【自然現象】子どもに落ち着きがない原因と対処法を解説

「うちの子、どうしてこんなに落ち着きがないの?」
「子どもに落ち着きがなさすぎて、将来が心配…」

子どもに落ち着きがないために、周囲への迷惑や将来への心配が尽きないという親御さんは、少なくありません。
実際のところ、小学館が行ったインターネットアンケートでは、約8割の親が我が子に落ち着きがないと感じています

 

参考:小学館HugKum

これだけ多くの親御さんが、子どもの言動を「落ち着きがない」と感じるのは、実は、とても自然なことと言えます。

なぜなら、未発達な子どもの脳が刺激や別の興味対象を求めることによって、落ち着きのないと思われる言動が引き起こされるからです。

この働きは、成長した大人の脳ではまず起こることのないことです。お子さんの性格や親の育て方の問題というよりも、脳の成長過程で現れる自然な現象のひとつなので、どんなに落ち着きのない子でも、小学校高学年には落ち着いてきます。

とはいえ、幼稚園や小学校など集団生活に入る前後のタイミングでは、落ち着きのなさがいつも以上に気になってしまいますし、「ここでは静かにして欲しい」というシーンもあるでしょう。

そこでこの記事では、脳神経科学の視点から、子どもの落ち着きのない行動の原因を探り、具体的な対処法をお伝えします。
次に子どもが落ち着きのない行動をした時に、イライラすることなく適切な対処をするために、ぜひお役立てください。

1.子どもに落ち着きがないのは脳が成長途中で未発達だから

子どもの言動に落ち着きがないのは、当たり前のことと言えます。
なぜなら脳が成長途中で未発達なため、成長した脳を持つ大人と比べるとどうしても言動のコントロールが難しいからです。
具体的に、脳が成長途中であることで、以下のようなことが起こります。

  • 「からだの脳」が発達のために特定の刺激や感覚を求めてしまう
  • 集中力の続く時間が大人よりも短い
  • 「男の子脳」と「女の子脳」が存在する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1.「からだの脳」が発達のために特定の刺激や感覚を求めてしまう

脳自体が発達をするため、年齢や成長段階ごとに特定の刺激や感覚を求める指令を出すことがあります。
特に脳科学の分野では、次のように脳の発達には順番と適齢期があることがわかっています。

参考:公益財団法人母子健康協会 子ども達の脳と体の発達

0歳〜5歳からだの脳・生きるために必要な動き
・粗大運動(座る・立つなど)
1歳〜18歳お利口さんの脳・言語や手先の器用さ
・微細運動(折り紙・箸を使うなど)
10歳〜18歳こころの脳・社会性
・人間関係
・成功、幸せの概念

0歳〜5歳は、脳が発達のために体に粗大運動の刺激を与えようとするため、突然走り出したり飛び跳ねたりすることがあります。
これは本来であれば発達のために必要なことなので、本人というよりは脳が気の済むまで、好きなだけ体を動かさせた方が、成長には良いと言えるものです。

次に、1歳〜18歳にかけて、文字や言語を認識するお利口さんの脳が育ち始めます。
最終的に「からだの脳」と「お利口さんの脳」のそれぞれがしっかりと発達して結びつくことにより、周囲の状況と自分の言動の一致を図ったり調整したりする「こころの脳」がやっと発達します。

そのため、落ち着きがないからと発達障害を疑う前に、そもそも子どもの脳は発達途中であり、10歳くらいまでは「大人の求めるような落ち着き」を示すことはまず難しいものであることを覚えておきましょう。

1-2.集中力の続く時間が大人よりも短い

未発達な子どもの脳では、集中力が続く時間が大人よりも、ずっと短いことも分かっています。

【年齢別:子どもの集中力が持続する時間】

年齢集中力の持続可能時間
未就学児(0~5歳)年齢+1分
小学校低学年(6~9歳)約15分
小学校高学年(10~12歳)約15~20分
中学生(13~15歳)約30分
高校生(16~18歳)約45分
大学生以上~大人約90分

ご覧いただくとわかるように、未就学児では最長で6分、小学校3~4年生くらいでも15分ほどしか集中力は持続しないものなのです。

そのため、子どもの集中力が切れた時に、脳が「からだの脳」の発達のための刺激を求めて「体を動かす」という指令を出すと、動き回ったり足をバタバタさせたり、いわゆる「落ち着きのない」行動が出てきてしまいます。

あるいは同じく「からだの脳」の発達のための刺激であっても、「寝る」という指令の場合は、眠くてわけがわからなくなることで泣き出すようなケースもあります。

我が子に落ち着きがないからといって発達障害を疑う前に、何かに集中できているか、その持続時間はどれくらいかを、上記の表と照らし合わせて、観察してみると良いでしょう。

「男の子脳」の子どもだとより「落ち着きのなさ」を感じやすい?

