ココナッツオイルを使おうとしたら「固まっていてどうしよう!」と驚いたことはありませんか?
実はココナッツオイルは、温度が25度以下になると固まってしまいます。
寒い季節になるといつの間にか白く固まってしまい、驚く人も多いのです。
でも、大丈夫!
固まってしまっても、溶かせばちゃんともとどおりに使えます。
しかし、溶かし方にも注意点があります。
この記事では、固まってしまったココナッツオイルを用途・容量別に正しく溶かす方法と、これだけはやってはいけない!という危険な溶かし方をご紹介します。
これさえ読めば、使いたい分量のココナッツオイルを「いますぐ」に「正しく」溶かして使えるようになります!
また、固まったココナッツオイルについてのさまざまな疑問についても、徹底的にお答えします。
さらに記事の最後では、「固まらないココナッツオイル」についてもご紹介していきます。
美容と健康にさまざまな効果が期待されるココナッツオイル。正しく使って、上手に利用していきましょう!
目次
1.ココナッツオイルはそもそもなぜ固まるのか
「肌寒さを感じるようになったある日の朝、使おうと思ったココナッツオイルが固まっていた」
「南国で買ってきたココナッツオイルを自宅でスーツケースから取り出したら、白く固まっていた」
そんな経験がある方も多いでしょう。
ココナッツオイルは、20〜25度以下になると固まるのです。
これは、ココナッツオイルが植物性の油脂であるにもかかわらず、バターやラードなどの動物性の脂と同様に「飽和脂肪酸」で組成されているからです。
この「飽和脂肪酸」が、常温で固まる性質を持っているのです。
【油が固まる温度一覧】
飽和脂肪酸 | 不飽和脂肪酸 | ||
ココナッツオイル | 20〜25℃以下 | オリーブオイル | 0〜6℃以下 |
バター | 28〜35℃以下 | ごま油 | −6〜−3℃以下 |
ラード(豚脂) | 27〜40℃以下(部位による) | 米油 | −10〜−5℃以下 |
ヘット(牛脂) | 40〜50℃以下 | なたね油 | −12〜0℃以下 |
固まる温度がわかったところで、次の章では適切な溶かし方を詳しく紹介しましょう。
2.ココナッツオイルを正しく溶かす方法
固まってしまったココナッツオイルを溶かす手順を、使う量や使用目的に応じた最適な方法をご紹介します。
- 【少量の場合】小さな器に取り分けて湯煎で溶かす
- 【少量の場合】魚焼きグリルで溶かす
- 【量が多い場合】瓶ごと湯煎で溶かす
- 【揚げ物・炒め物に使う場合】鍋やフライパンで直接溶かす
手軽に溶かしていろいろな用途に使うことで、ココナッツオイルのメリットを効果的に取り入れていきましょう!
2-1.【少量の場合】小さな器に取り分けて湯煎で溶かす
ドレッシングなどで少量使う場合は、使いたい分だけ器に取り出して湯煎します。
- 玉子焼き器やフライパンなど、フチの低いものに水を張って火にかける
- 水が充分に温まったら、分量のココナッツオイルを入れた器をそっと置く
- 鍋の湯温が冷めないように火加減を調整する
お湯を張ったフライパンを火にかけなくても、給湯器で設定した40〜50℃程度のお湯を出して器に張り、そこにひと周り小さな器に入れたココナッツオイルを置いても、少量ならちゃんと溶けます。
とはいえ真冬の朝など室温が低い場合には、火にかけた湯煎法の方が早く溶けるでしょう。
2-2.【少量の場合】魚焼きグリルで溶かす
同じく少量を溶かす場合、魚焼きグリルを使う方法も手間がかからず便利です。
- 魚焼きグリルを1〜2分ほど温める
- 火を消し、小さな器に取り分けたココナッツオイルを余熱で溶かす
注意:必ず火を消し、耐熱容器を使ってください。トースターでもできます。
オーブンは温度が上がるまでに時間がかかりすぎるので、効率的ではありません。
2-3.【量が多い場合】瓶ごと湯煎で溶かす
菓子作りなどで一度にたくさんのココナッツオイルを溶かす場合は、瓶ごと湯煎にかけて溶かします。
- 鍋に水を張り火にかける
- 水が充分に温まったら、ココナッツオイルを瓶ごと入れる
- 鍋の湯温が冷めないように火加減を調整する
ココナッツオイルは25℃以下で白く固まり始めるので、最低でも26℃以上になれば溶けます。
そのため、鍋のお湯はグラグラと沸騰するほど熱くしなくても大丈夫です。
量が多いので、鍋を火にかける湯煎方法でないと上手に溶けません。
注意:うっかり高温になりすぎると危ないので、念のためフタは外して湯煎してください。
2-4.【揚げ物・炒め物に使う場合】鍋やフライパンで直接溶かす
炒め物や揚げ物などで使う場合は、スプーンなどで削り取ったココナッツオイルを鍋の中に直接入れて溶かします。
- 鍋またはフライパンを温める
- 使いたい量のココナッツオイルをスプーンなどですくって入れる
揚げ物の場合、高温すぎると泡立って吹きこぼれる危険があるため、180°Cまでの中温で揚げるようにしましょう。衣がさっくりとした、いつもより歯触りのよい揚げ上がりが楽しめます。
ココナッツ独特の甘い香りが気になる場合は、料理用に精製されたものであれば、香りがほとんどないため、和食にも使うことができます。
3.これだけはやっちゃダメ!な溶かし方
!危険!
