パン作り・お菓子作りのレシピに書いてある「ショートニング」ですが、家に無いですよね?
本格的なパンやお菓子作りが趣味でしょっちゅう作っている人以外は、家にはショートニングがないのが普通です。
そこで今回は、パンやお菓子作りを始めてしまった状態で、ショートニングがないと気が付いた時でも、ショートニングの代用品として使えるものを紹介します。
- ショートニングの代用5品と出来上がりの差
- そもそもショートニングってナニ?
- ショートニングの代用に向かない油
出来上がりの差は、一番差が大きくなるパンで比較しています。
これで、わざわざショートニングを買いに出ないでも、家であるもので代用してお菓子やパン作りが続けられますね。必要なところを読んでいただき、美味しいものを作ってください。
目次
1.ショートニングの代用品5品と出来上がりの差
ショートニングの代用になるものでキッチンにある油5品です。ショートニングとの焼き上がり比較をパンにしたのは、パンと製菓(クッキーなど)ではパンの方が全体の面積が広く、焼き上がりの差がわかりやすいことが理由です。表下に説明がありますので、ご自身に必要なところを参照してください。 順 動
①マーガリン
- 焼き上がり:見た目も触り心地もフンワリしたソフトな焼き上がりになる
- 香り:マーガリンに使用した添加物の香り
- カロリー:100gあたり769kcal(※参考 食品成分データベース|文部科学省「マーガリン」)
- 相性:そもそもパンに塗って食べるものなのでパンとの相性は無問題。お菓子作りでもショートニングに似たサクッとした軽さが似るので相性は良い。ただ、風味が足りないので菓子パンや惣菜パンなどで味や香りを足していくタイプのパン作りに向いている。また、ソフトでフンワリ食感のパンを求める場合はマーガリン代用が向いている
- 注意点:何をしてもフワッと柔らかく仕上がってしまうので、ザックリ!しっかり!という仕上がりにしたい時には向いていない
- 原材料:植物性油脂(菜種・コーンなど)・ビタミン類・砂糖・塩・着色料
②サラダ油
- 焼き上がり:ほぼ問題なく焼けるが、やや膨らみが足りない感じがある。パン断面は気泡が小さく、焼き上がっている時の広がりが少なく印象だが、パンとしての形は普通。
- 香り:無臭
- カロリー:100gあたり921kcal(※参考 食品成分データベース|文部科学省「サラダ油」)
- 相性:大きく膨らまなくても良い小型パンや製菓が相性良し、ロールパンや小型の丸パン。クッキーなどは軽くサックリ仕上がる。
- 注意点:サラダ油自体がサラっと軽いので、パンや製菓にすると粉っぽさを感じることもある。
- 原材料:植物性油脂100%
*その他、家にある健康に気遣う油としてグレープシードオイルと米油があるが、グレープシードオイルは熱に弱いのであまりオススメはできない。米油はサラダ油よりもさらにサックリ感が強く焼きあがる。
③バター
- 焼き上がり:多少膨らみが小さめ。断面は気泡が均一に詰まった焼き上がり
- 香り:バターの香り
- カロリー:100gあたり745kcal(※参考 食品成分データベース|文部科学省「バター」)
- 相性:ほぼ全ての粉物と相性が良い
- 注意点:バターの風味があるので、出来上がりの品にも風味が出る。しっとりとコクのある味と歯ごたえになるので、ふわっと軽い食感が好きな人には不向き。
- 原材料:乳脂(牛乳)
④オリーブ油
- 焼き上がり:全体的にオリーブオイルが周り、手触り・食感ともにシットリ。モチモチした焼き上がりになる結果、膨らみが足りなくなる。イメージとしてはフォカッチャの断面を想像してもらえれば良い
- 香り:オリーブオイルの香りがする
- カロリー:100gあたり921kcal(※参考 食品成分データベース|文部科学省「オリーブオイル」)
*但し、コレステロールゼロなので健康に気遣う人に場合はオススメ。 - 相性:膨らまなくても良いパン、仕上がりをモッチリタイプにしたいもの
- 注意点:何をしてもオリーブオイルの香りになる
- 原材料:オリーブの実を圧搾したもの
⑤ラード
- 焼き上がり:サクッとしてショートニングとほぼ同じか、それ以上の結果になる
- 香り:無臭か、多少の豚の油の匂いがするものもある
- カロリー:100gあたり941kcal(※参考 食品成分データベース|文部科学省「ラード」)
- 相性:ショートニング自体がラードの代用品として作られたものなので、相性は良い。
- 注意点:他の油脂と比較すると高カロリーな点。コレステロールが劇的に高いこと
- 原材料:豚の脂
2.そもそもショートニングってナニ?
