「シリコンバレー式ダイエット」や「完全無欠コーヒー」などでダイエット効果があると話題のMCTオイルですが、
「MCTオイルを摂ったら下痢になってしまったので、飲むのをやめた」
「ダイエットのためにMCTオイルを使いたいけれど、下痢になると聞いたので不安」
と困っている人も多いのではないでしょうか?
確かにMCTオイルには、下痢や腹痛を引き起こすリスクがあることがわかっています。
ただ、事前に下痢にならない対策も取ることができます。
それは「少量から使い始める」という方法で、量さえ気をつければ安心して使うことができるのです。
そこでこの記事ではまず、
- MCTオイルが下痢を引き起こす理由
- 下痢以外に起きるかもしれない副作用
について正しく知ってもらい、それを踏まえた上で、
- 下痢にならずにMCTオイルを摂る方法とその量
について説明していきます。
この記事を最後まで読めば、あなたもきっと下痢の心配なくMCTオイルを使うことができるはずです。
MCTオイルを正しく使って、安全なダイエットができることを願っています!
目次
1 MCTオイルには下痢になるリスクがある
「MCTオイルを摂ると、腹痛や下痢になる」というのは、果たして本当でしょうか?
結論から言えば、MCTオイルには腹痛や下痢を引き起こすリスクがあることが、研究でわかっています。
まず最初に、その理由、仕組みについてわかりやすく説明していきましょう。
1-1 MCT=中鎖脂肪酸が下痢を引き起こす理由
まず、なぜMCTを摂取すると下痢になる可能性があるのでしょうか?
それは、体内に摂取されたMCTが、非常に素早く消化吸収されるという性質が原因です。
MCT=中鎖脂肪酸は、脂肪酸の一種です。
ココナッツオイル、パーム油(ヤシ油)に多く含まれ、母乳や牛乳にも含まれています。
脂肪酸は、炭素が鎖状につながった分子構造を持っていますが、その長さによって以下の3種に分類され、それぞれに異なる性質を持っています。
一般的によく使われるサラダ油やオリーブオイルなどその他の植物油や、動物性の油脂は、「長鎖脂肪酸」と呼ばれ、体内に一度蓄積されてからゆっくり分解されてエネルギーになります。
一方で、MCTは消化吸収されるスピードが早く、長鎖脂肪酸の5倍ものスピードで分解されるという特徴があります。
そのため、長鎖脂肪酸に比べて体内に蓄積されにくく、したがって太りにくいというダイエット効果が期待できるのですが、一方で、非常に素早く消化吸収されてしまうことによって、小腸の中の浸透圧が高まります。
浸透圧が高くなると、体内の水分が腸粘膜を通って腸管の中に移動し、腸内の水分量が多くなるため、下痢や腹痛を引き起こすのです。
1-2 下痢以外にもこんな副作用がある
前項で説明したような理由から、MCTの摂取で下痢や腹痛が起きる場合がありますが、それ以外にも副作用があることがわかっています。
それは、ケトン体が増えることです。
「ケトン体」とは、β-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの総称で、体内の脂肪を分解して肝臓で生成され、エネルギーとして消費される物質です。
体内のエネルギーとしてブドウ糖が不足している時に、代わりのエネルギー源として脂肪を分解して生成されるため、脂肪を効率よく消費してダイエットにつながる物質として知られています。
が、ケトン体が増えすぎると体液が酸性に傾いてしまうのです。
この状態を「ケトーシス」または「ケトアシドーシス」と呼び、糖尿病や肝硬変を患っている人が陥ると、吐き気や嘔吐、腹痛と下痢、昏睡などの症状を引き起こす危険性があります。