電子レンジの「オート機能」を使うこと
電子レンジでココナッツオイルを温めるのは、危険です。
冷凍しておいたものを電子レンジで温めた時、「中は熱くなっているのに表面や周囲はまだ冷たい」という経験をしたことはありませんか?
機能上、電子レンジで温めると、どうしても温度ムラが生じてしまうのです。
油を電子レンジで温めた時、極端に高温なところができてしまうと、発火などの事故につながる場合もあります。
特に、ココナッツオイルを溶かす場合は、温めの途中で固形部分と液状部分が混在するため、温度ムラができやすいと言えます。
基本的に電子レンジの使用は避けた方がいいものですが、「どうしてもレンジでしか溶かせない!」という場合は、低いワット数を使ってごく短い時間で半分だけ溶かし、あとは余熱で自然融解するのを待ちます。
「オート機能」を使って溶かすことだけは、絶対にしないでおきましょう。
4.覚えておくと便利!固まったココナッツオイルを計る方法
液体であれば「大さじ1」も「50ml」も計りやすいですが、固まっているとどれくらいなのか、実際のところはわからないまま、だいたいの目分量で使ってしまっていませんか?
固まっている場合は、重さから量を割り出します。
ココナッツオイル「小さじ1(5ml)」は、「4g」と覚えておいてください。これは固まっていてもいなくても変わりません。
計量器の大きさごとの重さを一覧しますので、参考にしてください。
ココナッツオイル | 水 | |
小さじ1/5ml | 4g | 5g |
大さじ1/15ml | 12g | 15g |
1カップ/200ml | 180g | 200g |
ちなみに計る時は、ココナッツオイルを瓶ごとスケールに乗せた状態を「0(ゼロ)」に設定してから計ると便利です。スケールの目盛を、使いたい分量だけ減らすのです。
計量スプーンでなくても計れますし、洗い物も増やさずに済むので楽チンです!
5.固まってしまったココナッツオイルについてのFAQ
Q.固まったものを溶かして使っても、悪くならないの?
A.ココナッツオイルは酸化に強いため、加熱しても劣化しにくいのが特徴です。
凝固と融解はもともと自然な現象なので、何度繰り返したとしても、開封から2年くらいは品質に変化がありません。
Q.加熱することで、栄養素は壊れないの?
A.ココナッツオイルの美容・健康成分として有名なラウリン酸やビタミンEは、加熱による酸化・消失がほとんどない成分です。
ココナッツオイルは「飽和脂肪酸」で組成されているのですが、これは炭素と水素の結びつきが安定しているということ。
少し専門的な話になりますが、炭素も水素も片手しかなく、その手でお互いしっかりつかんでいる状態(一重結合)です。
一方、「不飽和脂肪酸」は炭素の中に手をふたつ持っているものがいて、基本的には両手とも水素と手をつないでいる状態(二重結合)なのですが、温度変化や紫外線の影響で片手が離れ、空気中の酸素と結びつくことがあります。
飽和脂肪酸で組成されたココナッツオイルは、ほかの不飽和脂肪酸で組成された植物性油脂と比べて、酸化しにくいのが特徴です。
Q.バターやラードと同じく常温で固まるなら、体に悪くはないの?
A.ココナッツオイルは「酸化しにくい」「体内に蓄積されにくい」ということから、健康への効果が期待されている食材です。
「脂肪酸」には元素の結びつきの数によって「長鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「短鎖脂肪酸」の3つがあり、ココナッツオイルは「中鎖脂肪酸」の含有量が特に多いことで知られています。
この「中鎖脂肪酸」は、摂取するとすぐに肝臓に運ばれて分解され、エネルギーとして燃焼されるもの。
それに対して「長鎖脂肪酸」は、体内の脂肪や筋肉に運ばれて貯蔵されるのです。
体内に蓄積されにくいため、コレステロールの増加や動脈硬化などを引き起こすことはありません。
6.固まらないココナッツオイル
「固まる理由はわかったけど、やっぱりどうしても溶かすのが面倒!」という方には、「固まらないココナッツオイル」というのもあります。
「リキッドココナッツオイル」と呼ばれるもので、ココナッツオイルに含まれる、常温で固まる脂肪酸を取り除いたもの。
ゆっくりと温度を下げていきながら、固形化された脂肪酸を取り除く…という作業を繰り返すことで、0℃でも固まりにくいココナッツオイルに仕上げています。
温度を下げる過程で固まっていくのは、不飽和脂肪酸の長鎖脂肪酸。
それを取り除くことで、長鎖脂肪酸の割合が下がり、中鎖脂肪酸の割合が高まります。
通常のココナッツオイルは中鎖脂肪酸が60%前後ですが、リキッドココナッツオイルは約1.5倍、92.8%まで高まるのです!
溶かす手間がなくさっと使えるので、飲み物に入れたりドレッシングに使ったり、寒い季節でも手軽にココナッツオイルを楽しむことができます。
7.まとめ
ココナッツオイルが固まる理由と容量別の溶かし方、計り方から利用法まで、固まったココナッツオイルについてのさまざまな疑問が解消されたことと思います。
美容や健康にいろいろな効果の期待されるココナッツオイル。
「手軽に」「正しく」溶かして活用することで、あなたの毎日は、いまよりもっと輝きを増すでしょう。
ぜひ今すぐに試して、ココナッツオイル生活を存分に楽しんでください!
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