実は、身体的な性別や性的嗜好とはまた異なるところで、「男の子脳」と「女の子脳」とが存在することが、脳神経科学によって解明されてきています。

基本的には男の子は「男の子脳」を、女の子は「女の子脳」を持っていることが多いものです。「男の子脳」を持つ子どもは、落ち着きがないと感じるケースが多くなります。

2.解決の鍵は我が子の「落ち着きのないパターン」を理解すること

子どもがなぜ落ち着きのない行動をしているか、まずはその理由を知ることで、落ち着きのない行動の予防や早く落ち着かせることができます。
子どもが落ち着きのない行動をするのには、主に以下の理由があります。

  • 脳が粗大運動の刺激を求めている
  • 興味や関心を引くものが近くにある
  • 音や光など、集中を削ぐものがある
  • ストレスを感じている
  • 注目を集めたい

それぞれの対処法については第3章で詳しく説明しますが、まずはその理由について具体的に見ていきましょう。

2-1.脳が粗大運動の刺激を求めている

1-1.「からだの脳」が発達のために特定の刺激や感覚を求めてしまうの項でお伝えしたように、「からだの脳」の成長を促すため、「体を動かす」という指令を脳が出すことがあります。

子ども自身の人格などから来る欲求ではなく、脳の指令による衝動であることを理解してあげてください。

POINT!

子どもの言い分が「走りたくなった」「なんか動いちゃう」「踊りたくなっちゃった」といった内容の場合、脳の刺激にしたがっている場合が多いと言えます。

2-2.興味や関心を引くものが近くにある

特に「男の子脳」の子どもの場合、モノやコトへの興味・関心が高いため、対象を見つけると抑えることができません。

運動能力も「男の子脳」によって高くなりやすい傾向があるため、歩き出すようになると興味対象に向かって突然走り出したり飛びついたりすることがあります。

外では危険が伴う場合があるため、安全確保が第一に必要になってきます。

POINT!

落ち着きがない子の場合、興味の対象が一般的に男の子受けのする虫や緊急車両だけでなく、イヌや猫、空を飛ぶ飛行機、自動販売機など、次々に変わる子も少なくありません。

2-3.音や光など、集中を削ぐものがある

音や光などの外部刺激によって、集中したくてもできない状況になることがあります。

その場合、感覚過敏という状態になっている可能性もあります。感覚過敏は、音や光だけでなく匂いや肌触り、味の好みなどとして現れることもあるものです。

発達障害によって併発するケースもありますが、一時的なストレスで発症することもあります。感覚過敏は周りから理解されにくく、単に我慢が足りないだけだとか、わがままによるものだと思われがちです。

しかし子どもの場合は特に、なにが嫌なのか・不快なのか、ほかの人とどう違うのかを周りにうまく伝えられないことが多く、落ち着きのない状態になることがあります。

POINT!

音や光の感覚過敏については、頭痛を訴える場合も少なくありません。

2-4.ストレスを感じている

もともと落ち着いている子であっても、ストレスを感じることで、落ち着きのない言動をすることがあります。

地震などの災害を始め、家族や所属している集団の中でけんかや言い争いが絶えない環境にいると、警戒心や不安感からじっとしていられずに動き回ったり、おしゃべりが止まらなくなったりなど、落ち着きのない行動として現れることがあります。

もちろん、単にやりたくないことやつらいことによるストレスから逃げ出すために、落ち着かない行動をとることもあります。

POINT!

ストレスから逃げ出したい、解消したいという気持ちから来ている落ち着かない状態なので、抑圧するとさらにエスカレートしたりパニックになることがあります。

2-5.注目を集めたい

落ち着きのない行動によって、あえて大人に叱られることを求める場合があります。
周囲の大多数と同じ正しい行動では、注目されたり話しかけたりしてもらえないため、落ち着きのない行動をすることで、声をかけてもらったり、自分のことを見てもらったりなどのコミュニケーションを取ろうとするものです。

「存在を認めてもらいたい」という欲求によるもので、ひとりっ子よりも兄弟がいる子どもで起きやすい傾向があります。

POINT!