もし、「MCTオイルを摂りたいけれど、糖尿や肝機能障害がある」という場合は、事前に医師に相談してください。
参考
※ 日清オイリオ株式会社研究所|青山敏明「中鎖脂肪酸の栄養学的研究ー最近の研究を中心にー」
※ 雪印乳業株式会社生物科学研究所|中村強ら「胃全摘ラットの脂質代謝に及ぼす中鎖脂肪酸トリグリセリドの影響」
※ 田無病院|丸山道生「各種脂肪乳剤の特徴と代謝」
※ 国立国際医療センター・消化器科|松枝啓「吸収不良症候群と蛋白漏出性胃腸症 Ⅶ.経腸栄養療法」
※ 女子栄養大学栄養学部ら|田中明ら「中鎖脂肪を用いたビスケットの単回摂取による血中脂質・血糖値の動向」
※ 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病の急性合併症のはなし」
※ 公益社団法人日本薬学会 薬学用語解説「ケトアシドーシス」
※ 厚生労働省 医療分野のトピックス「高血糖②」
2 MCTオイルで下痢になっても大丈夫!
MCTオイルには、下痢になるリスクがあることがわかりました。
が、安心してください。
この下痢は一過性の症状ですから、摂取をやめればすぐに治まります。
また、多くの場合、原因は摂取量が多すぎたせいと考えられますので、量を減らせば引き続きMCTを摂ることも可能です。
摂取を再開する場合は、ごく少量から始めて、様子を見ながら少しずつ増やしていってください。
自分にとっての安全な適量がわかってくるでしょう。
参考
※ 日清オイリオ株式会社研究所|青山敏明「中鎖脂肪酸の栄養学的研究ー最近の研究を中心にー」
※ 国立国際医療センター・消化器科|松枝啓「吸収不良症候群と蛋白漏出性胃腸症 Ⅶ.経腸栄養療法」
3 MCTオイルは少量から使い始めれば下痢を予防できる
とはいえ、できれば最初から下痢にならないように予防して、安全にMCTオイルを摂りたいですよね。
それには、「少量から使い始めて少しずつ増やしていく」という方法がお勧めです。
前章でも触れましたが、MCTオイルで下痢になる理由の多くは、「量が多すぎたこと」です。
摂取量の適量としては、さまざまな研究結果があり一概には言えませんが、「健常成人で1日30~100g、1回の摂取量では8~10gなら副作用は生じない」(「中鎖脂肪を用いたビスケットの単回摂取による血中脂質・血糖値の動向」より)とする研究があるので、その範囲内で摂るのが安全でしょう。
具体的には、
- 最初はMCT2g程度=ティースプーン1杯程度から始める
- 少しずつ増やして体を慣らし、1回8〜10g程度を摂るようにする
- 下痢にならなければ、1日30g〜まで増やす
というように、段階を踏んでいくといいでしょう。
ただ、1日100gを超える大量な摂取は、やはり腹痛や下痢を引き起こす場合があるという報告もあるようですので、それ以上は摂らないようにしてください。
参考
※ 女子栄養大学栄養学部ら|田中明ら「中鎖脂肪を用いたビスケットの単回摂取による血中脂質・血糖値の動向」
※ 日清オイリオ株式会社研究所|青山敏明「中鎖脂肪酸の栄養学的研究ー最近の研究を中心にー」
※ 国立国際医療センター・消化器科|松枝啓「吸収不良症候群と蛋白漏出性胃腸症 Ⅶ.経腸栄養療法」
ダイエットのためにMCTオイルを活用してみたい方は、こちらの記事『ダイエットに効く!MCTオイルの正しい使い方4つのポイントを解説』も、ぜひ読んでみてくださいね。
4 まとめ
いかがでしょうか?
MCTオイルでなぜ下痢になるのか、下痢を避けるにはどうすればいいのかがわかったかと思います。
では最後に、記事の内容をまとめてみましょう。
- MCTオイルは消化吸収が早すぎるため、下痢を引き起こすリスクがある
- それ以外にも、糖尿病や肝機能障害の人には副作用の可能性がある
- 下痢を避けるためには、ティースプーン1杯程度の少量から始めて少しずつ増やしていくといい
これできっとあなたも下痢にならずにMCTオイルを利用することができるでしょう。
MCTオイルで美しくダイエットできることを願っています!
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