした。※2
洗うことで多少の栄養の流出は免れないですが、工場における10分程度の洗浄であれば影響は少ないといえそうですね!
※1 女子栄養大学 栄養学部 生物有機化学研究室 「野菜の旬と栄養価」
※2 『五訂 成分表収載食品の調理による成分変化率表』(渡邊智子ほか:栄養学雑誌、61〈4〉)、『腎臓病食品交換表 第7版』(黒川清監修:医歯薬出版、2006)
工場で洗浄しても、栄養価は家庭の水洗いと同程度!
とはいえ工場と家庭では洗浄方法が違うから、やっぱり残る栄養も変わるのでは…と思う方も少なくないと思います。
しかしそれも心配無用。
工場での機械洗浄と家庭での洗浄を比較し、栄養価に違いがなかったことも分析によりわかっています!
下記の表によると、工場での洗浄10分と家庭での水洗い1分と比較すると、栄養の損失は同程度であることがわかります。※3
参照:株式会社サラダクラブ 製造・品質工程 一覧 「洗浄方法により異なる栄養成分」
つまり、水洗いによる多少の流出は逃れられないにせよ、工場で洗浄したカット野菜も、しっかり野菜の栄養が残っているといえますね。
「消毒で栄養が壊れる」という事実はない
また、消毒による野菜の栄養価への影響もないということも科学的に実証されています。
まず、噂で「薬品」と呼ばれている消毒剤には、何が使われているのでしょうか。
現状一般的にカット野菜の殺菌・消毒目的で使用されているのは、「次亜塩素酸ナトリウム」。
農林水産省の試験研究機関が前身の農研機構によると、国内で最も一般的に使用されているものは「次亜塩素酸ナトリウム」水溶液であるとされています。※4
この「次亜塩素酸ナトリウム」は栄養を壊さないことも、きちんとわかっています。
厚労省の添加物部会の資料によると、
次亜塩素酸ナトリウム 100 mg/kg における、加温溶液による野菜の殺菌処理についてパセリにおける試験では、全ビタミン C および、酸化型・還元型ビタミンC は、未処理区のものと有意差がなかった
とあります。※5
※4 農研機構 1 生野菜およびその加工品による細菌性食中毒とその防止 3
※5 厚生労働省 次亜塩素酸水の成分規格改正に関する添加物部会報告書 4-(3)
この報告により、消毒に使われる次亜塩素酸ナトリウムに、栄養を壊す作用はないということがわかりますね。
さらに驚くべきことに、水道水で洗った場合と結果は同じということもわかっています。
カットしたレタスを用いて水道水で洗った場合と、次亜塩素酸ナトリウム液で洗浄した場合の栄養価を比較した実験によれば、洗浄後の栄養価はどちらもほぼ変わらなかった※6という結果に。
これについては、ビタミンだけでなく ミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄)についても同様だったとのこと。
※6 平成21年度日本調理科学会大会「カットレタスの洗浄方法の違いが栄養成分に及ぼす影響について」
この実験により、洗浄方法による栄養価の損失に違いはなく、栄養素の流出は消毒剤ではなく水によって起こる
ということが実証されました。
以上の2つのデータから、「消毒剤で栄養が失われる」という噂は正しくないと言えると思います。
企業努力によって保たれる鮮度こそ、栄養の証
野菜の栄養を左右するのは鮮度。なぜなら野菜は収穫後も呼吸を続けているので、時間が経てば経つほど栄養分が分解されていくから。
鮮度を保つには、呼吸をなるべく抑えるため「低温」と「低酸素」がカギになります。
カット野菜を手がけるキユーピーグループのサラダクラブによると、収穫から店頭に並ぶまでを常に10℃以下に保つ「コールドチェーンシステム」で流通させることで、まるごとの野菜に負けない鮮度を維持しているそう。
さらにパッケージには窒素充填がされており、低酸素状態にすることで鮮度が維持できるのです。
このような企業努力によっておいしいカット野菜ができるということも、消費者として知っておきたいですよね。
消毒に使われる「次亜塩素酸ナトリウム」の安全性はお墨付き!
消毒で栄養は壊れないとは言え、薬品を使うこと自体に抵抗を感じる方も多いと思います。
ですが、カット野菜の消毒に使用される「次亜塩素酸ナトリウム」が安全であることは、その性質を理解すればわかります。
その理由を解説していきます!
