ごま油というと、料理に使われる食用油としてのイメージが強いかと思います。しかし、太白(たいはく)ごま油は食用としてだけではなく、スキンケアやエイジングケアにも向いているとされ、美容面での効果が期待できることをご存知でしたか?
そこで今回は、太白ごま油について詳しく解説。効果的に使うことで得られる効能についても、合わせてご紹介します。
目次
1 そもそも太白ごま油って?
普通のごま油は、原料となるごまを焙煎(火で炙りながら水気がなくなるまで煮詰める)し、茶系統の独特の色味と香ばしさが生まれます。対して、太白ごま油はごまを生のまま搾って生成するため、無色で匂いがほとんどないという特徴があります。そのためクセが少なく、素材の持ち味を活かすことが可能です。
以下の表で、メジャーな3種類のごま油の特徴を比較してみました。
種類 | 焙煎ごま油 | 低温焙煎ごま油 | 太白ごま油 |
製法 | 高温で焙煎して圧搾 | 低温で焙煎し圧搾 | 生のまま搾る |
色味 | 濃い焦げ茶色 | 琥珀色 | 無色 |
匂い | 非常に香ばしい香り | 香ばしい香り | ほとんどない |
1−1 特徴1:コレステロール値を下げる
太白ごま油の半分を占める脂質は、大半が「不飽和脂肪酸」です。不飽和脂肪酸とはコレステロール値を下げ、善玉コレステロールを増やすとされる脂肪酸のこと。酸化しやすい特徴がありますが、太白ごま油に含まれる抗酸化物質によって、他の不飽和脂肪酸よりも酸化しにくいのです。
※参考 農林水産省「特集2 食材まるかじり ごまのチカラ(2)」
1−2 特徴2:様々な料理に使える
コレステロール値を下げる太白ごま油は、揚げ物料理に最適です。ごま油は熱を加えても、臭みや胸焼けがすることはほとんどありません。そのため、揚げ物以外にもスイーツやパン作りに使え、サクッとした食感が味わえます。ドレッシングに加工して、様々な料理にアクセントを加えることもできます。
1−3 特徴3:揚げ物に向いている
元々ごま油は食用油の中でも酸化が少なく、高温での加熱に強みを持つ食用油です。太白ごま油も例外ではなく、天ぷらなどの揚げ物をする際には2〜3回は繰り返し使えます。その後は炒め物にも使えるなど使い勝手がよく、家計にも優しい油だといえるでしょう。
また、市販のサラダ油の多くと比較しても、日持ちしやすいのが特徴です。
2 太白ごま油の効能一覧
太白ごま油には多くの効能があることをご存知でしたか?
古くはインドやスリランカにて、「アーユルヴェーダ」という伝統医療に用いられて来ました。
ここからは太白ごま油がもつ2つの効能について解説します。
2−1 (1)抗酸化作用
太白ごま油には、「ゴマリグナン」という抗酸化物質が含まれています。これは私たちの体内で抗酸化性を発揮する、ごまが持つ成分の1つです。抗酸化とは、活性酸素による体内の酸化を防ぐこと。この抗酸化により、体内に摂取することでコレステロールや血圧の低下、肝機能の改善などが期待できます。
※参考 農林水産省「消費者の部屋」
2−2 (2)がんや心血管疾患・生活習慣病の予防
ゴマリグナンが持つ活性化酸素を抑制する抗酸化作用により、がん細胞の成長抑制の効果が期待できます。また、心血管疾患や生活習慣病の予防にもつながります。
※参考 e-ヘルスネット|厚生労働省「活性酸素と酸化ストレス」
2−3 (3)デトックス効果
古くからアーユルヴェーダで用いられて来たように、太白ごま油にはデトックス効果が期待できるといわれています。顔や体に塗りオイルマッサージを行うことで、デトックス(体内の老廃物を排出する)が期待でき、日常生活で溜まった毒素の輩出を促すとされています。
※参考 農林水産省「特集2 食材まるかじり ごまのチカラ(2)」
3 美容目的ならキュアリングで下処理を
健康によい太白ごま油の活用法は、食に関するものだけではありません。
