「ランニングの栄養補給っていつするべき?」
「ランニングの栄養補給は何を食べたら良い?」
今この記事をお読みになっているあなたは、最近ランニングでエネルギー不足を感じたり、バテるようになってきたのではありませんか?
または、ダイエットや健康目的でランニングを始めたものの、走った後に体が重くなるような疲れを感じるようになり、栄養補給が必要なのかも…と感じ始めた人もいるでしょう。
実際、全ランナーにとってランニングの栄養補給は必須です。なぜなら、ランニングで消費するカロリーは1回の食事分を超えることも多く、補食で栄養を補わなければ、総エネルギーはもちろん、走るのに必要なエネルギーや栄養素が不足してしまうからです。
ただし、ランニングの栄養補給は、単純に摂取カロリーを増やせば良いわけではなく、適切なタイミングで摂取する必要があります。
次の表をご覧ください。
摂取タイミング | おすすめの食品 |
ランニング前 | ・バナナ ・エネルギーゼリー ・カステラ ・おにぎり |
ランニング中 ※ランニングが1時間以上の場合 | ・バナナ ・エネルギーゼリー ・ようかん ・スポーツドリンク |
ランニング後 | ・プロテイン入りエネルギーゼリー ・アミノ酸入りプロテインばー ・アミノ酸入りプロテイン |
上記のように、ランニングの栄養補給は、ランニングの前後や最中に行う必要があり、タイミングに応じて適切な食べ物が異なります。
単に「エネルギー不足だからカロリーをとらないと」と適当なものを食べていると、ランニングのパフォーマンスはいつまでも上がらないばかりか、体重が増加したり、食べているのに貧血になってしまうので注意しましょう。
この記事では、ダイエットや健康目的の人から大会を目指す人まで、全ランナーがランニングの栄養補給を「いつ」「何を」摂取すべきか分かるよう、丁寧に解説していきます。
最後までお読みになれば、自分が明日からどのタイミングで何を補給すれば良いかが分かるでしょう。
自分に合った適切なタイミングで栄養補給を行い、今よりランニングのパフォーマンスが上がり、ランニングライフをさらに楽しめるようになることを願っています。
目次
1. ランニングの栄養補給は3つのタイミングが肝心!
冒頭でもお話した通り、ランニングの栄養補給はランニング前後や途中の3つのタイミングで行うことが重要です。
ランニングはスポーツの中でも、長時間筋肉に負荷をかけ続ける種目です。そのため、エネルギーの消費や筋肉へのダメージが大きく、通常の食事だけでは体が対応できなくなってしまいます。
具体的にどのような時間帯で栄養補給をするべきかというと、次の表をご覧ください。
タイミング | 具体的な時間帯 | 摂るべき栄養素 |
ランニング前 | 開始30分前〜1時間前 | エネルギー源になる糖質 |
ランニング中 ※ランニングが1時間以上の場合 | 1時間ごと | 消化が良くすぐにエネルギーになる糖質、ミネラル |
ランニング後 | 終了直後〜3時間以内 | 筋肉の疲労回復を促すタンパク質と糖質 |
上記のタイミングと栄養素を押さえて栄養補給を行えば、途中でバテることなく快適にランニングを楽しめることでしょう。
もし栄養補給を行わずに通常の食事だけでランニングを行うと、長く走れなくなってしまったり、筋肉の疲労がずっと抜けないという状態になってしまいます。
ひどい場合は、重度の貧血に陥ったり、低糖質を招いてしまうリスクもあるでしょう。
だからこそ、ランニングは栄養補給のタイミングと種類が非常に重要になってきます。
それぞれのタイミングで摂取すべき栄養補給の種類については、次章から詳しく説明していきます。あなたが必要とするタイミングをしっかりお読みになり、参考にしてくださいね。
【我慢は逆効果】ダイエット目的でランニングをしている人も栄養補給は必須! |
ダイエット目的でランニングをしている人も、必ず栄養補給をしましょう。 なぜなら、あまりにも摂取カロリーが少なすぎると、代謝が下がり痩せにくい体になってしまうからです。 摂取カロリーが消費カロリーを大きく下回ってくると、体は生命の危険を感じます。そのため、代謝機能を下げ、生命を維持するために脂肪を蓄えようとするのです。 代謝が下がってくると、体重が減りにくくなるだけでなく、今までと同じ食事量でも脂肪や体重が増えることもあります。 そうなってしまうと、せっかくの努力も水の泡ですよね。たくさん走って頑張った分、着実に体の変化を感じるためにも、必ず栄養補給をしながらランニングを行っていきましょう。 |