ほぼすべての食品に使用できる殺菌・消毒剤
次亜塩素酸ナトリウムが食品に使用できる理由として、たんぱく質と反応すると「塩」になるという性質が挙げられます。
哺乳瓶の消毒を例にとってみましょう。
哺乳瓶用の消毒剤としても次亜塩素酸ナトリウムが使用されていますが、「消毒後すすがなくてOK」と説明書に書かれています。
実はこれも化学反応の原理によるもの。
消毒後によく水を振り切れば、わずかに残った溶液はミルクをいれることで少量の塩になります。
これがすすがなくても良い理由なんですね。
このような性質から、次亜塩素酸ナトリウムはほぼすべての食品への使用が認められており、※7
カット野菜だけでなく野菜の浅漬けや果物など、食品用として認可されている殺菌・消毒剤の中で最も広く使用されています。
※7 公益財団法人 日本食品化学研究振興財団 「各添加物の使用基準及び保存基準」
カット野菜のみでは栄養的に完璧ではない
ここまで読んでいただき、
「手軽で栄養もとれてしかも安全。これからも野菜を補うためにカット野菜サラダを食べよう!!」と安心していただけたのではないでしょうか。
ですがちょっと待って。
もちろんパックに入っている野菜の栄養はきちんととれますが、そもそもコンビニやスーパーで見かけるサラダ用のカット野菜は、野菜の中で比較的栄養の少ない葉物野菜中心なのが少々難点。
下の表は一般的なカット野菜1袋に含まれる栄養素です。
ビタミンAやビタミンCなど比較的多く取れる栄養もありますが、1日の推奨摂取量に対し、取れる量は1割にも満たないのがほとんど。
レタスやキャベツなどの葉物野菜は、9割以上が水分のため、カロリーも少ない分栄養も少ないのです。
カット野菜だけでは、残念ながら野菜不足解消とは言えなそうです。
見た目でわかる「栄養価の高いカット野菜」のポイント2つ
それでもカット野菜は、普段野菜不足気味の人にとっても、野菜を摂る機会を増やせる手軽さが魅力。
活用しない手はありません!
「せっかく買うなら、より栄養バランスが取れている商品を選びたい!」というあなたのために、
栄養価の高いカット野菜を瞬間で選べる、2つのポイントをお伝えします。
- 見た目のキレイな商品を選ぶ
レタスミックスやキャベツミックスなど単品入りよりも、彩りの良い商品を選びましょう。
「●●品目の~」 という商品名のものは、栄養価の高い緑黄色野菜が入っているものが多いのでオススメ。
また、複数の種類の野菜を摂れれば、それだけいろいろな栄養を摂ることができます。オススメ商品>>
・セブンイレブン 10品目の緑黄色野菜サラダ
・ファミリーマート 彩り野菜ミックス
・キューピーサラダクラブ 10品目のサラダ レタスやパプリカ - レタスミックスならロメインレタスかサニーレタス入りを!
同じ葉物野菜でも、普通のレタスより色の濃いロメインレタスやサニーレタスがベースのものがベター。
レタスと比較してもロメインレタスは、食物繊維やビタミン・ミネラルなど、総合的な栄養価が約2倍~3倍!
サニーレタスも栄養価は全体的に高く、βカロチンは約10倍です。オススメ商品>>
・キューピーサラダクラブ シーザーサラダ用
・セブンイレブン 彩り野菜のレタスサラダ
(※商品ラインナップは2019年8月時点)
基本的に色の淡い野菜よりも、濃い野菜の方が栄養価に優れていると言われていますので、
迷ったら 彩りが鮮やかで色の濃い野菜が入っている商品を選んでみてくださいね。
カット野菜に「ちょい足し」でパーフェクトな健康食に!
野菜不足解消や健康・ダイエットのためにカット野菜を活用するなら、2つの栄養をプラスするだけで、さらに健康的な1皿にグレードアップさせることができます。
それはずばり、たんぱく質とミネラルです。
たんぱく質やミネラルは、健康維持にはもちろん肌や髪の毛の調子を整えたり、代謝をUPさせたりと、美容にも欠かせない栄養分。
これからご紹介する簡単ルールを実行すれば、いつものカット野菜をプラス3分で栄養満点の健康サラダにパワーアップさせることができます!
ちょい足しのルールは、
カット野菜 に 【 肉or魚or卵】 &【緑黄色野菜or海藻類 】のお惣菜を足すだけ。
例えば、ゆでたまごとほうれん草の胡麻和え、焼き魚ともずくスープなど。
お惣菜の種類は基本的になんでもOKです。
今回は、一皿でボリュームサラダとして食べられる、カット野菜と相性抜群のおすすめな組み合わせをご紹介します!
美容やダイエットにも有効なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
デトックスで便秘改善!<カット野菜(大根ミックス)+サバの味噌煮缶+ひじきの五目煮>
サバ缶にはたんぱく質だけでなく、ビタミンDやカルシウム、良質な油脂であるDHA・EPAがたっぷり。
DHAやEPAはやせホルモンとも言われ、中性脂肪をつきにくくする GLP-1の分泌を促すと言われています。
最近は「オリーブオイル漬け」などいろいろな種類の鯖缶が販売されているので、味を変えて楽しめますよね。
また、ひじきはミネラルの宝庫。さらに食物繊維、カルシウムが豊富に含まれます。便秘がちな方にもおすすめの組み合わせです。
ダイエット&美肌に!<カット野菜(ロメインレタスミックス)+サラダチキンハーブ+ かぼちゃサラダ >
言わずと知れたダイエットと筋トレ民の味方「サラダチキン」。
たんぱく質がたっぷりで低カロリー、しかも満足感も◎なので、活用しない手はありません!