下の子の誕生による赤ちゃん返りがもっとも分かりやすい例です。ひとりっ子でも親が自分に無関心であるように感じている場合、幼稚園や小学校などの集団生活の中で注目を集めたがることがあります。

3.【パターン別】子どもに落ち着きがないときの対処法

子どもが落ち着かないパターンや理由に合わせた対処をすることで、早く落ち着かせたり、そもそも落ち着きのない行動をさせないようにしたりすることができます。

具体的には、以下のように対処します。

【パターン別】子どもに落ち着きがないときの対処法

それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。

3-1.脳が粗大運動の刺激を求めている場合は擬似的な体感覚を与えよう

「からだの脳」の発達のために脳が粗大運動の刺激を求めている場合、擬似的な体感覚を与えることで落ち着かせることができます。

擬似的な体感覚とは、走り回ったり腕を振り回すなどの運動の代わりに、もっと小さな動きをさせることで、脳からの指令にごまかして対応することです。

周囲の環境がどれだけ許すかにもよりますが、具体的には以下のような方法で、擬似体感覚を与えることができます。

  • 子どもの体を支えてぐらぐら揺らす
  • 手首を支えて腕をぶらぶらさせる
  • その場で肩回しや首回しをさせる
  • その場で足踏みをさせる
  • 「あっち向いてほい」をする
  • クッションなど柔らかいものを叩かせる
  • 腕や脚の筋肉をモミモミする

ひとつひとつは小さな動きでも、状況に応じていくつか組み合わせてやらせることで、脳からの指令に対応することができます。

3-2.興味や関心を引くものが近くにある場合は家の中と外で対応を分けよう

興味や関心を引くものが近くにある場合は、下記のように環境を整えましょう。

 興味対象を隠す
 ルールを体で覚えさせる

3-2-1.家の中の場合は興味対象を隠す

家の中では、興味や関心を引く対象を把握し、集中して欲しい時には興味対象を隠すなどして環境を整えることで、落ち着きのない言動を誘発しないようにします。見えないようにすることで、そもそも興味を引かせないのです。

ただし、食卓や勉強机などを壁に向けて設置すると、圧迫感からかえって落ち着かなくさせてしまうこともあります。
「視界を遮る」のではなく、「見えないところに置く」ようにしてください。

3-2-1.家の外の場合はルールを体で覚えさせる

一方、外ではどこにどんな興味対象があるか予測不能なため、突然興味対象を見つけて走り出してしまう危険があります。

道路を歩く時に安全のために守って欲しいルールなどは、日頃から親子で歩く時に口で言うだけでなく体で覚えさせるのが有効です。

  • 断歩道を渡る
  • 交差点では立ち止まる
  • 交差点では「右→左→右」の確認をしてから渡る

親が実際に立ち止まり、子どもと一緒に体を動かして確認することを繰り返します。

それにより、興味対象に向かって飛び出した時でも、交差点や横断歩道の手前で体が条件反射で立ち止まるようになるのです。

迷子紐は子どもを「制限」するものではなく「守る」もの

歩き始めて間もないうちは、迷子紐や迷子リュックなどを活用して、安全確保することも必要です。
ただし、迷子紐を使う場合は、以下の点に注意してください。

  • 迷子紐をつけていても基本的には手を繋ぐ
  • 本当に危険な時にだけ引っ張る
  • 本当に危険な時には引っ張ることがある旨を子どもに事前に伝えておく


迷子紐に対して「自分の行動を制限されるもの」という認識を植え付けてしまうと、迷子紐をつけることそのものをイヤがり、万が一の時に子どもを守れなくなってしまいます。

本当に危険な時にだけ引っ張り、引っ張った後は抱きしめて、無事だった喜びをしっかりと伝えてあげましょう。

3-3.音や光など、集中を削ぐものがある場合は環境を整える

音や光など、集中を削ぐものがある場合は、場所や向きを変えるほか、帽子やサングラス、イヤーマフなどを活用して、安心できる環境を作ってあげましょう。

集中したいのに音や光によって集中できないという状況は、子ども自身も落ち着きたいのに落ち着けず、かなりイライラが溜まっている状態です。

この状態で落ち着きのなさを注意されると、どうにもならなさから癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうため、子ども自身が困っているということを理解してあげてください。

ただし、前述もしましたが、子どもが自分で「音や光のせいで落ち着かない」と正しく伝えるのは、なかなか難しいものです。

特定の場所でいつも落ち着かない様子が見られる場合は、音や光が気になっているのか、親の方から声かけして引き出してあげましょう。

3-4.ストレスを感じている場合はストレス源を探して取り除く

ストレスを感じている場合は、できるだけ早くそのストレス源を特定して、取り除いてあげます。

家庭や所属する集団の不仲といった環境は、すぐに切り替えることはできないかもしれませんが、その状況が長くは続かないものであることや、改善のために努力していることを伝えてあげるだけでも安心します。