2.【ランニング前】30分〜1時間前までにエネルギー源になる糖質を補食で摂取する
ランニング前は、通常の食事は3時間前に済ませておき、開始30分前〜1時間前までにエネルギー源となる糖質を補食として摂取しましょう。
糖質はエネルギー源としてもっとも多く利用される栄養素のため、ランニングのようなエネルギーを多く使うスポーツを行う場合は意識して摂取する必要があるからです。
ただ、ランニング前の栄養補給なので、糖質なら何でも良いわけではありません。これから体を動かすので、消化の良いものを選ぶ必要があります。
おすすめは、次の通りです。
上記の食品は、糖質を多く含むだけでなく消化が良いので、ランニング前の栄養補給に最適です。また、それぞれの適量を見ていきましょう。
種類 | 糖質量(1個あたり) | 推奨量 |
エネルギーゼリー | 38〜40g前後 | 1個 |
カステラ | 31.3g | 1切半〜2切 |
バナナ | 21.4g | 2本 |
おにぎり | 35〜50g (白米100gの塩おにぎり) | 小さめ2個 (鮭、たらこ、梅がおすすめ) |
※糖質は体重1kgあたり1〜4g必要(参考:独立行政法人農畜産業振興機構「アスリートにおけるパフォーマンス向上につながる糖質摂取」)
※体重50kgの人を想定(糖質50g〜200g必要)
30分〜1時間前に摂取できなかった場合や、摂取はしたもののエネルギー不足が心配な場合もありますよね。その場合は、直前に飴やブドウ糖タブレットを食べるのもおすすめです。
食物繊維の多い食品は摂取NG! |
食物繊維の多い食品はランニング前の栄養補給に不向きなので、できるだけ避けるようにしましょう。 食物繊維は消化に時間がかかるので、ランニング中に腹痛や下痢症状を引き起こす可能性があるからです。 食物繊維を多く含む食品は、例えば次の通りです。 プロテインバーは手軽にカロリーや栄養素を補給できるので便利なのですが、ナッツなどの食物繊維を多く含むものは、ランニング前には不向きなので注意してください。 ブロッコリーはタンパク質やビタミンCを含む野菜なので運動をする人に好まれる食材ですが、こちらも食物繊維が多いので、体を動かす前の摂取は避けましょう。 |
3. 【ランニング中】こまめに糖質、水分、ミネラルを補給する
ランニング中の栄養補給は、1時間以上のランニングを行う場合に必要になります。なぜなら、人間の体は事前に蓄えたエネルギーや栄養素では、90分のランニングが限界だからです。
ランニング中に摂取すべき栄養は、主に次の3つです。
栄養素 | 補給の目的 |
糖質 | ・エネルギー不足による持久力低下を防ぐ ・「ハンガーノック」を防ぐ ※ハンガーノック…体が動かなくなる低糖質状態 |
水分 | 脱水症状を防ぐ ※ランニング90分で1.2リットル〜1.5リットルの水分を失う |
ミネラル | 脱水症状や筋肉の痙攣、足のつりなどを防ぐ ※ミネラルは汗と一緒に排出されている |
上記からもお分かりの通り、1時間以上のランニングを行う場合は、単なるエネルギー不足だけでなく、低糖質状態や脱水症状、筋肉の痙攣などが起きるリスクに備えて栄養補給を行う必要があるのです。
糖質、水分、ミネラルを含む食品は、次の通りです。ランニング1時間ごとにいずれか1つを摂取するようにしましょう。
種類 | 糖質量(1個あたり) | 推奨量 |
エネルギーゼリー | 38〜40g前後 | 1個 |
ようかん | 34g(1切) | 1切半〜2切 |
バナナ | 21.4g | 2本 |
スポーツドリンク | 25g前後 | 1本 |
バナナやようかん自体には水分が少ないので、摂取する際はスポーツドリンクなどの水分も合わせましょう。
ようかんは、スティックタイプの「スポーツようかん」のように持ち運びしやすい商品も販売されているのでおすすめです。