かぼちゃには体内でビタミンAに代わるβ カロテンが豊富。皮膚や粘膜の抵抗力を高めるので、美肌づくりにもオススメの食材です。
サラダチキンは、レンジで1分ほどチンするとしっとりとして食べやすくなりますよ★
お肉でパワーチャージ!<カット野菜(レタスミックス)+ペッパービーフ+枝豆>
おつまみコーナーにあるペッパービーフ(パストラミビーフ)も、サラダとの組み合わせにオススメです。
カロリーも低めなので、お肉が食べたい気分の時も満足できる組み合わせです。
枝豆は実は大豆でありながら緑黄色野菜に分類されます。
たんぱく質、ビタミン類、食物繊維やカルシウム、鉄分などが豊富なばかりか、大豆には少ないβカロチンやビタミンCも摂れる優秀食材!
ちょっと余裕がある日に★カット野菜でスープをつくろう!
実は栄養満点のスープもカット野菜でつくれちゃいます。
身体を温め代謝を高めるスープは、冷えやすい女性におすすめの野菜の摂り方です。
冷蔵庫に余っている野菜があればどんどんいれちゃいましょう!
◎たっぷりキャベツのミルクスープ
<材料>
【 A 】
・千切りカットキャベツ(コールスローでもOK) 1袋
・ウインナーまたはベーコン 好きなだけ
・冷凍カット野菜(ほうれん草・ブロッコリーなどお好きなもの) 1袋
ーーーーー
・コンソメ 1キューブ(小さじ2程度)
・塩コショウ 少々
・豆乳 1パック(200ml)
・水 100ml
・粉チーズ 適量
<作り方>
①Aの具材をオリーブオイルで炒めます
②火が通って野菜がしんなりしたら水をいれ、煮立ったら豆乳・コンソメを加え、たまにかきまぜながら弱火~中火で煮込みます
※沸騰させないように注意!
③塩コショウで調味し、仕上げに粉チーズをかけて完成です
スープは溶け出した栄養もそのまま食せるので、野菜の栄養を余すことなく摂取できるのでおすすめの調理法です。
また、冷凍カット野菜は旬の時期に大量収穫した野菜を使用しているため、生で食べるより栄養価が優れている場合も!
また、ホウレンソウやブロッコリーなど緑黄色野菜がメインなのも◎です。
冷凍カット野菜の場合は凍ったまま調理するのがポイントです。
理由は、解凍する過程でビタミンCが溶け出してしまうため。時短にもなり、一石二鳥ですね。
カット野菜の保存。基本は「冷蔵室」で!
便利で活用方法も様々なカット野菜ですが、生きている野菜なので買ってすぐ食べるのが栄養的にもベスト。
ですが、使わなかった日や余ってしまったときは冷蔵庫の「冷蔵室」に保存しましょう。
カットされている分丸ごとの野菜よりも栄養も落ちやすいので、なるべく低温で保存したほうが栄養も落ちにくく、日持ちします。
野菜なので野菜室では?と思い浮かぶのですが、実は野菜室は冷蔵室に比べ少し温度が高いので、カット野菜の保存には適さないのです。
また、カット野菜のパッケージは窒素充填されていて低酸素状態なので、袋のまま保存するのがベスト。
消費期限は、メーカーにもよりますが未開封で3~4日程度です。
冷凍する場合は汁物や蒸し物に
もし開けてしまって食べきれなかったら、冷凍保存も手です。
カット野菜に入っているレタスやキャベツなどの葉野菜は、本来冷凍に向いていません。
理由は、水分が多いため解凍後に水分と栄養が出てべちゃっとしてしまい、おいしくないからです。
つまり一度冷凍してしまうとサラダとして食べるのはあきらめるしかないのですが、加熱調理には使えます。
フリーザーパックなどにいれて冷凍し、食べるときは凍ったまま調理するのがポイント。
スープや蒸し物に使えば、水分や栄養分を損なうことなく食べることができます。
どうしても余ってしまって食べきれないときは、思い切って冷凍してしまいましょう!
まとめ
この記事では、
- カット野菜の栄養は、「洗浄」「消毒」ではなくならない
- 消毒に使われる薬品は安全である
- 栄養バランスアップの簡単カット野菜レシピ
についてお伝えしました。
カット野菜にはきちんと栄養があり、安心して食べられる商品であることがお分かりいただけたでしょうか。カット野菜は一人暮らしの人や健康を意識している人にとって非常に優秀なツールです。
コンビニで買ったものでも、色や栄養を意識したものを選びお皿にキレイに盛り付けるだけでも、気分が全然違いますよね。
目で見る楽しみや、ほんの少しでも手をかけた時の達成感など、ささやかな「たのしい」「うれしい」という感情が、理想の食生活へと導いていきます。
「今日はカット野菜でいいや」ではなく、カット野菜を上手に活用して、楽しみながら健康的な食生活に役立ててほしいと思います。
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