この章では、ショートニングが何かについて説明します。普段、ショートニングを使うことは日本では少ないのですが、一部の国で使用禁止になる20世紀後半まではアメリカ・ヨーロッパではパン作り、食事作りによく利用されていました。
※参考 JETRO「FDA、トランス脂肪酸を生成する油脂の使用を原則禁止に-食品メーカーは3年以内の対応を迫られる-」
2-1.ショートニングとは
ショートニング(shortening)はアメリカ英語で『サクサクさせる、ポロポロにする』という意味の植物または動物油脂を原料とした練りこみ専用の固形油脂として1800年代にヨーロッパで発案されました。
作り方は植物油や動物油の中に水素添加をして油を半凝固(乳化)させます。見た目は真っ白ですが、水分や乳成分を含まず、ほぼ100%が油脂成分で香りはほとんどありません。
ショートニングの量によって「ホロリとした噛み心地」「サックリとした口応え」などの口当たりをよくする効果があります。主に、製菓でもパン・ビスケット・クッキーなどに使われます。
ちなみに、ショートニングに食塩・砂糖・ビタミン類などの添加物を加えたものがマーガリンですので、ショートニングとよく似た仕上がりや食感が欲しい場合はマーガリンで代用すると一番レシピに近いものが作れます。
2-2.ショートニングを使うと何が違うの?
ショートニング自体がすでに「乳化」された物質ですので、使用すると素材とよく馴染んで仕上がりが全体的に良くなります。製造するものによって、どのような結果になるのかを説明します。
①製菓作り
多くの製菓レシピにはショートニングの記載がありますが、これは、お菓子やパン作りの時にショートニングを使うと
- サクサク
- ホロリ
など口当たりが良く、軽い仕上がりになることが理由です。特に、クッキーやパンにおいては絶大な食感の良さが出ます。
さらに、製菓の製造工程では、小麦は練ると「グルテン」という粘り成分に変化するのですが、ショートニングは乳化の力で粘り成分となった小麦の間にも均一に入り込むため、伸びの良い滑らかな生地が打て、混ぜムラが出来ません。その結果、焼きムラ・色ムラがない美しい製菓が作れます。
ショートニングがなくて代用をしたいけども、どうしても「サクサク感」を出したい場合は、少量でも良いのでマーガリンかラードを足すとサクサク食感に仕上げることができます。
②揚げ物類
ショートニングを揚げ物の油に使うと、ザクザクっとした揚げ物が出来ます。揚げ油の全部がショートニングではなく、サラダ油などに少し足す程度でOKです。
とんかつ・フライなどは時間が経過して冷めても衣がバリバリとした歯ざわりのまま食べることができます。製菓ではドーナツをショートニング入りの油であげると、周りが固めでサクサクっとしたドーナツになります。
家にショートニングがない場合は、揚げ油にラードを足すと似たような食感が得られます。
もっと詳しくショートニングについて知りたい方は、こちらの記事『ショートニングとは食感を良くする油!食べ過ぎ注意な1つの理由』も読んでみてくださいね!
3.ショートニングの代用には向かないもの
家にある油でもショートニングの代用として向いていないものもありますので、こちらで解説をします。
①ごま油
お料理のアクセントとして使う油には香りが良いものですが、お菓子作りやパン作りに200ml単位の分量で使ってしまうと、強烈なごま油の香りがするものが出来上がりますので、あまり向いていません。
ただし、同じごま油でも色が透明な「太白ごま油」というものがあれば、それはごま油特有の匂いがなく、さらっとしているのでサラダ油と同じように使用ができます。出来上がりもサラダ油と同じです。
②牛脂
牛脂はまず、室温で使うと硬くて使えません。熱すると牛脂特有の(ステーキみたいな匂い)匂いがしますので、パンやおかし作り全体に使うのはあまり向いていません。牛脂を使う場合は、惣菜パンの肉類にアクセントの香りづけくらいにとどめましょう。牛脂はスーパーで牛肉売り場に無料で置いてあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ショートニングの代用品として、すぐにでも使える家にあるものを調べてまとめました。
- ショートニングの代用品7品と出来上がり差
- そもそもショートニングってナニ?
- ショートニングの代用には向かないもの
これでクッキングの途中で「あ、ショートニングってないや」と思っても、家にあるものを代用して調理が続けられ、仕上がり予想もつきますので安心ですね。ぜひ、美味しいものを作ってください。
コメント