食物繊維を多く含む食べ物や、カフェインを多く含む飲み物は摂取NG! |
ランニング中に摂取すべきでないのは、ランニング前と同様、食物繊維を多く含む食べ物や、カフェインを多く含む飲み物です。食物繊維は運動中に摂取すると消化不良を引き起こしやすいほか、下痢や腹痛になる可能性が高くなります。また、カフェインには利尿作用があるので、運動中は避けなければなりません。 具体的には、次のものに注意しましょう。 上記のものを中心に、ランニング中は食物繊維やカフェインを避けておきましょう。 |
4. 【ランニング後】直後〜3時間以内にタンパク質と糖質を補給する
ランニング後は、直後〜3時間以内にタンパク質と糖質、アミノ酸を補給するようにしましょう。3時間以内のうち、早ければ早いほど高い効果が期待できます。
なぜなら、次の3つの理由があるからです。
・運動後は体が栄養素を欲している状態なので吸収率が高いから ・運動後にできるだけ早くタンパク質と糖質、アミノ酸を摂取すると、筋肉の合成が促進されるから ・運動後のアミノ酸を摂取はタンパク質の分解を抑えるから |
参考1:日本スポーツ栄養研究誌「アスリートのたんぱく質栄養の考え方」
参考2:名古屋大学大学院生命農学研究科「運動後の筋タンパク質合成のためのタンパク質・アミノ酸栄養」
タンパク質は筋肉の修復、損傷の軽減のために必要な栄養素なので、運動後すぐの吸収率が高いタイミングで摂取することで、筋肉を修復を促進することができます。
また、運動後に早いタイミングでアミノ酸を摂取すると、タンパク質の分解を抑えてくれます。筋疲労の原因はタンパク質が分解されてしまうことにあるため、アミノ酸摂取は疲労回復にもつながるのです。
さらに、糖質はランニングでエネルギーとして使われたため、体内に不足している状態です。糖質が不足するとタンパク質が分解されてしまうので、糖質もすぐに補給するようにしましょう。
タンパク質と糖質、アミノ酸が含まれる、おすすめの栄養補給は次の通りです。
上記の食品には、タンパク質と糖質がおおよそ以下のように含まれています。アミノ酸は商品によって幅があるので、商品の裏面に記載されている成分表をチェックしてください。
種類 | タンパク質量/1個 | 糖質量/1個 | 推奨量 |
プロテイン入りエネルギーゼリー | 15g前後 | 10g前後 | 1個 |
アミノ酸入りプロテインバー | 15g前後 | 10g前後 | 1個 |
アミノ酸入りプロテイン | 20g前後 | 10g前後 | 1杯 |
※具体的な含有量は商品による
ランニング後はできるだけ早くタンパク質と糖質を補給することが重要なので、上記のように手軽に摂取できるものを選ぶようにするのがおすすめです。
ランニング後は高脂肪・高糖質なものに注意 |
一方、ランニング後に避けるべき食品は、高脂肪・高糖質なものです。高脂肪な食品は消化に時間がかかるので、タンパク質の吸収が妨げられ、疲労の回復が遅れます。また、高糖分なものを摂取すると急激に血糖値が上がってしまい、逆に疲労を感じやすくなるからです。 具体的には、次のようなものは避けましょう。 ・ハンバーガー 長時間ランニングをすると、「疲れた…!甘いものが食べたい」「お腹がペコペコだから、今すぐ手軽に食べれるものをカロリーのあるものをコンビニで買おう」という人もいるでしょう。 ですが、高脂肪・高糖質な食品は疲労の回復を遅らせたり、疲労を強くしてしまうので、避けるようにしてください。 |
5. 普段の食事は鉄分をしっかり摂取してパフォーマンスダウンを回避しよう
ここまでは、ランニングの前後やランニング中の栄養補給についてお話してきました。ただ、快適なランニングを行うには、普段から鉄分を意識したバランスの良い食事を摂っておく必要があります。
スポーツをする人は、一般の人の1.3〜1.7倍の鉄分が必要で、具体的には1日15mg〜18mgが推奨されています。(参考:日本陸上競技連)
鉄分が不足すると体に酸素を運ぶヘモグロビンが作られず貧血になり、ランニングのパフォーマンスが目に見えて落ちていきます。
具体的には、次のような症状です。
・息切れ ・動悸 ・立ちくらみ ・めまい |
上記のような症状が出て、ランニングにおいては長く走れなくないばかりか、疲労回復も遅くなり、怪我のリスクも高まるでしょう。