また、靴が合わないとか洋服の繊維が肌に当たるなど、物理的・肉体的なストレスによって落ち着きがなくなることもあります。

痛いところや気になることがないかを本人に直接聞いてみるほか、全身の様子を注意して見てみることも大切です。

発表会などを控えていて一時的に落ち着かないといった場合は、「緊張するね」「そわそわしちゃうね」と、親の方から子どもの状態を言語化してあげることで、自分の状態を認識して落ち着くことができます。

3-5.注目を集めたい場合は「良い行動」を継続的にほめる

注目を集めたくてやっている落ち着きのない行動に対しては、日頃から継続的に「良い行動」を褒めることが必要です。

自分に注目してもらいたくて落ち着きのない行動を取る子どもは、その場で反応して叱ったり抑えたりすることが、その子どもの欲求を叶えることになります。

すると、さらに落ち着きのない行動を増長させてしまいます。

落ち着きのない言動には、反応をしないのが最良の方法です。
その上で、日頃から以下の状態でいる時に、積極的に声かけをしてほめてあげます。

  • 座っている
  • 前を向いている
  • お話を聞いている
  • 遊ばないでいられている など

「良い行動」で注目してもらえると知ることで、落ち着きのない行動が減っていきます。

4.落ち着きのない子どもは「栄養不足」の可能性も疑ってみる

落ち着きのない子どもでは、栄養不足がひとつの原因になっている場合もあります。
以下の栄養が十分に摂れているかどうか、食生活を振り返って見てください。

亜鉛
(集中力を上げる)

  • 牡蠣
  • ウナギ
  • いわし
  • 牛肉
  • レバー
  • 海藻
  • すりごま
  • 油揚げ

ビタミンB1
(中枢神経の働きを円滑にする)

  • 豚肉
  • 赤身肉
  • 全粒穀物・ナッツ
  • 大豆
  • カリフラワー
  • ほうれん草

カルシウム
(精神の安定を保つ)

  • 牛乳
  • チーズ
  • ヨーグルト
  • 小魚
  • 豆腐
  • 納豆
  • 海藻

鉄分
(全身に酸素を運ぶ)

  • あさり
  • しじみ
  • レバー
  • コンビーフ
  • 牛肉
  • さんま
  • かつお

特に鉄分は神経発達に必要な栄養素で、乳幼児期に不足すると、長期的な中枢神経系の発育・発達に影響を与えてしまうものです。
鉄分が欠乏すると、以下の症状が起こります。

  • 集中力の低下
  • 注意力の欠如
  • 倦怠感
  • 味覚の異常
  • 頭痛

   参考:こどもの貧血、早期発見のポイント

鉄欠乏性貧血では、無性に氷を食べたくなることが確認されているため、もしもお子さんがよく氷を食べているのであれば、鉄分不足によって落ち着きをなくしている可能性もあります。

実際のところ、厚生労働省の調べでは、日本人の子どもの鉄分の摂取状況は、推奨量に対して平均的な摂取量が大きく下回っていることがわかっています。

参考:厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)令和4年国民健康・栄養調査結果の概要より一覧化

1~6歳で推奨されている1日あたりの鉄分の摂取量は4.5~6.5mgなのに対して、実際には男子で4.4mg、女子では4.2mgしか摂取できていません。
2歳頃までは推奨量と摂取量に大きな開きはないものの、3歳を超えるとその差は大きく開いていくのです。

偏食があったり、鉄分の吸収を妨げる牛乳を多く飲んでいる子どもでは、特に鉄分が不足している可能性が高いと言えるでしょう。


体に貯蔵できる「フェリチン鉄」なら
空腹になった時でも安心!

食事からの摂取だけでは難しく、どうしても不足しがちな鉄分は、サプリメントなどを使って上手に取り入れたいものです。サプリメントで取れる鉄分には、以下の4種類があります。

  • ヘム鉄:動物性食品に多く含まれる。吸収率が高い。
  • 非ヘム鉄:植物性食品に多く含まれる。日本人が食事から摂取する鉄の85%を占めるが、吸収率は高くない。
  • キレート鉄:キレート加工を施して吸収率を高めた非ヘム鉄。
  • フェリチン鉄:体内で生成される鉄分。別名「貯蔵鉄」と言われる。