美容にも活かせます。ただし、太白ごま油を美容目的で用いる場合、「キュアリング」と呼ばれる下処理を行う必要があります。市販品の太白ごま油をそのまま使おうにも粘度が高く、ドロドロとした触感になってしまうためです。
そのため、キュアリングをすることで太白ごま油の粘度がちょうどよくなり、肌から吸収されやすくなるといわれています。
3−1 キュアリングの流れ
キュアリングの方法はとてもシンプルなもので、自宅のキッチンにて簡単に行えます。
キュアリングのやり方
- まずは鍋を用意し、太白ごま油を注いで弱火で加熱させましょう。
- 温度計で計測しながら、満遍なくかき混ぜます。90〜100℃になったら火をストップ。
- 余熱で110℃まで上がった後は、太白ごま油の温度が冷めるのを待ちましょう。
- 十分に冷めたのを確認したら、耐熱性の容器などに移して小分けしておくと、使いたい時に必要な分を取り出せるので便利です。
4 美容目的での活用法
太白ごま油の美容目的での活用法として、以下の3つの方法が代表的です。
■マッサージ
■うがい
■クレンジング
キュアリングした太白ごま油を日常生活に取り入れることで、日々のモチベーションアップがめざせるかもしれませんよ。ただし、ごまアレルギーの方は使用をお控えください。
4−1 マッサージに用いる
アーユルヴェーダにおいて、毎日のマッサージはとても重要なこと。セルフマッサージによるリラックス効果や、デトックスの効果などが期待できるからです。アーユルヴェーダには植物性油を用いますが、中でも太白ごま油は肌に浸透しやすいとされているため、頭皮や耳、脚部など全身のマッサージに効果的です。
※参考 e-ヘルスネット|厚生労働省「アーユルヴェーダ療法」
4−1−1 マッサージの際の手順
頭皮へのマッサージは、キュアリングした少量の太白ごま油を頭皮に馴染ませてから行います。使用した太白ごま油は洗い流さず、そのままシャンプーすることで毛穴の汚れもまとめて洗浄できます。
耳へのマッサージも効果的です。手の平に少量の太白ごま油を乗せ、指で挟み込むように耳のふちをマッサージします。
足の裏やかかと、膝やふくらはぎへのマッサージもおすすめです。太白ごま油を塗った場所を、やや強めに押すイメージで5分ほどマッサージするとよいでしょう。
4−2 うがいに用いる
アーユルヴェーダでは、太白ごま油をうがいにも用います。口腔内が原因の口臭予防や、唇の乾燥の予防などが期待できるのです。起床時や就寝前に行うのが効果的とされています。
※参考 e-ヘルスネット|厚生労働省「アーユルヴェーダ療法」
4−2−1 うがいの際の手順
キュアリング済みの太白ごま油を大さじ一杯ほど口に含みます。太白ごま油が口腔内にまんべんなく行き渡るように含んで、グジュグジュとさせましょう。個人差はありますが、10分〜15分ほど口に含み、太白ごま油と唾液が十分に馴染んできたら、ティッシュやビニール袋などに吐き出しましょう。
4−3 クレンジングにも効果的
太白ごま油はクレンジングにも使えます。成分として含まれている抗酸化作用により、エイジングケアが期待できるでしょう。また、保湿力が高く乾燥する季節にも効果的に使えます。
※参考 e-ヘルスネット|厚生労働省「アーユルヴェーダ療法」
4−3−1 メイク落としの際の手順
キュアリングした太白ごま油を顔の肌に直接塗り、指で円を描くようにマッサージしてメイクを落としていきましょう。塗った後はややベタつきが残るため、入浴時に行うのがよいでしょう。太白ごま油を10分ほど顔に馴染ませてから、ぬるま湯で優しく洗い落とすのがコツです。
5 まとめ
太白ごま油は健康面だけでなく、美容面から見ても多くの効果を持つことがわかりました。リラックスできるマッサージだけでなく、うがいやクレンジングなど、ライフスタイルに組み込んで行くことで健康的な効果が期待できます。
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