だからこそ、ランニングをする人にとって、日頃から鉄分を摂取しておくことは非常に重要なのです。
鉄分を摂取する方法は、主に2つあります。
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できれば食事から摂取するのがおすすめです。食事からとることで、自然に鉄分以外のさまざまな栄養素も一緒に摂取できるからです。
ランニングをする人におすすめな、鉄分を意識した1日のメニューをご紹介しましょう。
上記のように、ランニングをする場合は多くのカロリーを消費するため、カロリーもしっかりとりながら、鉄分はもちろん、さまざまな食材からバランスよく栄養を摂取することが理想です。
ただ、仕事の前や後に時間を作ってランニングをしていたり、そもそも仕事が忙しい人は毎日栄養バランスのとれた食事をつくるのは負担が大きいですよね。ましてや、ランニングをする場合は、通常よりも多くの鉄分が必要になるので、毎食ごとに意識するのは大変です。
そこでおすすめなのが、サプリメントで鉄分を摂取する方法です。
サプリメントなら、忙しくて食事を簡単に済ませてしまう日でも、通常より多くの鉄分を必要とするランナーでも、観覧に理想の鉄分量を摂取することができます。
また、鉄分は食材からだと独特の風味がするので苦手な人も多いですが、サプリメントなら無味無臭なので、気軽に取り入れられるでしょう。
ランニングをする人の鉄分摂取についてさらに詳しい内容が知りたい方は「ランニング 貧血」の記事も参考にしてくださいね。
鉄分サプリはフェリチン鉄がおすすめ! |
サプリメントで摂取できる鉄分は4種類ありますが、中でもフェリチン鉄がおすすめです。
「ヘム鉄」「非ヘム鉄」はスーパーや薬局でもよく見かける種類ですが、これらの鉄分には吐き気や悪心、便秘などの副作用があります。 また、「キレート鉄」は海外産のサプリメントに多い種類で、鉄の過剰摂取に陥る可能性があり、臓器障害や炎症反応を引き起こす恐れがあります。 一方、フェリチン鉄は、副作用が少なく、吸収率の高い「フェリチン鉄」のサプリメントです。 フェリチン鉄は、人の体の中にある鉄貯蔵タンパク質「フェリチン」と同じ構造を持つため、従来の鉄サプリメントよりも体への吸収率が高く、副作用の原因となるフリーラジカル(活性酸素)も発生させません。 摂取したフェリチン鉄は体内にストックされるので、ランニングで一時的に鉄が消費されても体が自分で対応してくれるのです。 副作用なく効率よく鉄分を摂取したい人や、体内のストック鉄を増やして常に良いパフォーマンスを維持したい人は、フェリチン鉄のサプリがおすすめです。 |
6. まとめ
いかがでしたか?ランニングの栄養補給について、効果的なタイミングやおすすめな食品などをご紹介してきました。
最後にこの記事をまとめましょう。
◎ランニングの栄養補給は3つのタイミングが肝心
・ランニング30分〜1時間前 ・1時間以上走る場合はランニング中も1時間おきに必要 ・ランニング30分〜3時間以内 |
◎ランニング前で必要な栄養素とおすすめな食品は次の通り
<エネルギー源になる糖質> ・バナナ ・カステラ ・エネルギーゼリー ・おにぎり |
◎ランニング中で必要な栄養素とおすすめな食品は次の通り
<糖質、水分、ミネラル> ・バナナ ・エネルギーゼリー ・ようかん ・スポーツドリンク |
◎ランニング後で必要な栄養素とおすすめな食品は次の通り
<タンパク質と糖質、アミノ酸> ・プロテイン入りエネルギーゼリー ・アミノ酸入りプロテインバー ・アミノ酸入りプロテイン |
◎普段の食事は鉄分を意識して栄養バランスの良い内容を意識しよう
以上になります。ランニングは消費カロリーが高いスポーツなので、栄養補給のタイミングや摂取するものに気をつけないと、必要なエネルギーや栄養素が不足してしまいます。
この記事をお読みになったあなたが、適切なタイミングで必要な栄養素を摂取でき、今よりもっと快適なランニングライフを送れることを願っています。
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