鉄分は基本的に体内に残らず、排出されてしまいます。しかしフェリチン鉄は、肝臓や脾臓で貯えられる貯蔵鉄で、予備の鉄と呼べるものです。

鉄が必要になった時に肝臓や脾臓から鉄を放出し、血中のヘモグロビンに鉄を供給します。それにより、鉄が酸素と結合して体中に酸素を運ぶのです。

脳にしっかりと酸素が供給されていると、集中力が持続し、注意力の低下を防ぎます。空腹になったり、食事バランスが少しくらい悪くなったりした場合でも、体内に貯蔵しているフェリチン鉄があれば、落ち着いて考えることができるようになります。

なお、お子さんに鉄分サプリメントを与える場合は、無添加での処方など、できるだけ体に良いものを選んであげましょう。

5.子どもが発達障害(ADHD)かどうか確認する方法

我が子の落ち着きのなさが発達障害によるものか、それとも定型発達の脳の成長段階における自然な現象なのか、気になる親御さんも多いと思います。

発達障害のうち、一般にADHDと表される「注意欠如多動症」の特徴を、以下のチェックリストで確認してみましょう。

ただし、「こうあって欲しい」や「こうあるべき」といった親の期待が大きすぎると、本当は少しできていることでも、「まったくできていない」と評価し、すべての項目にチェックがついてしまうこともあります。

すべての子どもの脳は発達途中であることを理解して、お子さんの言動と照らし合わせてみてください。

  • 忘れっぽく、物をなくしやすい
  • やるべきことや約束を果たせない
  • 集中しづらい
  • 片付けや整理整頓が苦手
  • 注意が長続きせず、気が散りやすい
  • 話を聞いていないように見える
  • 落ち着いてじっと座っていられない
  • そわそわして体が動いてしまう
  • 過度なおしゃべり公共の場など、静かにすべきところで静かにできない
  • 順番が待てない
  • 気に障ることがあると乱暴になってしまうことがある
  • 会話の流れを気にせず、思いついたらすぐに発言する
  • 人の邪魔をしたり、さえぎって自分がやったりする
  • 時間の管理が苦手

出典:ADHD(注意欠如多動症)の特徴とは?2歳ごろから現れる?チェックリストも【専門家監修】【LITALICO発達ナビ】

年齢や環境によっても、落ち着きのなさのほかに現れる、特性による困りごとは異なってきます。

現段階で上記のチェックリストに当てはまるものが多くても、長期に渡って以下のような支障がなければ、すぐに何がしかの療育を始めるべきというものではありません。

  • 落ち着きがないことで、周囲から孤立するなどして本人が継続的に悩んでいる。
  • 落ち着きがないことで、お友達や先生が継続的に困っている。

たとえ発達障害の特性を多く持っていたとしても、落ち着きがないことで本人が必ず生きづらさを感じているとは限らないのです。

6.「落ち着きのなさ」は我が子の個性としてポジティブに捉えよう

「落ち着きがない」と言うとどうしてもネガティブな印象を与えてしまいますが、「長所は短所」であるならば、「短所は長所」と言うこともできます。

お子さんの落ち着きのなさやそれに付随する性格を、以下のようにポジティブな個性として捉え直してみましょう!

ネガティブポジティブ
 落ち着きがない 常に元気でエネルギーに満ち溢れている
 行動が衝動的 思い立ったらすぐ行動に移せる積極性がある
 すぐに気が散る 周囲の変化や細かいことに気がつきやすい
 新しいものに目移りする 好奇心が旺盛で新しいことに挑戦する意欲が強い
 忘れっぽい 細かいことに捉われない大らかさがある
 忘れ物が多い 臨機応変な対応力を養っている
 同じことを何度言っても理解しない 知ったかぶりをしない誠実さがある
 大雑把で雑 大局的な視点を持って全体を見渡せる
 集中力がない 広い視野でさまざまなことに興味を持つ
 慌ただしい  効率よく多くのことをこなそうとする
 騒々しい 賑やかで生命力がある
 計画性がない 即興力がある

ちょっとくらい落ち着きのないところはあっても、お子さんがたくさんの魅力と可能性の持ち主であることに、いま一度気づかれたのではないでしょうか。

7.まとめ

今回は、落ち着きがない子どもの脳の仕組みと対処法についてお伝えしました。子どもに落ち着きがないのは、以下のような成長途中の脳の仕組みによるものです。

  • 「からだの脳」が発達のために特定の刺激や感覚を求めてしまう
  • 集中力の続く時間が大人よりも短い

子どもに落ち着きがないときの対処法は、下記のとおりです。

本記事が、お子さんの落ち着きのなさに悩むあなたの心を軽くし、頑張って成長するお子さんを、あなたと一緒に応援するものになりますように。

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